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へその話

ALT= へそは、お腹の真ん中にポッチリとあるへこみ部分。このややユーモラスな存在は、ご存知のとおり臍帯(さいたい)の取れた跡です。この世に生まれるまでは私たちのライフラインとしてなくてはならないものですが、誕生してからは特に役目を持っていません。
むしろ、「おへその下あたりが痛い」とか、メタボリックシンドローム診断の「腹囲を計測する」際に「おへその高さを水平に計る」などのように、お腹のランドマークとして使われている状態です。

体の真ん中に存在するへそは、「中央」の意味にも使われる言葉です。
例えば、北海道・富良野市では毎年北海道の中央であることをアピールした「へそ祭り」が開催され、日本の標準時・子午線上にある兵庫県西脇市では、市をあげて「日本のへそ」を宣言し、公園や駅名にまで日本のへそを謳っています。ここで使われているへそには、なんだか真ん中であることを誇らしく思う人々の気持ちが込められているようです。さらに、オーストラリアのエアーズロックは「地球のへそ」と呼ばれることもあります。

そもそも、母体から臍帯を通じて栄養を受けていた印であるへそ。ほ乳類の証とも言われているのですが、ほ乳類だけがこのような誕生をしているわけではありません。実は、魚類や爬虫類の中にも胎盤内で栄養を受けて成長し、臍帯を持って生れる種があるのです。あの恐ろしいサメの中でも、シュモクザメやオオメジロザメなどがこれに当たります。残虐なハンターのイメージが強いサメなのに、誕生直後にはへそがあるなんて! サメとへそ、なんだかミスマッチな組み合わせに感じますね。

さて、私たち日本人の生活の中には、「へそ曲がり」や「へそで茶を沸かす」など、へそについての言い回しもいくつかあります。
「カミナリさまにおへそを取られる」という言い伝えを子どもの頃よく耳にしたかたも多いでしょう。雷は真夏の午後に発生する事が多いのですが、そんな日は暑い上に湿度が高く、子どもは水遊びなどでおへそを出していることが珍しくありません。そんな時、突然雷を伴った雨が降ると急激に気温が下がるため、「お腹を冷やすので気をつけなさい」という生活の知恵から生まれた言葉なのです。「母とつながっていた名残を取ってしまうとは、カミナリさまご勘弁を!」と言いたくなるような心情に、うまく訴えた言い伝えですね。
私たちもたまにはへそを見つめて、自分の来し方に思いをはせるのもいいかもしれません。

参考資料:『おへそのひみつ』やぎゅうげんいちろう 福音館書店/『それでもおへそはだまっている』折井栄治 大日本図書/『おへそはなぜ一生消えないか』武村政春 新潮新書/ビジュアル博物館『鮫』 ミランダ・マッキュイティ 同朋舎出版/富良野市「へそ祭り」公式サイト/兵庫県西脇市公式サイト
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