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平成29年(2017年)11月10日(金) / プレスリリース / 白クマ通信

医療経済実態調査を受けた財政制度等審議会財政制度分科会における議論について

 横倉義武会長は11月9日、緊急に記者会見を行い、前日8日の財務省財政制度等審議会財政制度分科会における「平成30年度予算の編成等に関する建議」の取りまとめに向けた議論の中で、医療経済実態調査の結果に関する議論が行われたことについて、日医の見解を説明した。

 

 実際の開設者別施設数の分布を踏まえて加重平均した損益差額率を提出し、平成26年度の損益差額率0.4%と平成28年度の損益差額率0.6%を比較した上で、「国公立を除く一般病院は、前回改定時より損益はむしろ改善している。診療報酬本体を一定程度のマイナス改定にすべきであり、医療経済実態調査の結果を考慮してもこの判断を変更する必要はない」との従来の財政審の主張を繰り返したと報じられていることに関しては、「施設分布で補正した数値で見ても、一般病院全体の収益の悪化の傾向に変わりはない」と主張。

 また、財務省が、平成26年度と28年度で医療経済実態調査に回答した医療機関が異なっていることから、「客体が異なる影響が極めて大きいということであれば、調査の仕方そのものを考える必要がある」としていることについては、1.調査対象の病院、一般診療所、歯科診療所、保険薬局共に有効回答率は前回調査よりも上昇しており、信頼度が上がっている2.医療経済実態調査は中医協においてこれまでしっかりと議論が積み重ねられてきた-ことを挙げて反論。「それにもかかわらず、調査方法に対して再考を促すのは財務省が診療報酬引き下げのために、客観的ではなく、都合の良いデータのみを収集したいという表れではないかと疑念すら抱く」と述べた。

 その上で、横倉会長は、改めて、医療経済実態調査の結果について言及。「損益差額率を開設者別でみると、医療法人、国立、公立ともに、平成28年度は平成26年度よりも悪化傾向にあり、アベノミクスによる景気回復が進んでいるにも関わらず、特に平成28年度の医療法人の損益は過去3番目に悪い数字となっていること」については、「地域医療を支える医療機関は経営努力によって得られた薬価差を含めて運営している中で、薬価改定財源を充当せずに、2回続けてネットマイナス改定が行われた影響であり、医療費の自然増を過度に抑制したことによるものではないか」と懸念を表明。「2期連続で赤字決算となれば、一般的に資金調達は厳しい状態に置かれることになるため、新たな設備投資が難しくなり、その結果として国民は医療の技術革新の恩恵を受けられなくなる」とした。

 また、国公立・公的と医療法人とでは給与水準が大きく異なることを看護職員・医療技術員を例に挙げて説明。「1 人当たり平均給与費は国公立・公的では 500万円台であるのに対し、医療法人では 400万円台である。本来は民間医療機関の医療従事者の給与水準も、人事院勧告に準拠している国公立・公的病院に合わせて引き上げるべきであるが、それを抑制することにより、民間病院はかろうじて経営しており、その結果として賃金の改定率が低く、改善が遅れている」とした。

 更に、企業の内部留保が406兆円にものぼっていることにも触れ、「医療機関は医療法で剰余金の配当が禁止されていることから、再生産費用として必須の利益以外は人件費として還元している。それでも医療従事者の給与水準は他産業よりも低く、再生産費用もほとんど確保できないのが実態である」とその窮状を訴えた。

 最後に、横倉会長は、「平成30年度予算編成においては、医療機関の医療従事者に適切な手当てを確保しなくてはならない」と強調。「医療経済実態調査の結果を踏まえた診療報酬についての議論は、財政審ではなく、中医協でしっかりと議論すべきであり、今後は中医協において日医の考えを説明していきたい」とした。

問い合わせ先

日本医師会総合医療政策課 TEL:03-3946-2121(代)

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