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平成29年(2017年)9月5日(火) / 南から北から / 日医ニュース

コンピューター将棋の急速な進歩

 「観る将(みるしょう)」という言葉をご存知だろうか? これは、自分では将棋を指さないが、プロ棋士の対局を観戦するのが好きな将棋ファンを意味する言葉である。インターネットの発逹により、プロ棋士の対局をほぼリアルタイムで知ることができるようになり、スポーツ観戦と近い感じで楽しめるようになったことが背景にある。
 私はヘボだが将棋が好きで、大学生の頃は同級生や後輩とぼちぼち対局して楽しんでいた。しかし、研修医になるとポケベルが頻回に鳴る生活になり、まとまった時間だけでなく面子(めんつ)を揃(そろ)える必要もある将棋の対局からは足を洗わざるを得なかった。ネット将棋もやってみたが、見ず知らずの人との対局やチャットに抵抗感がありなじめず、プロ棋士の対局を細切れ時間を用いてネットで観て楽しむ「観る将」になり、今に至っている。
 その観る将生活に大きな変化が現れている。コンピューター将棋の急速な進化である。市販されている将棋ソフトでも、将棋人口の99%は勝つことができないところまで強くなっている。将棋に特化したソフトは既にプロ棋士を打ち負かしている。
 「将棋電王戦」という、プロ棋士とコンピューターソフトの団体戦が2013年~2015年に行われた。日本将棋連盟に選ばれたプロ棋士5人とコンピューターソフト5つがそれぞれ1回ずつ計5回対局するのだが、3年間で15回対局した結果は、プロ棋士6勝、コンピューター8勝、引き分け1局と人間の負け越しだった。
 この企画は、プロ棋士トーナメントの優勝者と、コンピューターソフト同士が対局するトーナメントの優勝ソフトとが戦うスタイルに2016年に変更され、名称も「電王戦」と変わったが、第1回電王戦は優勝ソフトが優勝したプロ棋士に2連勝している。
 コンピューターの進化がここまで来ると、知的な能力を要する仕事でもいずれは取って代わるのではないかという予測が出てくる。医師はどうだろうか? 私が現役のうちは何とか大丈夫だろうというevidenceに基づかない楽観視をしていたが、2013年にオックスフォード大学から心強い論文が出ていた。
 702種類の職業を、「手先の器用さ」「交渉力」「説得力」など9つの性質に分類し、この先10年~20年で無くなるか、残るかを予測している。10年~20年後まで残る職業トップ25のうち医療職が13と半数を占めていた。
 日本にある職業では、内科医、外科医、歯科医、聴覚訓練士(日本では言語聴覚士)、作業療法士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー、義歯技工士などがランクインしており、医療分野の雇用は当面維持されそうだと少し安堵した。

(一部省略)

東京都 練馬区医師会だより 第584号より

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