閉じる

平成28年(2016年)2月20日(土) / 日医ニュース

小児在宅医療など地域医療に尽力した5名の功労を顕彰

小児在宅医療など地域医療に尽力した5名の功労を顕彰

小児在宅医療など地域医療に尽力した5名の功労を顕彰

 第4回「日本医師会 赤ひげ大賞」(日医・産経新聞社主催、ジャパンワクチン株式会社特別協賛)の表彰式並びにレセプションが1月29日、医学生も含め約200名の参加者の下、都内で開催された。
 国会会期中にもかかわらず、表彰式に安倍晋三内閣総理大臣、レセプションには塩崎恭久厚生労働大臣が駆け付け、受賞者を祝福するとともに日頃の活動を称えた。
 本賞は、現代の"赤ひげ"とも言うべき、地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に住民の生活を支え、その地域のまちづくりに寄り添った活動を続けている医師にスポットを当て、顕彰することを目的として、平成24年に創設したものである。

 表彰式の冒頭、主催者あいさつに立った横倉義武会長は、「地域とのつながりが薄れ、高齢者の孤独死が社会問題となっている昨今、地域に根差したかかりつけ医の存在が、高齢者の尊厳を保ち、住み慣れた地域でいつまでも健康に過ごせる社会を実現する鍵である」とした上で、地域住民の方々に寄り添った形で医療を展開している"赤ひげ先生"の役割がますます重要になってくると強調。受賞者の献身的な医療活動に敬意を表した。
小児在宅医療など地域医療に尽力した5名の功労を顕彰 塩崎厚労大臣(岡崎淳一厚労審議官代読)の祝辞の後、会場に駆け付けた安倍総理は、「地域に根差した医療の中心を担う皆様の高い使命感と行動力は、まさに現代の"赤ひげ先生"であり、皆様の受賞は全国で日夜黙々と地域医療に携わっていらっしゃる医師の方々の励みとなる」とねぎらいの言葉を述べるとともに、かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護の提供が全国津々浦々で円滑に進むよう地域医療の充実に努めるとし、檀上で受賞者一人ひとりと握手を交わし、公務のため退席した。
 引き続き、選考委員である石川広己常任理事が選考経過並びに講評を報告。続いて、主催者である横倉会長、熊坂隆光産経新聞社社長が受賞者に表彰状、トロフィー並びに副賞を手渡し、それぞれの受賞者が謝辞を述べた。
 栃木県の髙橋昭彦医師は、「人工呼吸器を付けた子どもの痰の吸引のために3時間以上続けて寝たことがないという、あるお母さんの話を聞いて、何かできることはないかと診療所の一室で子どもの預かりを始めた」と説明。経営面での困難を経てNPO法人化したレスパイトケア施設「うりずん」(現在は認定NPO法人)を、拡大移転して宿泊にも対応できるよう準備を進めているとした。
 神奈川県の山中修医師は、路上生活者などの診療だけでなく生活面でも支援し、12年間で100名以上を看取ったとし、横浜市中区・寿地区でホームレスやファミリーレスの人達のドクターとして働くべく、開業に至った経緯を述懐。「国民一人ひとりが1本の木。我々医師は虫の目で木を見て、木が集まって森になった時には鳥の目で森を見ることが大切だ」と述べた。
 岐阜県の土川権三郎医師は、「在宅療養を希望される方には満足できるケアが提供できるようにしたい、アルコールにとらわれて亡くなっていく人が一人でも少なくなって欲しいというのが出発点。関係者ができるだけ早く情報共有して動けるよう、毎日カンファレンスをしている。動けなくなるまで仕事をしたい」と述べた。
 鳥取県の高見徹医師は、「過疎の町で診療をしているが、これは都市が高齢化した時の医療だということを常に頭に置いてきた。地域医療は地域づくりをする医療でなければと一生懸命取り組んだ結果、日南町は高齢になって寝たきりになっても安心して住める地域づくりに成功した」と強調。今後は近隣の米子市に日南病院のノウハウを生かしたモデル地区をつくりたいとした。
 熊本県の緒方健一医師は、小児在宅医療への取り組みを深める契機となった往診先の母子とのエピソードを紹介。「1999年の大型台風による高潮被害でベッドが浮き人工呼吸器が壊れたが、お母さんが蘇生バッグを押しながら足がつくところまでベッドを運んで助かった経験から、医療・消防・行政の関係者と小児在宅医療の研究会を始めた」とした上で、「研究会を始められた大きな要因として医師会を通じて勤務医と顔の見える関係が構築できていたことが挙げられる」と述べた。
 その後のレセプションでは、公務を終えて駆け付けた塩崎厚労大臣が、「我々が子どもの頃、医師というのはとても近くに住んでいて、何かあると家に来てくれる存在だった。5名の受賞者は、地元の住民と一緒になってご苦労されている方ばかりだ」として、ますますの活躍に期待を寄せるとともに、「厚労省としても全国の"赤ひげ先生"を応援していきたい」と述べた。
 その他、レセプションでは選考委員である羽毛田信吾氏(昭和館館長・宮内庁参与)、向井千秋氏(宇宙航空研究開発機構技術参与・東京理科大学副学長)、山田邦子氏(タレント)、小林光恵氏(作家)からのゲストスピーチに続いて、受賞者所属医師会を代表して、小林博岐阜県医師会長からあいさつが行われた。
 また、約10分間にわたり受賞者の診療の様子などが映像で紹介され、盛会裏に終了となった。

受賞者
受賞者の功績
髙橋 昭彦医師
55歳 栃木県
ひばりクリニック院長
重度の障がいを持つ小児の在宅医療に尽力
0歳から100歳までの患者を対象として幅広く地域の医療を担う傍ら、在宅療養支援診療所として設立したNPO法人「うりずん」の理事長として小児の在宅医療に尽力。医療的ケアが必要な子どもの家族が24時間過酷な介護を強いられる中、人工呼吸器を付けた子どもを預かる重症障害児者レスパイトケア施設を開設。子どもにとって楽しい場所であるとともに、親たちが安心して預けることができる場所をつくることで家族の暮らしを支援している。
山中 修医師
61歳 神奈川県
ポーラのクリニック院長
身寄りのない人に寄り添い生活面でも支援
日本三大日雇い労働者の街、横浜市中区・寿地区の住民の「医衣食職住」環境を改善すべく医療施設を開設。「家族がいない人のための町医者」になることを診療の理念として、身寄りのない高齢者や疾病を抱える地域住民の人生の質の向上を目指している。また、地域のチームリーダーとして自身で立ち上げたNPO法人「さなぎ達」と協力し、路上生活者の夜間パトロールとともに健康状態の把握、食事の提供等にも従事している。
土川 権三郎医師
64歳 岐阜県
丹生川診療所所長
在宅で過ごす患者にきめ細やかなケアサービスを実践
「患者さんの希望に応え、希望を叶えてあげたい」という思いから地域医療・在宅医療に取り組む。赤ちゃんから高齢者まで症状も多岐にわたる患者さんを診察。在宅で暮らしたいと願う全ての人の希望を実現するため、対象者一人ひとりに焦点を当てたケア・カンファレンスを週1回行う等の努力の結果、在宅で看取りをする人が町内の全死亡者の33%となった。アルコール依存症の問題にも携わり、地域医師の連携に努めている。
高見 徹医師
66歳 鳥取県
日南町国民健康保険
日南病院名誉院長
まちの道路を病院の廊下に見立て往診に奔走
「まちは大きなホスピタル」「まちの道路は病院の廊下」をモットーに積極的にまちに出て、毎日の往診では100km走ることも珍しくない。高齢化率47.2%でも、在院日数は全国平均を大きく下回るなど、高齢になっても家族や地域で見守りを続け、自宅に住み続ける高齢者が多いまちづくりに貢献している。また、日南病院のモデルが今後の都市部での地域医療に必ず役立つと考え、新しい地域包括ケアシステムの構築にも奮闘している。
緒方 健一医師
60歳 熊本県
おがた小児科・
内科医院理事長
小児在宅医療の充実を図り重症の子どもと家族を支援
開院当初から一般診療を行う傍ら、当時は一般的ではなかった小児在宅医療支援を自ら開始・発展させた。超重症児とその家族及び小児在宅医療に関わる全ての人が安心して在宅医療に取り組めるようネットワークづくりにも尽力。また医療型短期入所施設「かぼちゃんクラブ」を併設し、家族の負担の軽減にも努めている。全国的に評価の高い開業小児科医が出務する小児救急医療「熊本方式」においても、中心的な役割を担っている。

順序は北から。受賞者の年齢は2016年1月末現在。

番組放送のお知らせ
 第4回「日本医師会 赤ひげ大賞」の表彰式・レセプションの模様や、受賞された先生方の診療の様子などを紹介した番組が下記のとおり放映される予定です。ぜひご覧下さい。
 番組名:BSフジ「密着! かかりつけ医たちの奮闘~第4回赤ひげ大賞受賞者~」
 日 時:2月21日(日)午後1時~(55分間)

関連キーワードから検索

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる