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平成28年(2016年)2月20日(土) / 南から北から / 日医ニュース

DIYの悲劇

 私はメカニカルなものが好きで、自分でいじくることが大好きである。昨今は、断捨離というか、すぐさまものを捨ててしまうが、時に職場のゴミ捨て場から、ものを救出してきて手を加えて、まだ使えるだろうと現役に復帰させる。

 しかし、周りからは不評である。世の中が修理を前提としてものを作ってはいないので、修理する方がお金が掛かるから買い換えた方が良いと言われることが多いのが現実で、それはそれで理解はできるのだが、本当のエコとは、ものを捨てずに修理して使うことにあるのだと思う。

 DIY(Do It Yourself)店に一度行くと数時間は飽きることなく、プロの使う道具や、DIYの講習を見て回り、小間物を少々買ってストックしていた。妻の買い物には15分で限界に達してしまい、妻の方も買い物に邪魔者は必要ないと解放してくれるが、ホームセンターやプロ専門の工具店に行くと、とってもうきうきしてしまう。

 子どもの頃の私の周りには分解されたもの、分解されつつあるもの、分解を待っているものが山積みとなっており、プラモデルもおびただしい量が段ボール箱に突っ込まれていた。

 今、自分がどんな道具を持っているか確認してみると、よく軍事兵器の見本市のように(たとえば戦闘機の搭載可能兵器を周りに並べるように)写真を撮ってみたいくらい多種多様なものがあり、奥様の目を盗んでよくこれまで集めたものと自分でも感心してしまう。

 ところが実際に、DIYを行うのには一番大事な要素が欠けていたために、ストックされたパーツはもはやデッドストックと化し、どのように整理したら良いのか分からない。ましてやプロ店で買った箱詰めの釘など、おそらく今世紀中には消費不可能であろうと思われる。

 DIYとは、自分でいろいろなことをやることによって、職人さんを雇って行うよりもずっと安価にできるということだが、私の場合、この方がはるかに経費が掛かってしまっている。また、プロなら問題のないことも、素人の生兵法では大けがをすることもある。

 一度、便器の水の流れが悪すぎるので、上を開け、いじくり始め、ある部品を外した途端に"大出血した"。ウムこれは人間で言えば、アオルタに穴を開けた時だな、なんぞと考える間もなく、水はあふれ、廊下に流れ、まずいことに水道管に付いている止水栓が錆びついて、水が止まらない。人間だったらサティンスキーかデュベーキー、クーリーで"えいや!"だが、相手はステンレス系の管である。しょうがないので、妻を呼んで雑巾で出血点を圧迫止血させながら、家の外の本管の止水栓を締めに走った。

 これで止まったのはいいが、今度は家全体が断水になった。まだ風呂に入っていない妻と娘は、激しく私を非難し、食器洗いさえ終わっていない現状ではどうしようもなかった。しょうがないので水道の救急屋さんに電話を掛けて来てもらったが、本来問題となる部品以外にもユニットで一気に交換されて、財布の方が"大出血してしまった"。

(一部省略)

埼玉県 大宮医師会報 第714号より

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