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平成29年(2017年)5月20日(土) / 日医ニュース

長崎県医師会の勤務医に対する取り組みについて

勤務医のページ

 長崎県医師会勤務医部会は、昭和61年4月に発足した。九州では、昭和60年に福岡・佐賀両県医師会に勤務医部会が発足しており、それに次ぐ3番目の歴史を持つ。
 勤務医部会単独としての活動はそれほど活発ではないが、毎年、勤務医部会総会を開催し、勤務医を対象とした内容で講演会やパネルディスカッションを行っている。ここ数年間は、医療訴訟、勤務環境改善、ワークライフバランス、新たな専門医の仕組み、メディカルクラークなどの話題を取り上げ、昨年は同じ九州内の熊本地震への医療支援についての講演も企画した。
 勤務医部会以外でも、長崎県医師会としてさまざまな形で勤務医に対する取り組みを行っている。
 長崎大学と協力し、初期研修医のオリエンテーションの時間に医師会活動の説明を行い、医師会への入会を勧めている。
 研修医の全般的な問題を扱う長崎県医師臨床研修協議会へも参加をしている。この会は、通称"新・鳴滝塾構想推進事業"と呼ばれ、かつて長崎でフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが、諸藩の若い人材に西洋医学や自然科学を教えた私塾で、診療所でもあった鳴滝塾に由来する。
 新・鳴滝塾は、平成22年に発足して以来、大学、基幹病院、行政のオール長崎で長崎県内の医師の拡充を目指し、医学生や研修医をサポートする事業を展開している。研修医の誘致のための病院見学の旅費の助成を大きな柱としており、合同説明会の主催、県外でのフェア出展などを通して、長崎県での研修をアピールしている。
 また、研修医教育に当たる指導医の指導力強化のために、指導医養成講習会も行っている。都道府県医師会が研修医関連の問題にかかわりを持つことは比較的少ないと思われ、貴重な活動と思われる。
 更に、長崎大学に対して、研修医の教育資材購入のための寄付金や若手研究医師のために、助成金の贈与を毎年行っている。その他にも、県や大学主催の勤務環境改善や総合診療医に関する会議にも参加している。
 女性医師等の問題に関連した取り組みとしては、保育サポートシステムを構築し、現在は主に長崎市域の勤務医のためにサービスを提供しているが、いずれは全県下に拡充したいと考えている。
 この制度は、乳幼児や低学年の子どもの世話で就業に支障を来す子育て中の医師(男性医師の利用も増えてきている)に対して、講習を受けたサポーターを紹介し、マッチングを行い、保育サポートの契約を結ぶもので、全国でもまだ取り組んでいるところは多くない。
 ちなみに、本県の勤務医の医師会加入率は、平成26年10月と古いデータではあるが77・3%である。特に研修医の加入に関しては、長崎大学の関係者による熱心な勧誘で、高い組織率となっている。

全国医師会勤務医部会連絡協議会の開催に向けて

 まだ内定の段階ではあるが、平成30年度の全国医師会勤務医部会連絡協議会を長崎県で開催する予定になっている。長崎県としては平成元年に開催して以来、29年ぶりの開催となる。平成元年のプログラムに目を通す機会があったが、B4版で、表紙は長崎の伝統工芸品のべっ甲で作られた精巧なオランダ船の写真である。
 メインテーマは「勤務医の現実と将来」で、特別講演は「医療制度と勤務医」という演題で西村周三京都大学経済学部教授が話され、パネルディスカッションは「勤務医の現実・期待と不安」「勤務医の将来・展望と提言」の2題が組まれていた。
 抄録しかないので内容ははっきりとは分からないが、将来の医師過剰問題に対する不安感が読み取れる。また、その当時の医療法改正も話題として取り上げられており、その時代の世相が鑑みられる。
 まだ年号が「平成」に変わったばかり、その後のこのような経済の低迷を誰が予測していたであろうか。
 長崎は西洋医学発祥の地として知られている。1857年11月12日に長崎奉行所西役所において、ヨハネス・レイディウス・ポンぺ・ファン・メールデルフォールトは、日本初の系統的な近代西洋医学の講義を開始した。これが長崎大学医学部の原点となり、今年で医学部は創立160周年となる(ちなみに、長崎大学医学部では、成績や芸術・運動に優れた成績があった卒業生に、毎年「ポンぺ賞」を授与している)。
 そして、1861年9月20日に、日本で初めての西洋式近代病院小島養生所が誕生した。
 当時の長崎はコレラが蔓延しており、養生所は治療と臨床講義を行っていた。ちなみに、この療養所は、2015年に小学校の建設予定地から偶然に遺構が見つかっている。
 このように、近代医学の中心地として発展していた長崎は、1945年8月9日の原子爆弾投下により長崎大学医学部も壊滅的な打撃を受けた。
 それから70年余の歳月が過ぎ去った。長崎は多くの離島やへき地を抱える西の果てにある県である。多くの地方と同じような医療の諸問題が山積している。
 長崎県医師会は、今後も勤務医を取り巻く問題に積極的に取り組み、勤務医の医師会加入率を上げたいと考えている。来年秋には、長崎県で勤務医問題を大いに議論できることを願っている。

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