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平成29年(2017年)3月5日(日) / 南から北から / 日医ニュース

あなたは我慢できますか? ―マシュマロテスト―

 みなさんはマシュマロテストというテストをご存知だろうか? 4歳の子どもの前にマシュマロを置いて、「今食べてもいいけど、15分待てたらもう一つあげるよ」と伝えて反応を見るテストである。子ども達の必死に我慢する姿はYouTubeで「marshmallow test」と検索すると見ることができる。食べたいのに必死でこらえる姿はとっても可愛い。
 その結果だが、約4人に1人が我慢することができたそうである。多いと思われるか、少ないと思われるか? 少なくとも、自分が4歳の時にこのテストに成功できたとは思えない。
 さて、このテストはこれで終わりではない。ウォルターミシェル(心理学者)がこのテストを最初に行ったのは1960年で、その後も子ども達をフォローした。そして、我慢できた子どもはできなかった子どもよりアメリカのSAT(大学進学適正試験)の平均点が高く、成人してからも高収入となったことを明らかにした。このことからウォルター氏は「自制心が人生の成功を左右する」と考えて、どのようにすれば自制心が育つのかを研究してきたそうである。その内容を一般書としてまとめたのが『マシュマロ・テスト 成功する子・しない子』である。
 ウォルター氏は自制心に関する脳内の葛藤を、大脳辺縁系vs大脳皮質(特に前頭葉)であると考えている。
 大脳辺縁系はああだこうだと考えずに即決する脳である。栄養になるものがあったら食べる、危険な動物に遭遇したら逃げる。動物として生き残るには必要最低限かつ重要な反応である。しかし、即決が大切なので、その行動の結果がどうなるかなど考えない。
 一方で、大脳皮質では先々まで結果を見通して行動を決定する。その上で大脳辺縁系の欲求を抑えて、より有意義な行動を選択しようとする。これが「自制心」ということになるのである。一言で言えば「欲求対理性」の構図である。
 では、自制心をより働かせるにはどうすれば良いか、ということについてのヒントもいくつか示されている。
 1、「見ない」作戦:マシュマロテストで我慢ができた子ども達は、どのようにこの衝動を乗り越えたか? それはマシュマロを見ないようにしていたそうである。
 2、「IF THEN」作戦:「もしも○○したら、◇◇する」と決めておけば良い。これもまた非常に単純だが、大脳辺縁系の誘惑の隙を与えない方法である。
 3、「壁に止まっているハエの視点」作戦:自分を客観的に見る方法だそうである。自分の行動を壁に止まっているハエの視点で考えると、より冷静に判断ができるということのようである。
 それから、最後にもう一つとても面白いことが書いてあった。
 「根拠のない自信」作戦:物事を冷静に判断する時に気持ちの持ちようはとても大切。その一つとして根拠がなくても自信を持つことで常に前向きになれる。根拠がなくていいの?と思うかも知れないが、いいそうである! さまざまな研究で人間は根拠のない自信で精神的なストレスを回避しているそうである。私は物事に自信を持てずチャレンジできない性格なのだが、何か背中を押された気がする。

(一部省略)

秋田県 秋田市医師会報 No.537より

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