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平成29年(2017年)6月20日(火) / 日医ニュース

医薬分業に思う

 なぜ医薬分業にしないのかと問われることがある。自分が患者として薬を受け取る立場なら、医療機関の窓口で直接薬を受け取りたいのでと、答えている。
 診療所などの小さな医療機関では使用する薬の種類は限られており、服用方法もさほど複雑ではない。風邪症状で辛い時は、診察と投薬と会計を少しでも早く済ませ、家でゆっくり休みたい。同じ薬の処方が繰り返されることの多い生活習慣病は、診察後その場でいつもの薬を持ち帰るほうが簡単である。
 診察と投薬が同じ医療機関内で行われ医療が完結すれば、医師は処方した薬を自ら説明することで治療内容の再確認になるとともに、薬を受け取る患者の疑問や不安もその場で解消できる。
 近年、大病院での医療は高度・複雑化し、かつ医療の各プロセスに効率化と専門性が求められ、薬剤に関しても分業化は必然である。だが、プロセスの細分化によって医療者間のコミュニケーション不足が生じたり、医療の流れが機械的となったり、伝えるべき情報のニュアンスが変わったりする恐れもある。
 薬価の引き下げやジェネリック薬品への移行があっても薬剤費の伸びは続き、薬を取り巻く環境は厳しい。薬の処方日数や効能効果以外の薬の使用制限、抗生物質の使用の規制強化など、国民皆保険の運用の硬直化も見られる。このような状況では、患者の納得する薬剤情報を伝えるため今まで以上に薬価制度への関心を持つことが肝要である。
 薬を受け取る患者も処方する医師も、今は医薬分業に慣れてきてそれが当たり前と感じるかも知れない。時代には逆行するが、患者の利便性や医療の一貫性を考慮すると、医療現場の特性に応じた日本独特の薬事情があってもよいのではないかと考える。

(文)

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