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平成28年(2016年)5月20日(金) / 日医ニュース

臨床研修医が医師会員になる意味

勤務医のページ

勤務医の組織化

 勤務医の組織化について議論がなされるようになってから、かなりの時間が費やされている。診療報酬や医療行政に医師会が深く関わっていることを勤務医が知らぬはずもないが、患者への対応やコメディカルとのカンファランス、学会活動や専門医取得などに多くの時間を注がざるを得ない実情がある。
 勤務医は日常の業務に追われ、医師会に目を向けることができず、また、医師会の情報に触れることが少ないことも、医師会への入会を妨げる要因となっている可能性がある。そのような中で、臨床研修制度では、勤務医は指導医として働いている。
 また、医師会に入会することなく、新規に開業する医師達がいる。医師会の存在なしでも日常の診療には差し支えないということなのか。
 医師会が関わっている地域医療の中での子ども達を守る学校医の役割や、自治体が行う検診業務や予防接種などに携わることを不要と思う医師達が存在するのかも知れない。社会的役割をもって人は生きるのであり、医師は生命に関わる職業であれば、高い倫理観の中で医師としての矜持(きょうじ)を持つことが必要となる。
 日本医師会綱領にあるように、国民の健康を守ることが医師の使命であることを忘れてはならない。

研修医の医師会費無料化

 平成27年度より、臨床研修医の日医会費は無料となり、多くの都道府県医師会や郡市区等医師会でも同様の対応が進められている。このことによって、多くの研修医が医師会に入会することが期待される。研修医が医師会活動に触れ、そして理解することを求めることが医師会費無料化の大きな目的である。
 研修医の実態や研修医の考え、医師会への期待などを医師会役員が知ることは、ジェネレーションギャップもあって極めて難しい。そのような中で、入会してくる研修医達と医療を語る機会を得ることになる。日医として、これからの研修医の医師会費無料化の中で行わねばならないことは、「無料にしたから入会を」ではなく、その世代の医師達の考え方に触れる機会を得たと考えるべきである。
 臨床研修修了後も医師会活動に参加することを求めるならば、我々勤務医は、医師会活動のtraineeである研修医の良きtrainerでなければならない。そのためには、研修医の医師会活動を支援するプログラムを研修医自身と共につくり上げていく必要がある。研修医が早い時期から医師会を知ることも、組織化につながる一法である。

日医勤務医委員会臨床研修医部会の役割

 日医には勤務医委員会臨床研修医部会が設置されており、私は勤務医委員会委員長として同部会に参加している。
 多くの有能な研修医達が、初めて実際に医師会に触れ、とまどいながらも理路整然と意見を交わす姿は、これからの日本の医療を担うに足る人材であると大いに期待するところである。
 同部会では、個人的な思いや専門医制度などへの懸念などが語られるが、先輩である勤務医のさまざまな意見に触れることも必要となる。
 しかし、研修医は2年間という短い研修期間で多くの課題を成し遂げねばならず、多忙な業務の中にいる。そのような中で、同部会で医師会について議論される内容は、自ずと制限されてくる。
 『ドクタラーゼ』の発行や臨床研修医部会の設置等、日医では、医学生や臨床研修医に対する支援・取り組みが進められているが、かつて、我々は研修医となる医学生に臨床研修制度について意見を求めたであろうか。専門医制度をつくろうとする際に研修医に意見を求めることがあるだろうか。
 制度をつくるに際して、そのような意見を聴取する必要はないといったこともあろう。しかし、情報不足の中で不安のみが広まれば、制度の真の意味を理解することなく、戸惑いの中で不信の芽を育てかねない。
 医師会活動へ多くの若い有意の医師達を招き入れるためには、彼らと共に医師会活動を考える機会となる「勤務医委員会臨床研修医部会」を目指していかなければならない。
 無料化によって医師会は研修医に何を求めるのか。このことを明確に伝えなければ、決して研修医の思いに適った医師会となることはあり得ない。短い研修期間の中で、医師会の綱領などを理解し、活動に参加し、先輩医師にまみえることができるか。
 研修医を医師会に招き入れることは、実は途方もない実験なのではないだろうか。そのためには、地域医師会での情報を収集し、研修医のつながりをつくる作業が必要となる。多くの研修医がさまざまな環境の中で研修を行っている。労働過重の問題、医療事故調査制度への不安などの多くの問題を十分に理解できないままに日々の業務に当たっている。
 このような研修医の情報をいかに集約することができるのか。医師会員となった研修医の意見をどのように集約するのか。そして、いかにして医師会は彼らを守ることができるのか。途方もない作業が待っている。この取り組みに多くの全国の有意の勤務医が参加して頂くことを心より願っている。
 そのための意見集約のためのフレームワークの構築を、今期の勤務医委員会は提唱した。医師会活動の大いなる変革を目的として、勤務医委員会が活動することを願っている。

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