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平成28年(2016年)8月5日(金) / 日医ニュース

ICT普及による子ども達への新たな影響について活発に議論

ICT普及による子ども達への新たな影響について活発に議論

ICT普及による子ども達への新たな影響について活発に議論

 パネルディスカッション「スマホ時代を賢く生きる~困っていませんか!? 子どものスマホ~」(主催:日本小児連絡協議会、共催:日医)が7月2日、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭あいさつした道永麻里常任理事(学校保健担当)は、「ネットの普及は子ども達の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、いじめや不登校、引きこもりの引き金にもなると言われており、早急な対応が求められている」とした上で、参加者に対しては、「これらの課題を共有し、子ども達が賢く生きるためにはどうすればいいのか、一緒に考え、一人ひとりが行動するきっかけにして欲しい」と述べた。
 続いてあいさつした岡田知雄前日本小児保健協会長は、日本小児連絡協議会(日本小児保健協会、日本小児科学会、日本小児科医会、日本小児期外科系関連学会協議会の4団体で構成)の「子どもとICT~子どもたちの健やかな成長を願って~」委員会が昨年1月に公表した「子どもとICTの問題についての提言」の内容を紹介するとともに、「中高生の8・9%、52万人もいると言われるネット依存症などの問題点とその対応策について、専門家を交えて議論していきたい」とし、忌憚(きたん)のない意見を求めた。
 引き続き、講演4題が行われた。
 内海裕美日本小児科医会理事(子どもとメディア委員会担当)は、スマートフォンなどの普及によって、人との関わりが薄れたことで、成長に必要な「眠ること」「食べること」「遊ぶこと」「愛されること」が不足し、体力低下、学力低下、コミュニケーション力不足などの問題が現代の子ども達には起きていると指摘。その上で、子ども達を健やかに育てていくためにも、大人達は自身にとって便利なものでも、子どもにはそれが悪影響を及ぼすこともあるという認識の下、その対応策を真剣に考えていかなければならないと訴えた。
 山縣然太朗山梨大学大学院総合研究部医学域基礎医学系社会医学講座教授は、スマートフォン等の過度な使用により、子ども達の健康への影響が懸念される中での国や地域の取り組みを紹介。文部科学省が2014年に公表した『児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック』にスマートフォン等の使い過ぎに関する注意喚起がなされていないことに懸念を示すとともに、ネット依存症になる前に、地域全体で過度な使用を止めさせる取り組みを行うことが重要になると強調した。
 樋口進独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長は、子ども達のネット依存症の症状を解説するとともに、本人が自分の意思で行動を変えていくように支援していくことが治療の基本になると説明。現在のネット依存症をめぐる問題点としては、①ITの使用促進が優先され、対策が遅れている②ネット使用やネット製品提供側への規制がない③疾病の概念が未確立④専門医療機関が少ない―ことなどを挙げ、その改善を求めた。
 坪田一男慶應義塾大学病院眼科診療部長は、眼科医の立場から、スマートフォンへの依存の問題点として、①太陽光を浴びることが少なくなることで近視になりやすい(重度の近視の場合は失明の可能性もある)②ブルーライトを浴び続けることで体内時計が狂い、不眠症、うつ、高血圧になりやすくなるだけでなく、がんの発症率も高まる―ことがあると指摘。その解決策として、「昼間の屋外活動を増やすとともに、夜間のスマホ使用を極力控えて欲しい」と呼び掛けた。
 その後は、総合討論に移り、パネリストと参加者との間で活発な質疑応答が行われ、終了となった。

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