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平成28年(2016年)7月5日(火) / 南から北から / 日医ニュース

笑い

 「中高年のみなさんっ」で話が始まる毒舌漫談師、綾小路きみまろの公演会が東京の明治座であるとインターネットで情報を得、先行予約した。
 母と母の友人2人、合計4人分の座席をS席で確保しようとコンピューターの前に身構えたが、予約申し込みが始まった途端座席は埋まり、ようやく私が手に入れたのはS席2階の席だった。
 赤い燕尾服に扇子を持ち「ピンピンコロリ、ピンコロリ」と歌いながらきみまろ氏登場。「これはね、毒舌漫談だからね。前の席のそこら辺の人たち今日の犠牲者よ。覚悟してね」と、扇子の先で指されている前方の席の人たちはうれしそうに身をよじって笑っている。言われているお客さんたちは60歳代、70歳代の女性が多いが、「この日のために朝から、ねえお父さん、このお洋服で良いかしら? この口紅でどうかしら? と、聞いてきたのでしょう、その顔で」。冷静であれば、何とも失礼な話だが、聴衆は爆笑。「あなたのことなのに笑っていいの?」と最前列の女性たちに扇子の先を向けると、言われた本人たちはこれまた手を打って大笑い。「あなたも、あなたも、あなたもなのよ」と、一人ずつ扇子の先で指された側は笑いすぎてハンカチで涙を拭いている。
 きみまろ氏も中高年、聴衆も中高年。年をとっていくことの悲哀さはあるはずなのに、それを題材にして笑いで吹き飛ばしている。「みなさんっ、死亡率は100%です!」当たり前なのに、もう笑いが止まらない。きみまろ氏の公演会はいつも満員だそうだ。まあ、これだけの会場をたった1人の漫談で大したものだと感心する。笑いは健康に良いとはよく知られていることだが、母の60数年来の友人も「お陰で寿命が延びたわ」と喜んでくれた。
 抱腹絶倒の公演は綾小路きみまろに限らない。
 トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団というのがある。れっきとしたクラシックのバレエ団だ。他のバレエ団との違いはダンサー全員が男性のみ。そのため女性の役も男性が踊る。女装をして、つまり女性用のタイツにトーシューズを履きチュチュを着て女性の踊るべきパートを踊る。正統派バレエを踊るのだが、何しろ筋肉ムキムキの男性がチュチュを着る、それだけで笑いを誘う。王子様より大柄なお姫様が出てきてリフトに難渋したり、瀕死の白鳥がなかなか死ななかったり、厚化粧のバレリーナが愛嬌を振りまいたりの舞台に笑い疲れてしまうくらいだ。
 私がこうして毎日をゲラゲラ笑いながら過ごしていると思ったら大間違い! ストレスフルな毎日だからこそ笑いが必要。私にとっては、笑いこそが精神と肉体の健康の第一条件とも言える。
 ちなみに笑いは加齢とともに減少していく。しかし、笑いは美容、美肌、女性ホルモンのバランスを整え、新陳代謝を促進してくれるのだそうだ。笑うことでキラー細胞が増加し、がんに対する抵抗力も増す、との報告は有名だ。
 先日もYouTubeで音楽を聴いていたら、古舘伊知郎のインタビューを受けている綾小路きみまろの動画が出てきて、少し古いものではあったが「贅沢(ぜいたく)をしてもいないのに贅肉(ぜいにく)がつき、寄せて集めてDカップ」。一人でげらげら笑っているので家族が白い目で見る。しかし、笑っている人生としかめ面ばかりしている人生とどちらが幸せだと思う?
 不思議なのはお笑い公演でも何でも圧倒的に女性が多い。男性諸君、笑うの、嫌い?

(一部省略)

千葉県 柏市医師会報 第039号より

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