健康交差点No.14 エッセー 診察室から 前号 目次 次号
処方せんにない薬
小川宏(アナウンサー)

イラスト この10年あまりの間に、私は4回の入院を余儀なくさせられた。最もつらかったのはうつ病だった。3ヵ月の入院中、親友から病院あてに手紙をもらった。「自分も重いうつ病になったが、これは辛かった。しかし、あと一息で、辛がプラス一で幸になる」とあった。これを見た瞬間、“処方せん”にない薬と思った。

 健康を害し続けたためか、女房は、自らのそれにまで目が届かず、8年前、末期の子宮がんが発見。執刀医は手術前、私に、「不良がヤクザにならぬよう更生させます」とおっしゃった。「大手術になります」といわれたら、家族は落ち着きを失ってしまう。名言である。

 どんな名医でも、この手術は排尿をつかさどる神経に触れがちなので、自力で尿ができなくなることがあるという。そんな時、看護師さんが代わる代わる現れて、導尿の処置をしてくれた。

 病気ばかり看て病人を見ない医者もいることを考えると、患者への医療関係者の言動は、とても大切だと痛感させられた。

診察室から 介護保険は高齢者だけのものではありません
 「介護」と聞くと「寝たきり」というイメージを抱きがちですが、介護保険制度は寝たきりの高齢者だけを対象にした仕組みではありません。

 介護保険で受けられるサービスの量は、介護に必要な手間の量(要介護度)で決まります。要介護度は、軽度の要支援から要介護度1〜5まで6区分あります。

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