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平成28年(2016年)6月20日(月) / 日医ニュース

「医療事故調査制度、勤務医の意見等を吸い上げるためのフレームワーク」をテーマに

勤務医のページ

160620n.jpg 平成28年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が5月20日、日医会館小講堂で開催された。
 勤務医担当の笠井英夫常任理事の司会で開会。冒頭、あいさつに立った横倉義武会長は、まず、医師会の組織強化について触れ、「組織強化は国民の医療に資するために勤務医と開業医または立場の異なる勤務医同士の融和をより一層深めるための取り組みでもある。それぞれがお互いの多様性を認めながら、『日本医師会綱領』の理念の下に大同団結していくことが重要である」と改めて強調。
 その上で、医師会活動に、より多くの勤務医の参画を得るためには、医師会への入会窓口であり、現場の医療に根差した医師会活動の基本を担う郡市区等医師会が、それぞれの地域の特性に応じて、勤務医が参画しやすい環境を整備する等、より具体的な取り組みを行うことが不可欠であると指摘した。
 また、「より多くの勤務医の参画を得る中で、三層構造を持つ医師会組織の基本的な情報伝達、意見聴取のための仕組みを適切に機能させることで、さまざまな立場の、より多くの勤務医の先生方の意見を吸い上げ、それらの多様な声を踏まえた会務運営を行うことが重要だと考えている」と述べた。
 議事に移り、坂本哲也秋田県医師会副会長が、平成27年10月に秋田市内で開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」について報告(別記事参照)
 続いて、本年度当番県である大阪府医師会の下村嘉一理事が、次回は「2025年問題と勤務医の役割(仮)」をメインテーマとし、11月26日に大阪市内で開催予定であると説明した。

協議1 医療事故調査制度について

 引き続き、上野道雄日医医療安全対策委員会副委員長/福岡県医師会副会長が、「医療事故調査制度」について講演を行った。
 平成27年10月の医療事故調査制度の施行後、全国各地で多数の講演を行ってきた上野氏は、自身の経験をもとに、研修会等でも紹介している模擬事例を用いながら、院内医療事故調査委員会での流れ等について解説した。
 院内事故調査委員会での論点である病態及び死因について、上野氏は、「医療事故調査委員会における死因究明の審議では、その病態(死因)と人的要素との関係に討議が集中してしまうと、当事者の過誤以外の要素を検討する機会を失ってしまう」と指摘。その上で、「医療事故調査委員会における審議が診療の妥当性や遺族の苦情を否定すること等に集中しないためには、幅広い視野で忌憚(きたん)のない議論を尽くすことが必須である」と説明した。
 また、そのためには、"初期対応"において、十分な資料を集めて、正確な「事例の概略」と「論点整理」を準備することが重要であると強調。事例の概略には聞き取りによる調査が最も大切であるとするとともに、「医療機関と関係者が心を開いて事実の全てを語ることが、医療機関・医療関係者、ひいては遺族の納得へとつながり、医療への信頼を導くことにもなる」と述べ、本制度への更なる理解と協力を求めた。

協議2 「勤務医の意見等を吸い上げるためのフレームワーク」をテーマに

 続いて、泉良平日医勤務医委員会委員長/富山県医師会副会長が、「勤務医の意見等を吸い上げるためのフレームワーク」の先行事例報告を行った。
 泉委員長は、今期の勤務医委員会では、会長諮問「地域医師会を中心とした勤務医の参画と活躍の場の整備―その推進のために日本医師会が担う役割」を受け、地域医師会における勤務医活動の活性化を図るために、勤務医の意見等を集約し日医の会務に反映するための「フレームワーク」の構築と、その具現化に向けた取り組み等について議論を進めてきたとした。
 その上で、勤務医委員会が答申の中で提言した「フレームワーク」について、検討するに至った経緯等を含め、イメージ図を用いながら説明するとともに、その先行事例として「平成27年度中部医師会連合勤務医特別委員会」での取り組み(①医療事故調査制度②医療勤務環境改善支援センター③勤務医の医師会への加入策―の3点について討議を行い、中部医師会連合委員総会にて報告を行った)を紹介した。
 更に、平成28年度も引き続き、中部医師会連合勤務医特別委員会を設置することが決定され、①新専門医制度②医療事故調査制度の問題点―について検討を行う予定となっていることに触れ、それぞれのブロックや都道府県医師会の特性に応じた意見集約の方策を検討し、そのための取り組みを進めていくことの重要性を強調。「本日の議論を各医師会に持ち帰り、勤務医の意見集約のための方策を探って欲しい」と要請した。

※外字は代替文字で表記しております。

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