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平成29年(2017年)3月5日(日) / 日医ニュース

地域医療に尽力する現代の"赤ひげ"5名の功労を顕彰

地域医療に尽力する現代の“赤ひげ”5名の功労を顕彰

地域医療に尽力する現代の“赤ひげ”5名の功労を顕彰

 第5回「日本医師会 赤ひげ大賞」(日医・産経新聞社主催、ジャパンワクチン株式会社特別協賛)の表彰式並びにレセプションが2月10日、皇太子殿下ご臨席の下、都内で開催され、5名の受賞者の功績をたたえた。

 本賞は、現代の"赤ひげ"とも言うべき、地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に住民の生活を支え、その地域のまちづくりに寄り添った活動を続けている医師にスポットを当て、顕彰することを目的として、平成24年に創設したものである。
 表彰式は、医学生を含め250名を超える参列者の歓迎の拍手の中、横倉義武会長の先導により、皇太子殿下をお迎えした後、開式された。
 冒頭の主催者あいさつで、横倉会長は、「皇太子殿下のご臨席を賜り、多くの関係者ご出席の下、本表彰式を遂行させて頂けることは大変名誉なことであり、心から感謝申し上げる」と述べた上で、「今回の受賞者も各地域で献身的な医療活動を行っておられ、まさに『現代の赤ひげ先生』と呼ぶにふさわしい」と受賞者を称えるとともに、「日本が世界が経験したことのないスピードで超高齢社会を迎える中、我々がどのような対応をするかに世界的な注目が集まっているが、その解決のカギは受賞者の先生方のような『かかりつけ医』の存在にあると確信している。必要とする医療が過不足なく受けられる社会づくりを目指し、引き続き国へ働き掛けていきたい」とした。
 次いで、皇太子殿下から、「受賞者の方々は、使命感を持って困難な条件を乗り越え、それぞれの地域にとってなくてはならない存在として活躍されており、そのたゆみない努力と取り組みに心から敬意を表す。受賞者の皆さんには、これまでの経験を次に続く若い方達にぜひ伝えて頂きたい」旨のお言葉(全文は別掲)を賜った。
 馬場成志厚生労働省政務官の祝辞の後、選考委員である道永麻里常任理事が、選考経過並びに選考講評を報告。続いて、主催者である横倉会長、熊坂隆光産経新聞社社長が、受賞者に表彰状、トロフィー並びに副賞を手渡し、それぞれの受賞者が謝辞を述べた。

5名の受賞者が喜びを語る

 秋田県の下田輝一医師は、「公立病院に勤務しながらも、日曜・祝日、夜間関係なく患者を診る父の姿を子どもながらに鮮明に覚えており、いつかは父のような仕事をしたいと思っていた」と地域医療に携わるようになった背景を振り返るとともに、当時無医村であった診療所へ赴任し27年、現在は本院の他に十数キロ離れた診療所、父親の診療所の3カ所で診察していること等を説明。秋田県が胃がんや脳卒中による死亡率が常に全国ワースト3に入っていることを危惧し、「これからも体の続く限り住民の方々を守るべく、邁進(まいしん)していきたい」と述べた。
 茨城県の大森英俊医師は、「祖父の代から続く診療所を継いだ際には、既に医療機関を受診できず、風邪をこじらせてしまう単身で高齢の患者が大勢いた。過疎や高齢化によるさまざまな課題も山積し、大学の医療との違いに驚くばかりだった」と当時の状況を説明。今回の受賞に関しては、「これまで、安心して暮らせる地域づくりを目指してやってきた活動が評価され、大変うれしく思う」と述べるとともに、今後、過疎化が進展し高齢者が増加していく中、地域医療を守るためには更なる取り組みが必要と考えており、過疎地の診療所が大学の力を借りることで、新しい地域医療の基盤づくりができないか検討中であるとした。
 神奈川県の明石恒浩医師は、「幼少期から外国語に触れる機会に恵まれたことで多言語を使えることから外国人の患者も多いが、外国の方が安心して受診できるよう、患者側の気持ちに立つことを心掛けてきた。この30年間さまざまなことがあったが、つらいとか苦しいと思ったことはない」と述懐。横浜市中区は住民の9人に1人が外国人(平成29年1月)という同市の中でもとりわけ外国人が多い土地柄のため、海外での医療に従事した経験のある医師も多いことに触れ、「本賞は横浜市中区の医師達を代表して受賞させて頂いたものと考えており、これからも精進していきたい」と述べた。
 京都府の大森浩二医師は、複数科の受診や通院が困難となった認知症患者への往診や自宅での看取りの問題に対し、医療情報連携システムの構築や多職種の連携によって対応したことで、より良い在宅医療が可能となったこと、また、「プライマリ・ケア教育の会」を設立し、病院専門医、研修医、診療所医師が本音で話し合う勉強会を定期的に開催していること等を紹介。「超高齢社会を迎えたわが国において、都市部における在宅医療は大きな問題となっている。今後も情報共有システムを利用し、チームで在宅医療に取り組み、患者とその家族に寄り添いながら、病院との連携を図り、ここに住んでいて良かったと思えるような医療を提供できるよう、努力していく」とした。
 鹿児島県の瀬戸上健二郎医師は、島に赴任した当時の医師不足は今の何倍も厳しく、赴任期間は半年の約束であったことなどを説明。「自分の専門でもある外科医療がどこまで通じるかやってみようとの思いで続けてきたが、自分が勉強したことが島の人達の役に立ち、喜んでもらえる。医師にとってこんなにうれしいことはない」とするとともに、「医師不足で一番苦しんできたのは離島やへき地の人々であり、それは今も変わっていない。それだけに島の人々は医療を熱望し、医療に感謝する心を持っている。島のおかげで私の人生も豊かになった」として、島の人々に感謝の意を示した。
 その上で、「地域医療の主人公は地域住民である」と強調、「島に戻ったら、この喜びを、みんなで分かち合いたい」とした。

受賞者はかかりつけ医の理想の姿―塩崎厚労大臣

170305a3.jpg 引き続き行われたレセプションでは、まず、国会の会期中にもかかわらず駆け付けた塩崎恭久厚生労働大臣が、「受賞者の方々は皆、地域における献身的、継続的な活動により、患者とその家族の人生に向き合って生活を支える全人的な医療を提供しておられ、まさに"かかりつけ医"の理想の姿である」とその功績をたたえた上で、厚労省として、医師、看護師など医療職種の新しい働き方・確保のあり方に関するビジョンの策定に向けて鋭意検討中であることを説明。「働き方のビジョンを示すことによって、若い医師達が生きがいを持って働くことができる医療現場の構築に資するようにしていきたい」とした。
 続いて、審査員でもある羽毛田信吾氏(昭和館館長・宮内庁参与)による乾杯のあいさつの後、皇太子殿下は5名の受賞者とご懇談され、長年の努力と取り組みの成果をたたえられた。
 また、医学生を始めとする出席者らともご懇談され、祝福と喜悦の拍手が鳴りわたる中、再び横倉会長の先導により、ご退場された。
 その後、会場では、小林光恵氏(作家)、向井千秋氏(宇宙航空研究開発機構技術参与、東京理科大学特任副学長)らからのゲストスピーチ(向井氏はビデオレター)、受賞者所属都道府県医師会を代表した森洋一京都府医師会長のあいさつに続いて、約10分間にわたり受賞者の診療の様子等が映像で紹介され、レセプションは盛会裏に終了となった。
 なお、当日の模様や、受賞された先生方の診療の様子などを紹介した番組「密着! かかりつけ医たちの奮闘~第5回赤ひげ大賞受賞者~」が、BSフジで3月5日(日)午後2時から55分間放映された。

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皇太子殿下のお言葉

170305a4.jpg 第5回「日本医師会 赤ひげ大賞」の表彰式に皆さんと共に出席できることをうれしく思います。
 この赤ひげ大賞は、地域住民に寄り添いながら、病気を治すだけではなく、健康の保持・増進といった日々の暮らしを守る活動を行う、かかりつけ医に光を当て、地域医療の発展を願って設立されたと聞いております。
 急速に高齢化が進む中、各地の医療現場では、離島や自然条件の厳しい土地で医師がいなかったり、都市部であっても病院が撤退したり、診療科が偏っているケースもあります。
 また、国際化が進む中で、経済的事情や言葉の壁により、十分な診察を受けることが困難な外国人も珍しくないと聞いています。
 今回の受賞者の方々は、使命感を持ってこのような困難な条件を乗り越え、それぞれの地域にとってなくてはならない存在として活躍されていると伺っており、そのたゆみない努力と取り組みに心から敬意を表します。
 また、本日の表彰式には、日本の医療の未来を背負う医学生の方々も出席されていると伺いました。受賞者の皆さんには、これまでの経験を次に続く若い方達にぜひ伝えて頂きたいと思います。
 「日本医師会 赤ひげ大賞」が、地域住民の診療や健康管理に携わる医師の方々の大きな励みになり、地域医療の更なる発展につながることを期待するとともに、この賞が末永く発展していくことを心から願い、私のあいさつといたします。

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