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平成28年(2016年)10月5日(水) / 日医ニュース

特別寄稿 東京2020パラリンピックに向けて―医療関係者へ期待するもの―

全国障害者スポーツ大会開会式

全国障害者スポーツ大会開会式

 4年後に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、障がい者スポーツと医療との関わり、医療関係者にご支援頂きたい事項などについて、『日医ニュース』の紙面をお借りして説明させて頂きます。

1.障がい者スポーツの始まり

161005n2.jpg 障がい者スポーツは、英国で脊髄損傷者のリハビリテーションにスポーツを取り入れ、それが身体機能の改善と早期の社会復帰に有効であると認められたことから始まりました。
 わが国では、1964年に東京で開催された第2回パラリンピックを契機に、翌年、日本身体障害者スポーツ協会(当協会の前身)が設立され、同年岐阜で開催された第1回「全国身体障害者スポーツ大会」をスタートに障がい者スポーツが全国的に広がりました。
 同大会はその後、知的障がい者と精神障がい者を加え、現在、「全国障害者スポーツ大会」と名を変え、国体後に同地で開催されています。
 また、国際的には、パラリンピックを始め、これまでさまざまな国際大会に参加してきています。

2.東京パラリンピック大会への期待

161005n3.jpg ブラジルで開催されたリオ2016パラリンピックも終了し、いよいよ2020年には世界初となる同一都市で二度目のパラリンピックが東京で開催されます。
 3年前の開催決定以来、当協会では、組織委員会、東京都、行政と連携して課題に取り組んで参りました。関係者間では、東京オリンピックの成功はパラリンピックの成功にかかっていると言われており、パラリンピックへの注目度はますます高まる一方です。
 また、大会後のレガシーとして、障がい者スポーツの更なる普及、障がい者の自立、社会参加の促進、共生社会の実現などが期待されます。そのためには、ぜひとも大会を成功させなければなりません。
 それには、満員の会場で日本選手団が大活躍する姿を見せることが重要で、そのためには、国民が広く障がい者スポーツを理解し関心を持つことと、選手の発掘と競技力強化が欠かせません。
 中でも、選手発掘に欠かせないのが、医療現場で日夜活躍されている医療関係者の皆様のご支援とご協力です。後述を読んで頂き、ぜひともご協力賜りたいと思います。

「医療と障がい者スポーツの関わり」
 (公財)日本障がい者スポーツ協会 医学委員長 陶山哲夫

Ⅰ.ステージ分類と医学的対処

 障がい者スポーツは、三つのステージに分かれています。
 各ステージごとの医学的な関わりは、次のとおりとなります。

1.「急性期~回復期」リハビリテーション(医療スポーツ)

 運動療法の一環として、医学的リハの中盤~後半に行うスポーツで、身体機能の向上・維持、ADLの確立と安定を目指すものです。
 OT・PTは局所的・基本的・個人的であるのに比べ、リハ・スポーツは総合的・全身的・集団的なものです。
 医療面では、運動処方を作成し、運動中の全身・局所のリスク管理や障がいに伴う随伴症状の管理が必要となります。

2.「維持期・生活期」生涯スポーツ(市民スポーツ)

 退院した障がい者が、地域のスポーツ施設で行うスポーツで、健康の維持、レクリエーション、心理的効果及び自立を目指すものです。
 医療面では、全身状態、特に心肺機能・血圧・脈拍・呼吸状態等のチェックと合併症、随伴症状の管理が必要となります。

3.「維持期・生活期」競技スポーツ

 強さ・速さ・高さ・巧(うま)さなどの競技能力を追求し、究極的にはパラリンピックを目指すものです。
 医療面では、運動負荷の増加と競技の特殊性において発生するスポーツ障がい・傷害の予防と治療、アスレチックリハビリテーションが必要となります。

Ⅱ.障がいの種類

 障がいの種類は、次の3つに分かれています。
 1.身体障がい(肢体不自由、聴覚障がい、視覚障がい、内部障がい)
 2.知的障がい
 3.精神障がい
 パラリンピックに参加できるのは、肢体不自由、視覚・知的の障がいであり、聴覚言語障がいには、別に国際大会のデフリンピックがあります。

Ⅲ.医学的支援

 障がい者スポーツに対して必要とされる医師の支援は、次のとおりとなります。
 1.医学的管理(内科的・外科的・視覚・聴覚・知的・精神の病態)
 2.アンチ・ドーピング(薬剤指導、啓発と教育)
 3.クラス分け(国際大会では必須で、国内・国際クラシファイアー)
 4.科学的研究と支援(体力・競技力・練習方法の研究と支援及び義手、義足、車いす等の義肢・装具の開発)
 5.心理と栄養に関する指導と支援など
 以上のように、障がい者スポーツにおける医師の支援は、急性期から生活期のステージ全般で各種の障がいに対して必要です。
 中でも、地域で生活する彼らにとって、スポーツは単に健康や趣味・娯楽にとどまらず、体幹機能等を向上させ、安定した日常生活を送る上で欠かせないものです。
 昨今、少子化や交通・労働環境の安全性向上により、障がい者のスポーツ人口が減っています。東京大会を成功に導くキーとなる選手の発掘は不可欠であり、そのためには、障がいを負った方々に一番近い存在である医療現場の先生方のご協力が大事です。
 彼らにスポーツを勧めて頂き、競技関係者へ繋(つな)げてもらうことで、一人でも多くの有望な選手が出現することを期待しています(選手の紹介は、最寄りの都道府県・指定都市の障がい者スポーツ協会または障がい者スポーツ競技団体へお願いします)。

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<問い合わせ先>

公益財団法人日本障がい者スポーツ協会

TEL:03-5939-7021
URL:http://www.jsad.or.jp/
 都道府県・指定都市の障がい者スポーツ協会は、上記HPの「協会情報」の「協議会」の「障がい者スポーツ協会協議会」をご覧下さい。

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