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平成29年(2017年)5月5日(金) / 日医ニュース

「学校管理下における事故とその予防」などをテーマに

「学校管理下における事故とその予防」などをテーマに

「学校管理下における事故とその予防」などをテーマに

 平成28年度学校保健講習会が3月19日、日医会館大講堂で開催された。
 道永麻里常任理事の司会で開会。冒頭のあいさつで横倉義武会長(今村聡副会長代読)は、日本学校保健会会長の立場として、文部科学省の中央教育審議会委員になったことを報告。「今後、学校保健活動において、学校医が専門家として貢献していくことが更に求められるが、これを機に、子どもの健康のため、また、先生方の日頃の取り組みがますます充実したものになるよう、積極的に発言していきたい」とした。

講演「最近の学校保健行政について」

 和田勝行文科省初等中等教育局健康教育・食育課長は、子どもに対するがん教育の普及啓発に向けた「がんの教育総合支援事業」のモデル事業において明らかとなった問題点として、①外部講師の確保が困難②教員のがんに対する正しい知識や理解不足③外部講師への学校での指導方法等に関する研修等が不十分―等を指摘。平成29年度からの全国展開に向け、がん教育のためのガイドラインや教材等の活用を求めるとともに、新たに、指導用のスライドを平成29年度内に作成予定であるとした。

シンポジウム1「運動器検診の円滑な実施を目指して」

 学校医の立場からは、川上一恵日本小児科医会/かずえキッズクリニック院長が、新たな健康診断等の開始による環境変化に伴う学校医の現状調査を目的として、都道府県・郡市区医師会所属の学校医を対象に日医が実施したアンケート調査結果について、運動器検診関連を中心に概説。
 都道府県・郡市区医師会等が開催する運動器検診実施方法に関する研修会は、受講者の75%が「役に立った」との回答を示している他、60%の地域で医師会が中心となって整形外科分野の検診へ整形外科専門医が参画する仕組みの構築が行われていることなどが報告された。
 整形外科の立場からは、新井貞男日本臨床整形外科学会副理事長が、運動器検診後受診勧告を受けて整形外科を受診した児童生徒等の診断結果の調査を目的として、日本臨床整形外科学会会員に対して実施したアンケート調査結果について報告。
 受診勧告後の診断では、高い頻度で何らかの診断が下されること、また、主とした要因以外の部位においても正常でない状態が確認されることから、『児童生徒等の健康診断マニュアル』の留意事項は適切であるとの考えを示した。
 行政の立場として、北原加奈子文科省初等中等教育局健康教育・食育課学校保健対策専門官は、学校保健安全法施行規則の一部改正(平成26年4月)を踏まえ、健康診断の実施状況を把握することを目的として、学校を対象に実施した「平成28年度児童生徒等の健康診断の実態状況調査(報告)」について、整形外科項目を中心に概説。本アンケート結果等を踏まえ、文科省が作成した資材「四肢の検査のポイント」の活用を求めた。

特別講演「性犯罪の現状と課題」

 安達知子日本産婦人科医会常務理事は、暴力的性犯罪被害に多くの子ども達が巻き込まれている現状を示し、その被害は、「面識のある人からの被害」「恥ずかしい」などの理由から、どこ(誰)にも相談しないことが多く、潜在化しやすいと指摘。
 その上で、日本産婦人科医会の被害者支援のための活動を紹介するとともに、「第2次犯罪被害者等基本計画」において、平成32年までに各都道府県に最低1カ所のワンストップ支援センターの設置が求められているにもかかわらず、13都道府県が未設置である現状を問題視。被害直後からの総合的な支援を可能な限り1カ所で提供することで、被害者の心身の負担軽減及び健康回復が図られるとともに、警察への届出促進、被害の潜在化防止につながるとして、同センターの早期設置を求めた。

シンポジウム2「学校管理下における事故とその予防」

 米山尚子日本スポーツ振興センター学校安全部安全支援課長は、日本スポーツ振興センターが学校安全に関する情報提供を目的に、学校現場における災害救済給付データを基に作成した、①死亡・障害全事例と事故防止の留意点②基本統計(負傷・疾病の概況と帳票)―を、「学校事故事例検索データベース」として、ホームページ上に掲載していることを紹介した。
 長嶋正實若年者心疾患・生活習慣病対策協議会副会長は、学校管理下における突然死は30年前の半分以下である現状を示し、その理由として「ガイドラインの作成による適切な管理の普及」「治療の進歩」等を挙げるとともに、突然死を起こし得る小児期心疾患の診断基準や治療法等を説明。心疾患による突然死は、ある程度予防できるとして、その対応を呼び掛けた。
 宮浦徹日本眼科医会理事は、学校におけるスポーツ眼外傷は、主に球技によるものであるが、けがを負うと他の部位よりも障害を残しやすいことを危惧。学校の管理下で障害を残すようなけがは避けなければならないと指摘するとともに、学校での保護眼鏡の使用を積極的に取り入れることで障害例を減らしていきたいとした。
 丸山進一郎日本学校歯科医会会長は、外傷による歯・口のけがに対する障害見舞金の給付件数が全体の3割を占めている現状を報告するとともに、歯科領域のけがの特徴として、同じ人が同じ場所に何度もけがをする傾向があることから、子ども達の運動機能の問題も関係あるのではないかとの考えを示した。
 東山礼治北里大学医学部整形外科学助教は、学校管理下における整形外科領域事故の現状について説明するとともに、「ムカデ競走」の8年間に及ぶ外傷調査結果を紹介。学校での安全面の積極的な配慮により事故件数を大幅に減少させることが可能であるとして、事故を予防するためにも、詳細なデータの収集及び予防策を構築し、体育的行事中のリスクや安全に指導するポイント等の情報共有が重要であるとした。
 特別発言として、吉門直子文科省初等中等教育局健康教育・食育課学校安全教育調査官は、これまでの学校安全への取り組みを説明した上で、平成29年度より実施となる「第2次学校安全の推進に関する計画」について、「学習指導要領の改訂を踏まえた安全教育の充実」「新たな安全上の課題への対応」「外部機関との連携」等の具体的施策を挙げ、全ての児童生徒等が安全に関する資質・能力を身につけること、学校管理下での死亡事故ゼロ、重大事故の減少を目指していくとした。
 最後に、道永常任理事が総括し、講習会は終了となった。参加者は354名。

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