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平成29年(2017年)4月20日(木) / 日医ニュース

代表質問

代表質問1 災害時におけるJMATの位置付け並びに今後の強化策について

 坂本不出夫代議員(九州ブロック)からの災害時におけるJMATの位置付け並びに今後の強化策についての質問には、中川副会長が回答した。
 JMATについては、平成28年5月に政府の防災基本計画が改定され、その位置付けが明確化されたことを改めて説明。「今後は、東日本大震災や熊本地震での経験を活かして、指揮命令系統の統一の仕組みを始めとする組織全体のルールの明確化を更に進めていきたい」と述べた。
 また、今期の救急災害医療対策委員会では、「JMATのコーディネート機能」が諮問事項の一つとなっており、「統括JMAT」について検討していること、都道府県医師会の役職員を対象としたJMATのコーディネーター研修など、災害医療研修のための費用を来年度予算で確保したことを報告。その上で、「コーディネート機能、情報の収集・発信機能が十分に発揮されてこそ、多くのJMATが被災地での診療活動に専念できる」として、更なる理解と協力を求めた。

代表質問2 中間サーバー等にかかる必要経費の保険者負担について

 藤原秀俊代議員(北海道ブロック)の健康保険組合における医療保険者等中間サーバーを通じた情報連携業務に関する質問に、松原謙二副会長は、「中間サーバーは、医療保険分野における番号制度の活用によって、正確な情報管理や異なる制度間における給付調整の確実性の向上、更には添付書類の省略による被保険者の負担軽減等を図るためのものであり、この中間サーバーの仕組みを活用することで、医療等IDが実現する予定になっている」と説明。「費用が膨らまないように注視することは当然だが、医療等IDの実現に向けた重要な仕組みであるので、具体的な意見を提示していきたい」との考えを示した。
 また、近年、医療保険制度のさまざまな改革において、その必要財源の捻出を患者に求める傾向に懸念を示した上で、「国民が安心して医療・介護を受けられるように、必要な財源については、安易に患者負担を求めるのではなく、国としてしっかりと財源措置を講ずるよう、今後も強く要求していく」とした。

代表質問3 日医の乳幼児及び学童の諸問題に対する取り組みについて

 矢嶋茂裕代議員(中部ブロック)からの日医の乳幼児及び学童の諸問題に対する取り組みについての質問には、横倉会長が回答を行った。
 日医の取り組みとしては、平成23年より都道府県医師会との共催で「子育て支援フォーラム」を開催していること、3月19日開催の学校保健講習会では、シンポジウム「学校管理下における事故とその予防」で突然死を含む死亡事故について取り上げたこと等を報告。
 また、平成26年度からは「小児Aiモデル事業」の一環として、15歳以下の小児の死亡症例についてAi画像の読影とデータ収集を行っており、『小児Aiの読影に関する手引き』としてまとめる予定であることにも言及。「死因究明の充実に向けた取り組みを通じて得た知見や経験を、今後は乳幼児の防ぎ得る死の予防に結び付けていくことも必要である」として、「引き続き、将来を担う子ども達の健康と安全を医学・医療の面から支えていくために取り組んでいきたい」と述べた。

代表質問4 日本医師会女性医師支援事業及び支援委員会の今後について

 髙橋克子代議員(東北ブロック)からの日医女性医師支援事業及び支援委員会の今後についての質問に、今村副会長は、厚生労働省からの委託を受けて実施している女性医師支援センター事業が行政評価の指摘を受け、効率化、重点化を求められたことから、大幅な体制変更をしたことにより、支援委員会の立ち上げを見送る判断に至った経緯を説明し、理解を求めた。
 その上で、新年度の支援センター事業については、女性医師バンクの就業斡旋(あっせん)を中核とし、従来の事業についてはその重要性を踏まえ、引き続き実施していくとした。
 更に、女性医師支援事業は日医として非常に重要であり、組織強化にとっても欠くことのできない事業であることから、事業を進めるに当たり、その内容については女性医師支援センター事業運営委員会において企画・立案し、併せて今期の諮問が「組織強化と女性医師」である男女共同参画委員会とも連携を取りながら実施していく考えを示した。

代表質問5 専門医制度と日医の組織強化について

 寺下浩彰代議員(近畿ブロック)からの専門医制度と日医の組織強化についての質問には、横倉会長が回答。日医として、引き続き地域医療に十分配慮した制度運営に努めていくとした上で、医師の偏在対策については、政府審議会の下部組織である「医師需給分科会」の早急な再開を求め、地域の実態に応じ、医師個人の意思を尊重した偏在解消の仕組みをつくるために議論を展開していく意向を示した。
 また、総合診療専門医については、高齢化が加速する状況において、多様な疾患を持つ高齢者の特性等に応じて、総合的な診療能力が期待されるものとの認識を示しつつ、「全ての医師が専門医になる理由はなく、国の介入による法的規制を受けるものであってはならない」と述べ、日医としては、今後とも「かかりつけ医」を定着させるよう鋭意努力していくとした。
 一方、組織強化への取り組みについては、その効果として、全国の医師会でさまざまな取り組みが展開されるようになった点を挙げた。

代表質問6 情報化時代の医療広告について

 堂前洋一郎代議員(関東甲信越ブロック)からの情報化時代の医療広告についての質問に対して、松原副会長は、今回の医療法改正案で広告規制の対象となる方向の医療機関のホームページについて、多くの場合、患者や国民にとって有益な取り組みとなっているが、その自由度を守りつつ氾濫(はんらん)する情報から患者の生命や健康を守り、国民の医療への信頼を築いていく必要があると指摘。今後も、ホームページを含む医療広告に関しては、『医師の職業倫理指針』に示された理念の普及啓発に努めていくとした。
 また、医療広告の監視体制に関しては、日医は、医療法上、「診療に関する学識経験者の団体」として、厚労大臣に対し、ホームページを含む広告の基準案に意見を述べる立場にあると説明。更に、詳細な規制内容を検討する関係検討会にも参画して、具体的な規制の枠組みづくりと、国や都道府県の監視体制強化を支えていく方針だとした他、都道府県医師会に対しても、行政と連携した対応とともに、適宜、情報提供を行うことを求める考えを示した。

代表質問7 医療費削減のための「ICT診療(≒遠隔診療)」について

 河村康明代議員(中国四国ブロック)の医療費削減のための「ICT診療(≒遠隔診療)」についての質問には、中川副会長が回答。「医療もICTも進歩を続ける中、国民に寄り添う形でICTを活用し、日常の診療を進化させていくことは必ずしも否定するものではない」との基本的な考えを示すとともに、「遠隔診療は、あくまで対面診療の補完である」とする日医の立場を強調した。
 また、最終的に医療の責任を取るのは医師であり、遠隔診療は医師の対面診療に取って代わるものではないとした他、「在宅医療を関係職種に業務移転するツールとして利用し、安易に遠隔医療を広げることは認められない」と述べた。
 更に、遠隔診療が過度に進んだ場合、医師の技術料の縮小や公的医療費の抑制による民間市場の拡大等が懸念されるとし、このような状況の中、日医はICTや人工知能(AI)の進歩に浮足立つことなく、しっかりとその利点と問題点を指摘し、地域医療の進化に貢献していくとの考えを示した。

代表質問8 わが国における今後のたばこ対策に関して

 蓮沼剛代議員(東京ブロック)からの、わが国における今後のたばこ対策についての質問には、今村副会長が回答。たばこによる税収に替わる安定的な財源を確保するための措置の必要性を指摘する一方、たばこは喫煙者のみならず、非喫煙者にも受動喫煙による影響があることは疑いようがないとするとともに、「国民の健康寿命の延伸を実効あるものにするためにも、受動喫煙防止対策の強化に向けた取り組みに邁進(まいしん)していく」と述べた。
 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた受動喫煙防止対策を強化する「健康増進法改正案」についても、当初の厚労省案から掛け離れた内容は容認できないと強調。国民全体で問題意識を共有し、一丸となって取り組む必要があるとした。
 また、日医として、たばこは全ての年齢に影響するサイレントキラーであることや、その恐ろしさを認識し理解を深めてもらうため、国民向けの小冊子『あなたのため、そばにいる人のため 禁煙は愛』を作成したことも併せて紹介した。

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