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平成29年(2017年)11月10日(金) / プレスリリース / 白クマ通信

医療経済実態調査の速報値について

 中川俊男副会長は11月8日、記者会見を行い、同日の中医協総会において「第21回医療経済実態調査(以下、「実調」)」が公表されたことを受け、結果の概要について述べた。

 同副会長は、初めに、「実調」は診療報酬改定後満年度の影響が出ているわけではないが、定点調査でもあり、大方の傾向は把握できるとした上で、1.一般診療所で3月決算だけを抽出すると客体数が極めて少なくなる、2.入院基本料別の結果で、例えば「一般病棟入院基本料7対1」の場合、その病院は7対1だけなのか、それ以外に回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟があるのかどうかは調査されていない―ことを今後の課題として挙げた。

 その上で、同副会長は、病院の状況として、損益差額率は、一般病院で2015年度マイナス3.7%が2016年度マイナス4.2%とやや低下、精神科病院で2015年度0.2%が2016年度マイナス1.1%に低下し、一般病院、精神科病院ともに赤字であると説明、「厳しい状況と受け止めている」とした他、一般病院では、損益差額率1.8%が税引後利益率は1.4%に縮小する一方、公立病院では損益差額率はマイナス13.7%が、一般会計からの繰入という多額の税金投入により、税引後利益率はマイナス3.2%にまで改善するものの、それでも赤字であることについて、「大きな問題と考えている」とした。

 また、入院基本料別では、一般病棟入院基本料の全ての区分で損益差額率が低下、療養病棟入院基本料でも特に療養病棟基本料2は、医業・介護収益が減少していることから、2016年度診療報酬改定の影響によるものと推察されるとした。

 更に一般病院の損益差額率の低下は、給与費率の上昇によるものと考えられることから、給与費に着目した。一般病院の主な職種別の1人当たり平均給与費の伸び率は医療法人ではほぼ横ばい、国立ではマイナスと、1人当たり平均給与費は伸びていないが、1施設当たり給与費総額が増加し、給与費率は上昇していることから、1病院当たり従事者数が増加しているのではないかとの考えを示した。

 一方、一般診療所では、施設数の少ない「個人立の入院収益あり」を除いて、損益差額率は低下、またはほぼ横ばいで、院内処方・院外処方全体のデータではあるが、一般診療所(医療法人)について見ると、給与費率の上昇が見られるものの、院長給与の伸び率は過去2回連続してマイナスであることから、従事者数の増加によって、給与費率が上昇している可能性があると指摘した。

 中川副会長は、「今回の『実調』から、医療機関が雇用を拡大した結果、収益性がより厳しくなっていることがうかがえる」と述べるとともに、経済財政諮問会議が2012年を起点としてアベノミクスの成果をまとめていることから、2012年を起点としてみると、診療報酬本体は賃金指数上昇とほぼ同じでしかないと説明。「病院・診療所の従事者数が増加しているため、診療報酬本体改定率が賃金指数と同水準ということは、従事者の増加分を賄う原資がないだけでなく、医薬品、医療機器、ICTも含め医療技術のイノベーションに対する投資は困難になる」と危惧した。

 最後に同副会長は、2016年の医療・福祉分野の就業者数が就業者総数の12.5%に当たる811万人と、伸びが著しいにもかかわらず、平均給与が低迷しており、全産業平均給与を押し下げていると指摘。「医療機関はまさに地域の雇用を支え、地域経済に貢献している。経済成長を促すためにも医療への適切な財源の投入を強く求めたい」と強調した。

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日本医師会医療保険課 TEL:03-3946-2121(代)

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