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平成29年(2017年)8月20日(日) / 南から北から / 日医ニュース

赤ちゃんの命名

 女性にとって、出産は人生の一大イベントである。現在では出産前に性別が分かっていて、既に名前を決めている人も多いのではと思う。
 子どもの名前は通常一生変わらず、命名はパパママから赤ちゃんへの最初で最大の贈りものだと思う。親はこんな子になって欲しいという願いや想いを込めて名前をつける。優しい子になって欲しいと「優子」とつけたり、美しい人になって欲しいと「美子」とつけたりする。
 名前の画数を気にする人もいれば、名前の画数占いを全く信じていない人もいる。画数は、流派によってそれぞれ内容が異なっているようである。私も子どもが生まれた時、いろいろと本を読んだのだが、その本によって違っている。それで浮気しないで一冊の本に決めて名前を考えた。
 画数を全く気にしない人は、いろいろな理由、キッカケでつける。カタカナでつける人もいる。過去を振り返ってみると、例えばその時の大きな時勢の出来事で名前をつけた人もいた。
 産婦人科医として勤務していた時、分娩して2~3日経ったある褥婦(じょくふ)さんより、1人目は競馬界で一世を風靡(ふうび)した伝説的な名馬、オグリキャップが活躍した時代で、「馬」の字を一つつけて翔馬とした。そして今回の2人目は日本プロサッカーリーグが発足した年だから「シュート」とつけようと思って、「シュー」は「脩」と決めていたが、「ト」の字をどのような字にするかどうしても思い浮かばない、と回診の時に相談された。
 それで、私の勤めていた病院は「斗」のつく病院だったので、「この病院で生まれたことだし、『ト』は『斗○病院』の『斗』で決まりだよ」と答えると「ああそうか、そうだわ、脩斗で決まりだわ、それに決ーめた!」と言って納得した顔になった。1993年Jリーグ発足にちなんだ脩斗君という名前はカッコいい。お爺さんになっても孫達に自慢できる名前だと思う。
 患者さんの父親が熱狂的なジャズのファンで、アメリカのジャズ・ピアニストでジャズ王と言われた男性歌手の名前から、カタカナで「コール」とつけられた女性がいた。子どもの時はものすごく嫌だったと言っていたが、今はむしろ気に入っているようだった。父親の想いは良く分かる。私もミュージカル「アイーダ」を見てとても感激し、もし今女の子が生まれたら「アイーダ(愛だ)」とつけたいと思っている。
 また長女、次女に「アリス」「サリー」、そして長男に「金太郎」と名づけた、画数も何も考えていない同僚もいる。その同僚に4人目に男の子が生まれていたら、名前はどうつけるかと聞いたところ、「銀次郎」しか考えていなかったと言っていた。
 とってもたまげた名前をつけた友人がいる。長男に「厳太」、長女に「舞」、次男に「新」とつけた。皆さんお分かりだろうか。抗生物質の「ゲンタマイシン」である。友人は医局時代にとても難儀した感染症の患者さんがいたのだが、ゲンタマイシンが著効して完治し、1人の命を助けることができたことからゲンタマイシンに感謝して、そのような名前をつけたと言っていた。彼は東北圏の大学で産婦人科医をしていたが、研究テーマが私と同じだったので、学会会場で友達になってその夜会食をした。その後、彼は基礎医学に移って教授にまでなった人である。それにしても、男女の順番が違っていたらどうなったのであろうか。
 名前は当て字で、一度も正しく読まれたことがないという人が結構いる。私は少なくとも誰が読んでも分かる名前がいいような気がする。

(一部省略)

北海道 北海道医報 第1176号より

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