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平成27年(2015年)12月20日(日) / 日医ニュース

日米における災害時の医療体制について報告

日米における災害時の医療体制について報告

日米における災害時の医療体制について報告

 日医・米国研究製薬工業協会(PhRMA)共催シンポジウムが11月18日、「日米における災害時/緊急時の医療提供体制のあり方を考える」をテーマとして都内で開催された。
 冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、「日本各地で起こり得る大規模な自然災害や、2020年東京オリンピックを始め国内での国際イベント時の災害など、緊急時における国家レベルでの医療体制、関係機関の連携のあり方について、日米双方の知見や取り組み、課題を共有し、今後の施策を探りたい」と趣旨を説明。日医が昨年、災害対策基本法上の指定公共機関となり、自身が中央防災会議及び防災推進国民会議の議員に就任したことに触れ、日医としても本シンポジウムを参考にしたいと述べた。
 第1部では、まず緒方俊則内閣府大臣官房審議官(防災担当)による基調講演「我が国の災害対応について」が行われた。同審議官は大規模災害発生時には、内閣府が中心となって対応を協議する仕組みとなっていることを紹介した上で、災害発生時には、30分以内に「緊急参集チーム」として、関係省庁の局長等の幹部職員を官邸に召集し、防災担当大臣のリーダーシップの下、情報収集や初動措置の調整を行っていると説明。
 南海トラフ地震については、人命救助に重要な"72時間"を意識しつつ、緊急輸送ルート、救助、医療、物資等の各分野でのタイムラインと目標行動を設定しているとし、医療においても平時からの取り組みを求めた。
 その後、指定発言として伯野春彦厚生労働省医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長が、同省の取り組みを説明。(1)災害拠点病院として全国で695病院を指定、(2)DMATの迅速な派遣に向け、事務局を国内2カ所に設置、(3)広域災害救急医療情報システム「EMIS(イーミス)」を用いて厚労省、被災自治体、DMAT等が情報を共有─するなど、3本柱を中心に災害時の医療活動体制を構築しているとした。
 続いて、講演3題が行われた。まず、石井正三常任理事が、「日本医師会から見た災害対策と実践」として、JMAT活動について、発災直後に派遣されるDMATが撤退した後、被災地の診療支援を引き継ぎ、長期にわたって支援するとした他、各国の医師会とも相互支援するiJMAT構想も立ち上げたことを説明。また、南海トラフ地震に備え、JAXA等と協力して、人工衛星を利用した情報共有システムを構築していることを紹介した。
 指定発言では、永田高志日医総研客員研究員が、パリ同時多発テロ事件やボストンマラソン爆弾テロ事件を取り上げ、迅速な負傷者対応のためにも警察と医療の協働も考えていく必要があるとした。
 米国連邦緊急事態管理庁(FEMA)の元最高執行責任者であるケン・バーリス氏は、「米国における医療現場の災害準備のアプローチ」として講演。カトリーナなど大型ハリケーン等の災害対応で指導力を発揮した経験を踏まえ、発災後には物流システムの整備や大型の遺体安置施設の整備などが必要になることから、国と連携して進めていく重要性を強調。災害対応の成功の鍵として、(1)一貫性のある的を絞った財政支援、(2)地域ごとの段階的な資本資産分配、(3)医薬品備蓄の確保、(4)明確な指揮管理系統、(5)システム全体における訓練・実習の調整─などを挙げた。
 非営利団体であるヘルスケア・レディのニコレット・A・ルーサント博士は、災害発生時に医薬品の継続的な供給を確保することを目的に設立された同団体の活動を紹介。官と民の医療機関や団体と協力し、災害時に直接的な支援をする他、(1)クリティカルな問題の事前解決策の策定(2)政策立案者や影響力のある人への教育(3)医療の回復に関するプログラムとレポートの策定及び問題点の特定─を行い、地域社会の復興に貢献しているとした。
 第2部では、石井常任理事らの司会によるパネルディスカッションが行われ、「政府や関係機関における調整の仕方」「病人や外国人など災害弱者への対応」「災害時の医薬品調達に向けた事前の準備」などを巡り、活発な質疑応答がなされた。出席者は178名。

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