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平成28年(2016年)12月5日(月) / 日医ニュース

「みんなで築こう子どもたちの未来―考えよう学校医の果たす役割―」をメインテーマに開催

「みんなで築こう子どもたちの未来―考えよう学校医の果たす役割―」をメインテーマに開催

「みんなで築こう子どもたちの未来―考えよう学校医の果たす役割―」をメインテーマに開催

 平成28年度(第47回)全国学校保健・学校医大会(日医主催、北海道医師会担当)が10月29日、「みんなで築こう子どもたちの未来―考えよう学校医の果たす役割―」をメインテーマとして、札幌市内で開催され、日医からは横倉義武会長を始め、今村聡副会長、石川広己・道永麻里・釜萢敏各常任理事が出席した。
 当日は、午前に、「『からだ・こころ(1)』学校健診・学校教育・生活習慣病ほか」「『からだ・こころ(2)』運動器検診・運動器に関する諸問題や取組」「『からだ・こころ(3)』アレルギー・こころ」「耳鼻咽喉科」「眼科」の5つの分科会が行われ、各会場では研究発表並びに活発な議論がなされた。
 引き続き行われた都道府県医師会連絡会議では、三重県医師会を次期当番とすることを決定。青木重孝三重県医師会長からは、次期大会を、「輝ける未来を築く子どもたちのために―今、学校医ができること―」をメインテーマとして、平成29年11月18日に津市内で開催する旨の説明が行われた。

学校保健活動に対する長年の貢献を顕彰

 午後には、まず、開会式と表彰式が行われた。
 開会式であいさつした横倉会長は、本年4月の学校保健安全法施行規則の一部改正に伴う新たな健康診断の円滑な実施に対して敬意を表するとともに、「日本の将来を担う大切な存在である子ども達が、生きていくための基本的なスキルを身につける場が学校である。健康的な生活習慣あるいは病気やケガに対する正しい知識を学び、生涯保健の基盤を作ることこそが、学校保健活動に他ならない」として、学校保健関係者の役割と使命を改めて強調した。
 参加者に対しては、「本大会を通じて、学校保健並びに学校安全活動の重要性を再認識して頂き、なお一層の活躍をお願いしたい」と述べた。
 表彰式では、長年にわたり学校保健活動に貢献した北海道ブロックの学校医(9名)、養護教諭(9名)、学校関係栄養士(7名)に対して、横倉会長が表彰状と副賞を、長瀬清北海道医師会長が記念品をそれぞれ贈呈。受賞者を代表して津田哲哉氏からは、「本賞の受賞を契機に、学童、児童、生徒のこころとからだの健康を守るため、学校保健活動がよりよいものになるように、今後も引き続き研鑽(けんさん)・努力をしていきたい」との謝辞が述べられた。

シンポジウム「学校における健康診断の意義と役割」

 引き続き、「学校における健康診断の意義と役割」をテーマとしたシンポジウムが行われた。
 「学校健康診断をめぐる話題」と題して基調講演を行った弓倉整日本学校保健会専務理事/弓倉医院長は、まず、日本の学校健康診断の歴史について、「心電図検査」や「運動器」が必須項目になるなど、学校健康診断の項目は必要に応じて年々変遷してきたと説明。
 その上で、文部科学省が運動器検診と成長曲線に関して行った「平成28年度児童生徒等の健康診断の実施状況調査」の速報値(10月19日付)や自身が地元で行ってきた学校心臓検診での事例を示しながら、学校健康診断の問題点や課題を紹介し、「健診手法や時期には課題も多いが、地域特性を考慮しながら、児童・生徒にとってできるだけ効果的な健康診断になるよう、運用の改善や効率化を図ることが大切である」と述べた。
 3人のシンポジストによる発表では、まず、小池明美札幌市学校医協議会長/医療法人宮の沢小池子どもクリニック理事長が、成長曲線を有効利用することで、さまざまな疾患への理解及び早期発見・治療につながると指摘。その一方で、健康診断で使用している成長曲線は、小児科医が通常の診療で使用するものとは異なることから、学校現場と医療現場での混乱が生じているとし、その解決策として札幌市学校医協議会で検討を行い作成した指標「学校における成長曲線異常による『かかりつけ医受診』の基準」を紹介、その内容について解説した。
 山下敏彦札幌医科大学附属病院長/札幌医科大学医学部整形外科教授は、平成28年度より開始された学校における運動器検診について、学校医は運動器検診に不馴れなことから、触診や動作等必要な項目が実施されていないことを危惧。
 学校における運動器検診の導入は、成長期における運動器障害の早期発見・治療の他、運動器の健康保持の重要性に関する社会的啓発が期待されることからも、運動器検診の実施は必要なことであり、そのためにも1次検診実施体制の整備や保護者・スポーツ指導者に対する啓発活動、学校・医師会・行政・保護者等の連携体制の構築が求められると指摘した。
 渡辺徹北海道小児科医会副会長/医療法人社団恵幼会わたなべ小児科・アレルギー科クリニック院長は、アレルギー疾患の中でも近年話題となっている食物アレルギーについて解説。日本学校保健会による「平成25年度学校生活における健康管理に関する調査報告書」によると、食物アレルギー有病者及びアナフィラキシー発症者は平成19年の同調査に比べて、いずれの年代も著明に増加しているとし、「学校での食物アレルギー対応において、アナフィラキシー対策は最も重要な問題であり、迅速かつ適切な組織的対応が必要である」と強調した。

特別講演「伝えるのは命 繋(つな)ぐのは命」

 その後の特別講演「伝えるのは命 繋ぐのは命」では、坂東元(ばんどうげん)旭川市旭山動物園園長が、動物園が果たすべき役割は、来園者にヒトの生き方を基準にするのではなく多様な生き方があること、動物達の素晴らしさを感じてもらうことにあり、「展示している動物達が"生き生きとしていること"、例えばチンパンジーがチンパンジーとして一生を過ごせるように飼育をすることで、生きている命を観てもらい、命を伝えることが大切である」と説明。
 また、動物園に来る子ども達に、「命って何?」「死って何?」「生まれるって何?」と聞くと、「病気」と答える子が多いことを紹介。「『死』はすごく身近なもので、当たり前なこと。だから今を大切に一生懸命生きようという、ただそれだけの連続だと思う。誕生の数だけ必ず死があり、その死をしっかりと受け止めなければ、その命が本当に見えてこない」と述べ、命の大切さを伝えていく重要性を強調した。

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