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平成30年(2018年)2月5日(月) / 日医ニュース

親を看取る

 母が亡くなった。享年93歳。自宅で私が看取った。大腸がんの手術を受けその後再発はなかったが、90歳を超えてから急激に体力が落ち横になっていることが多く、いわゆる老衰。自然の摂理には逆らえない。
 実は父も私が看取った。両親とも息子である自分が看取ったことになる。内科医の父は脳出血で救急搬送の上入院。命は取り留めたが左半身麻痺(まひ)、退院後は自宅で母が付きっ切りで介護。父が亡くなったのが平成4年7月17日。まだ介護保険のない時代であり、実に13年間にわたり母が24時間365日介護していた。
 一方母の主治医は私だが、介護保険でショートステイ、訪問入浴等の介護サービスを利用。日本の医療保険制度は世界的にも高く評価されているが、介護保険に基づく介護サービスもまた素晴らしい制度であると、在宅療養患者家族の一人として再認識した。
 最近「在宅医療」が声高に叫ばれ、あたかも新しい医療分野のように捉えられているが、受け持ち患者さんが通院困難な病態となった際に患者さんのお宅に伺うことは第一線の実地医家・町医者として昔から行われてきたことであり、それが「かかりつけ医」と思う。
 在宅医療では、やはり家族の負担が大きい。老衰やがん末期の患者さんを自宅で静かに見守るのも家族にとっては覚悟がいる。自宅での看取りには介護技術援助や指導よりも患者さんとご家族の心に寄り添いたい。
 親を看取ることもまた辛(つら)い。たとえ自分が医師であったとしても、自分を生んでくれた両親、この世に生を与えてくれた両親に対し「ご臨終です」と死の宣告をすることは辛い。

(なまはげ)

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