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平成28年(2016年)8月20日(土) / 日医ニュース

武見フェロー2名が研究成果を報告

武見フェロー2名が研究成果を報告

武見フェロー2名が研究成果を報告

 2015~2016年度の武見フェローである豊川貴生氏(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター内科医長)、棟居徳子氏(金沢大学人間社会研究域法学系准教授)による帰国報告会が7月26日、日医会館で行われた。
 武見国際保健プログラムは、1983年に武見太郎元日医会長の国際保健における「医療資源の開発と配分」の構想に着目したハーバード大学が、日医の協力の下、同大学公衆衛生大学院にその名を冠して設置した学際的研究プログラムであり、日医から毎年2名の研究者を派遣している。
 報告会は道永麻里常任理事の進行の下、横倉義武会長始め日医役員、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会、武見フェローOB、日医総研研究員、JMA―JDN、ら約60名が出席し、報告と質疑応答が行われた。
 冒頭あいさつした横倉会長は、昨年6月にボストンの同プログラムを視察した際に、フリオ・フレンク学院長から、ハーバード大学内においても同プログラムは高い評価を得ているとの説明を受けたことを紹介。「各国の公衆衛生の向上にも貢献している同プログラムを、日医としても引き続き支援していきたい」と述べるとともに、参加者に対して協力を求めた。
 報告では、まず豊川氏が「感染症指定医療機関調査からみた一類感染症対応の課題」と題して、2014年以降のエボラウイルス感染症の大規模流行と医療従事者の高い罹患率について説明。
 「先進国でも一類感染症への対応がいまだ不十分であることを明らかにしたものだ」として、危機感を示した。
 その上で、日本の感染症指定医療機関に対して実施した調査結果を基に、わが国には診断や患者管理に関する指針や医療廃棄物、遺体管理に関する取り決めの未整備、専門科医師の不在などの問題点があると指摘。
 その改善策として、各指定医療機関に対しては、一種病床の維持・管理、新しい知見、必要な対策の更新、診療に必要な専門職の確保、現実的なチーム編成、労務管理体制の確立等を求めるとともに、国に対しては、現行の医療資源をベースとした、より良いシステムの検討及び達成すべきベンチマークの設定、定期的な外部評価の実施を要望した。
 「原子力災害対策の人権保障上の課題」と題して講演した棟居氏は、東京電力福島第一原子力発電所事故以降も、国際的な原発の需要は低下しておらず、原子力災害対策は世界的な重要課題となっていると指摘。
 原子力災害被災者の人権保障に必要なこととして、不必要な被ばくの回避、放射能に関する情報へのアクセス、健康検査の受診と結果の説明、被ばくに対応するヘルスケア(精神的・心理的ケアも含む)へのアクセス、意見の表明及び自らの健康に関する全てのレベルにおける意思決定への参加の機会を与えることなどを挙げた。
 また、わが国の今後の課題としては、人権的モニタリングのメカニズムの構築、人権ガイドライン・人権指標の開発などを挙げ、その整備が進むことに期待感を示した。

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