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減るのに増える? −乾物のはなし−

メインイラスト いつでもさっと取り出して使える保存食「乾物」。
旬の食材をたっぷりと収穫して保存、きちんと使い切る昔ながらの知恵のひとつです。
天日に干せばいいのですから、塩漬けや砂糖漬けなどより手間いらずで単純な保存法です。世界中にさまざまな乾物が生まれているのも、その手軽さゆえでしょう。

乾物には他の保存法にはない優れた付加価値があります。
それは、天日乾燥することで、旨みや香り、栄養が増すということです。

たとえば、「生大根」と乾物となった「切り干し大根」を比べてみましょう。
生大根と同じ重さの切り干し大根を比較すると、エネルギーは約15倍、食物繊維は約16倍、カルシウムはなんと約23倍にもなるというデータがあります。その他のビタミンミネラルもぐんと増し、「生大根」はより栄養価の高い食品「切り干し大根」に生まれ変わるのです。

また、太陽の力で栄養素が変化する食材もあります。
しいたけは紫外線を浴び「干ししいたけ」になることで独特の香りと旨みが生まれるだけでなく、エルゴスチンという成分がビタミンDに変化して、カルシウムの吸収を助ける働きをします。

天日乾燥するだけで、目に見えて嵩は減るのに、見えないところで栄養がぐんと増えるとは、おもしろい現象ですね。

乾物の歴史は古く、万葉集にも登場します。
  家にあれば 笥(け)に盛る飯(いい)を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
有馬皇子が読んだこの歌の中にある「飯」とは、蒸した米を乾燥させた携帯食だといわれています。栄養価が高く、軽くて保存が利きますから古来より長旅や戦の食糧としても活用されていたのです。
鎖国が行われていた江戸時代には、長崎だけが窓口になり貿易をしていましたが、多くの乾物も輸出されていました。特に高級食材の「干しアワビ・乾燥ナマコ・フカヒレ」は「俵物三品」と呼ばれ、江戸幕府にとって清国(今の中国)との重要な交易品でした。
冷凍、冷蔵のできなかった時代に、乾物は貴重な食の担い手であったに違いありません。

はかりに乗せると軽くなっているのに、太陽の力を味方につけパワーアップする「乾物」。日々の食生活の中にうまく取り入れて、健康づくりに役立てたいものですね。

生と乾物の栄養を比べてみましょう

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