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<佳作>
「命をありがとう」
山本 真衣(11歳) 熊本県本渡市・小学五年生

 私の家には、「がんばれ、まいちゃん」と書いてあるうちわが一本あります。私が入院した時に、かんごしさんたちがよせ書きして下さったうちわです。

 私は四才のころ、「腹膜炎」という病気で、約二か月間入院したことがあります。小さかったので、あまりくわしいことは覚えていませんが、とてもおなかが痛くて、「ワーワー」泣いていたことは、ちゃんと覚えています。

 手術が終わった時、先生は、「よほどがまん強いお子さんなんでしょうね。こんなにひどくなるまで、たえたんですね。昔なら、なくなっていますよ。今だから助けられましたが、腸が動くまでは、気がぬけません」と、言われたそうです。おなかにチューブをさしてあるのは、気づきませんでしたが、点滴と、鼻のチューブは、いたいのと気持ち悪いのとで、思い出すのもイヤになります。

 そんな病院生活の中でも、よかったこともあります。

 一つ目は、かんごしさんたちがみんなやさしかったことです。ガーゼを交かんする時、点滴をする時、私が痛い時は必ず、「まいちゃんごめんね。あっち向いとってね。すぐ終わるよ」と言いながら、仕事をして下さいました。

 しばらく食べられなかったので、何か食べたくてたまらない時は、「きつかもんねえ。でもね、まだ腸がグニュグニュって動かんとよ。ごめんね。明日こそよかかもしれんけん。がまんしてね」と、はげまして下さいました。そして、夜のクーラーが切れて暑くてたまらず、泣き出した時、うちわを下さったのです。

 私のお医者さんは、毎朝、部屋をのぞきにきて下さいました。「まいちゃん、今日の調子はどうね」「おっ!今日はおりこうにぬり絵かな」

 そして、やっと飲み物なら飲んでよくなった時は、「これで、少しは楽になるよ。よくがまんしたね」と言って、先生が自分で私の大好きな牛乳を買ってきて下さったこともありました。

 私は知らなかったのですが、お母さんは、先生に、「仕事は休めませんか?おじいさんやおばあさんもよくされてますが、まいちゃんは、お母さんといっしょの方が、気持ちがおちつくから、早くよくなると思いますよ」と言われて、少しショックだったそうです。でも、それから、お仕事を休んで、一日中いっしょにいてくれました。それを私は知って、病院の先生は病気を治すだけと思っていたのに、学校の先生みたいなことも言うんだなあと思いました。

 鼻のチューブがとれ、おなかのチューブがとれ、気持ち悪いことがなくなると、「まいちゃん、よかったねえ。笑っとる方がやっぱりかわいかよ」と、言って下さるので、とっても気分がよくなりました。

 私が退院する時は、みんなで、「おめでとう。よかったねえ」と見送って下さいました。痛かったことも、気持ち悪かったことも、みんな忘れて、やさしくしてもらったことばかり思い出しました。

 私のおなかには、大きな傷があります。大人になってもビキニは着られません。でも、お医者さんやかんごしさんたちが、朝も昼も夜も交代でやさしくお世話して下さったおかげで助けてもらった「命」です。ビキニは着られないかもしれないけど、大切にしていこうと思います。

 そして、私も大人になったら、いろんな人に、「ありがとう」って言ってもらえるような仕事をして、笑顔のすてきな人になりたいと思います。


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