閉じる

平成29年(2017年)9月20日(水) / 南から北から / 日医ニュース

中年の病気

 平成3年に父が急死してからすぐ医院を継承し、25周年を迎えた。その間、私は医師としてより、患者としての経験をより多く積んできたように思う。胸腺腫、重症筋無力症、子宮内膜症、子宮筋腫からの大出血等々、病院には随分お世話になった。
 今回は、そんな私が一番最近に悩まされた病気の話をしたいと思う。
 その病気は48歳のゴールデンウィーク明けに始まった。下痢と嘔吐、食欲不振、全身倦怠感と、あらゆる症状が出現し、元々少なかった私の体重は5キログラムも減少。当時の服は全てブカブカになっていった。
 しかし、サイズの合う服を買いに行く気力も無く、日々仕事が終わるとようやく自宅にたどり着き、服を着替える余裕も無くベッドに倒れ込んでしまう毎日だった。
 病院へ行く気にさえならない私は、引きずられるようにして入院させられた。全身の精査を受け、何の異常も無いと診断され、ますます気力が無くなった。
 その後受診した心療内科で「うつ状態」と診断され、少量の抗うつ剤の服用を勧められた。薬はすぐには効かず、静養のため連れて行かれた上高地では、少し歩くと息切れがし、なかなか予約の取れないホテルのローストビーフも見るだけで、ほとんどのどを通らなかった。
 しかし薬が徐々に効き始めたのか、秋頃にはまず、食欲から回復していった。さすがに食欲の秋である。体重も少しずつ増えてきた。翌年のお正月にはお節料理も食べられ、このまま治癒するものと、私も周囲も考えていた。
 ところが、49歳のやはりゴールデンウィーク少し前、突然同じ症状が出現した。再度私は入院し、全身精査され、マンモグラフィの時、血性乳汁分泌が有り(これは抗うつ剤及び胃薬であるA薬の副作用だったのだが)、ますますがんや脳腫瘍を疑われた。
 結局どこも悪くなかったのだが、おまけで見つかった前大脳動脈が1本しか無いという診断にヒステリックに反応していると、今度は精神科へ紹介された。しかし精神科の薬を服用しても、ちっとも良くならなかった。
 その頃、最初にかかった心療内科の先生のアドバイスを頂き、更年期障害を考えるべきじゃないかということで、婦人科の先生と相談し、薬を飲み始めた。漢方は効かず、B薬も全く効かない。C薬を飲み始めてから1週間くらいで元気が出てきて、食欲が戻ってきた。夏には、前年の上高地のリベンジで行った軽井沢でも元気に歩け、元気に食べられたのである。
 48歳の症状出現の直前に偶然検査した女性ホルモンの値は全く正常で、ホットフラッシュや急な発汗など典型的な症状は何も無く、自分では更年期障害は考えもつかなかった。しかし、女性ホルモン剤の効果は絶大で、日に日に元気になっていったのである。
 学生の頃、女性の患者を診たら妊娠を考えろとよく言われたものだが、私は中年を診たら更年期を考えろと言いたい。最近は男性の更年期障害も多いと聞く。
 全科の先生方、中年の不定愁訴は更年期障害も思い出して下さいね。

(一部省略)

兵庫県 姫路市医師会報 No.389より

関連キーワードから検索

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる