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平成29年(2017年)4月5日(水) / 南から北から / 日医ニュース

光陰矢の如し

 午後の外来の最中、看護部長が診察室にやってきて、「先生、お話があるので、夕方5時に医局に伺ってよろしいでしょうか?」と真顔で言ってきた。「いいけど。また何かあったのかい? 今でもいいよ、すごく気になるから」と私。「いや、5時にして下さい。それではお願いします」と、さっさと出て行ってしまった。
 不吉な予感がする。経験上、だいたいこういう時は、揉(も)め事が起きたとか、クレームがあったとか、ろくなことがないのである。
 落ち着かないままに夕方5時、看護部長が医局にやってきた。一瞬身構えたが、その手には赤いチャンチャンコと赤い帽子。ア~やられた(絶句!)。
 還暦のお祝いは、家族と札幌で食事をして簡単に済ませていたし、その日は誕生日だったが、たまたま当直であったので、すっかり忘れていたところに不意打ちをくらった。
 さて、嫌々ながらもチャンチャンコを着て1階の食堂に連れて行かれ、盛大にお祝いをしてもらった。最後に赤い座布団に座らされ、記念写真を撮り、照れくさいやら恥ずかしいやらで汗だくだった。
 還暦になったということはさておき、60年が飛ぶように過ぎたと感じるのには少々驚きを覚える。小学校の夏休み、1日が永遠に続くように思えた。今、週末は、まどろんでいるうちに終わってしまう。
 ある心理学者は、年とともに記憶に残るような新しい体験が少なくなり、ルーティンの動作が増え、脳に書き込まれる情報が減ることで、時間の経過を速く感じるようになると言っている。脳に書き込まれる情報とは、新しい体験の記憶である。
 年寄りの冷や水と言われようとも、何か新しいことにチャレンジすることが、時の流れを遅くする方法なのかも知れない。
 Time flies, just do it!

北海道 北海道医報 第1175号より

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