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眉の話

メインイラストタンザニアのザンジバル島には、眉にまつわるこんな民話があります。

むかしむかし、大酒飲みの男が「眉なんて何の役にも立たないから、剃ってしまえ」と言い出した。周囲が「神様のくださったものには意味があるのだから、やめておけ!」と言うのも聞かず、眉を剃り落としてしまった。
翌日、男はいつものように仕事に出かけるが、太陽がやけにまぶしい。すれ違う女や子どもは、怯えたように離れていく。そのうち、汗がだらだらと目に落ち、かんなくずまで入ってきた。たまらなくなった男は鏡を見て驚いた。眉がないだけなのに、目は真っ赤に充血し、恐ろしい顔つきになっていた。
男は人と話もしなくなり、眉を剃ったことを後悔したとさ。

このお話は、眉にもきちんとした存在意義があるということを、面白おかしく伝えています。
この民話からも伝わってくるのは、眉には目や口などに比べ、はっきりした役割を感じることはありませんが、光を適度に遮ったり、目を保護したりするなどの機能的な働きがあるということです。また、「眉ひとつ動かさず」「眉をひそめる」「愁眉を開く」など、眉に関する慣用句が数多くあるように、眉には微妙な動きを通じて思いや感情を伝えるという側面もあります。

そのため、感情を表に出すことをよしとしなかった時代には、あえて眉を剃り落としてしまうという風習も生まれたのでしょう。平安時代の公家や、江戸時代の既婚女性にその風習を見ることができます。

眉の太さや形には流行があり、最近では男性でも身だしなみとして形を整えることがあるようです。
でも、眉が「両目の覆い」という大切な役目のある、神様からの贈り物であることは忘れずにいたいものですね。

参考文献:「アフリカの民話−タンザニアを中心に」島岡由美子


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