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平成28年(2016年)3月20日(日) / 日医ニュース

勤務医と医師会

勤務医のページ

医師として必要な条件

 もうすぐ4月、今年も19名の研修医が当院にやってくる。研修医オリエンテーションの初日、院長講話として、私は毎年、研修医に医師として必要な条件を語り掛けている。
 その中では、「医師という職業はProfessionと称される。
 Professionとは専門的職業を指し、かつては神学・法学・医学をいった。Professionとしての要件は3つある。
 まず第一に、利他の心、無私の精神で、患者の利益を最優先させる。我々医療者には、奉仕の精神と慈悲の心、良心的誠意が根本にある。志を高く、医療を支えているのはノブレス・オブリージュ(地位や身分に相応した重い責務・義務という意味の仏語)の精神で、これからいかにこの精神を醸成させていけるかである。
 第二に、専門職としての質の向上である。優秀な人材が、努力と訓練で培った専門的技術、科学的根拠と倫理性に支えられた技術、アートとしての医術、高いレベルの知識と技能を身につけ、常にその向上を図ることが大切である。
 第三に、医師としての職能団体であるAssociationに加入して、医師の自律性の確保、お互いの仕事の規制と監視、医師としての誇り、名誉、信頼を守り、信頼に値する行動の担保(医の倫理綱領、職業倫理指針の遵守)等は必須である。
 日医は、世界医師会が認めた日本で医師が個人資格で加入する唯一の団体で、学術団体であり、職能団体である。医師としてのスタートを切るに当たり、医師会に加入して、真のProfessionを目指し、自ら医の未来を切り拓いていくことを期待する」と話している。
 そして、その場で医師会入会案内書を全員に配布し、県と市医師会の会費は無料であること等を説明した上で、日医への加入を要請している。
 日医では、平成27年度より研修医会員の会費が無料となった。医師になった以上、医師会に加入することが当たり前と思える風潮になれば良いのだが。

医師会の組織率

 医師会の組織率低下が叫ばれて久しい。平成26年12月31日現在、医療従事医師数は29万6845名であるが〔平成26(2014)年医師・歯科医師・薬剤師調査〕、うち日医の会員数は、平成27年12月1日現在、16万7029名と組織率は56%程度に過ぎない。その内訳は、A1会員8万3604名、A1以外の会員(B、C会員を含め多くは勤務医と考えられる)が8万3425名で、医師会に加入していない約13万人の多くは勤務医と思われる。
 医師会は三層構造になっているため、郡市区等医師会または都道府県医師会のみに加入して、日医には未加入というケースもみられる。
 岩手県医師会は平成20年から研修医会員の会費無料化に取り組んだ成果か、勤務医の会員数は増加傾向にあり、平成27年度は全会員数2309名に対し、研修医を含めた勤務医会員数は1609名で、69・7%が勤務医会員となった。
 一方、日医会員加入数は全体で2309名中1622名(70・2%)、勤務医会員に限ってみると1609名中日医会員数は904名(56・2%)と明らかに低い数字である。煩雑な入会手続きの解消、入会手続きの窓口となる郡市区等医師会事務局との組織強化に向けた思いの共有など、取り組むべき課題は多い。
 当院は、研修医も含め医師は189名在籍しているが、医師会加入者数は91名(48・1%)と半数以下であった。
 診療科長以上には、常に顔の見える地域連携が必要であるという理由で医師会への加入を呼び掛けており、診療科長はほぼ全員医師会に加入していた。今回、医長クラスの加入率がきわめて低いことが判明したが、年齢的には中間層である医長クラスの医師への医師会加入に向けての働き掛けが希薄であったと反省している。

日医勤務医委員会

 勤務医委員会では、昭和58年に設置されて以来、勤務医に関わる諸問題の検討を行ってきた。平成26・27年度は、各ブロック推薦委員8名に日医からの推薦6名を加え、計14名のメンバーで平成26年10月にスタートした。
 前期の諮問は、「勤務医の組織率向上に向けた具体的方策」で、答申内容に盛り込んだ日医理事の勤務医枠の創設、第29回日本医学会総会2015関西への勤務医セッション特別企画『勤務医と地域医療連携』での参加等は素早く対応して頂き、実現を見た。深く感謝している。
 今期の諮問は、「地域医師会を中心とした勤務医の参画と活躍の場の整備─その推進のために日本医師会が担う役割─」であり、地域の医師会がいかに組織づくりをしていくかという視点が重要で、日医の担う役割を明確にしていく必要がある。勤務医の意見を医師会の会務に反映させるため、各都道府県医師会で勤務医の意見を集約し、それを各ブロック医師会、日医に上げていくという枠組み(フレームワーク)をつくる方向で議論を進めている。
 一方、答申を作成するだけでなく、行動する委員会でなくてはならないと考えており、医療事故調査制度、病床機能報告制度、地域医療構想等、勤務医は傍観するだけではなく、医療を巡る諸問題にしっかり目を向けて意見を述べることが大切で、その際に医師会の存在が大きな支えになると信じている。
 そのため、勤務医委員会での真摯(しんし)な議論と並行して、5名からなるワーキンググループ(WG)を同時に立ち上げ、諮問の検討のみならず、医療事故調査制度を巡る諸問題、勤務医へいかに情報発信を行うか等、同委員会での検討内容を踏まえた議論の深化を図っている。
 こうした議論を重ねる中で、勤務医委員会の答申では、全国から勤務医が参集する、全国医師会勤務医部会連絡協議会や都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会の他、フレームワークのモデルとなるよう「ブロック代表者会議(仮称)」の設置を提言することが確認された。
 なお、平成28年度の都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会では、協議のテーマが医療事故調査制度とフレームワークに絞られており、より実効性のある会議となることを期待している。
 以上、勤務医委員会としてはアクティブに活動をしている。この活動状況をいかに全国の勤務医に伝えるか、勤務医一人ひとりが自分の問題として考えてもらいたい。医師会加入を始め、医師会の存在意義を改めて認識して頂くことが喫緊の課題であると考えている。

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