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平成30年(2018年)3月5日(月) / 日医ニュース

5名の赤ひげ大賞並びに2名の選考委員特別賞受賞者を顕彰

5名の赤ひげ大賞並びに2名の選考委員特別賞受賞者を顕彰

5名の赤ひげ大賞並びに2名の選考委員特別賞受賞者を顕彰

 第6回「日本医師会 赤ひげ大賞」(日医・産経新聞社主催、太陽生命保険株式会社特別協賛)の表彰式並びにレセプションが2月9日、医学生も含め約200名の参加者の下、都内で開催された。
 本賞は、現代の"赤ひげ"とも言うべき、地域の医療現場で長年にわたり、健康を中心に住民の生活を支え、その地域のまちづくりに寄り添った活動を続けている医師にスポットを当て、顕彰することを目的として、平成24年に創設したものである。
 表彰式の冒頭、主催者あいさつに立った横倉義武会長は、受賞者の日頃の献身的な医療活動に敬意を表した上で、「『人生100年時代』と言われる中で、明るい高齢社会としていくためにも、日頃からの健康管理が大変重要になっているが、それとともに地域住民の方々に寄り添った形で医療を展開している"赤ひげ先生"に期待される役割も多様化するだけでなく、その重要性がますます高まっている」と指摘。日医としてもその活動に対するバックアップに努めていく意向を示すとともに、参加者に対しても更なる支援を求めた。

受賞者の使命感と行動力に敬意―安倍総理

180305b2.jpg 平昌(ピョンチャン)冬季五輪開会式への出席のため表彰式に参列できなかった安倍晋三内閣総理大臣からは、受賞者に向けたお祝いのビデオメッセージが届けられた。
 安倍総理は、住民の健康を守ろうとする受賞者の崇高な使命感と行動力に敬意を示した上で、「先生方はまさに現代の"赤ひげ先生"と言え、今回の受賞は全国津々浦々で地域医療に携わる医師の方々の励みにもなる」と述べるとともに、「全ての世代を通じて国民誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし、活躍するために、かかりつけ医を中心とした医療や介護が切れ目なく提供できる体制の構築に引き続き努めていく」とした。
 引き続き、選考委員でもある道永麻里常任理事が、選考経過並びに講評を報告。その後、表彰に移り、主催者である横倉会長、飯塚浩彦産経新聞社社長から5名の受賞者に対して表彰状、トロフィー並びに副賞が手渡され、それぞれの受賞者からは謝辞が述べられた。
 新潟県の藤巻幹夫医師は、「赤ひげ大賞を受賞できたのは、これまで一生懸命やってきた証であると考えており、私の人生にお土産を頂いたと思っている」として、今回の受賞に対して改めて謝意を示すとともに、「皆が明るく生活できることで、きれいな日本にすることができると考えている。明るい日本をつくっていくのも"赤ひげ大賞"の役目の一つなのではないか」として、本賞の更なる発展に期待を寄せた。
 静岡県の河井文健医師は、入局当時を振り返り、「寝る暇もなかったが、夢と希望を持った若い医師達が切磋琢磨(せっさたくま)していた」と回顧。「医師の仕事は時間で終わることはできないが、医師も患者も守られるような環境となることを期待している」とするとともに、若い医師達に向けては、「健康に注意しながら、"赤ひげ"精神をもって患者に寄り添っていって欲しい」と述べた。
 岡山県の塚本眞言医師は、「地域医療に携わる医師にとって、赤ひげ大賞は最高の賞であり、大変光栄に思う。これまでやってこられたのは家族のおかげ」と受賞の喜びを表し、「日々の生活が困難な地域において、最期まで地域で安心して安全に過ごせるよう、地域住民と協力し地域包括ケアシステムの歯車の一つとして、今後も尽力していきたい」と意気込みを語った。
 香川県の松原奎一医師は、「学校医をしている中学で始めた小児生活習慣病予防検診は、養護教諭や地域の小児科医など多くの方々の協力を得て実現することができた」と関係者に感謝の意を表明。「実父の急死により閉院するつもりだったが、患者に必要とされ後を継いだ。今では、患者の背景まで理解した上で患者に接することができるようになっている。地域医療に携わるということはこういうことなのではないかと感じている」と述べるとともに、今後は、スマホを使用した食事指導を行う等、子どもの健康維持に地域ぐるみで取り組んでいきたいとした。
 佐賀県の水上忠弘医師は、「全国的に有床診療所が閉鎖されている中で、私が診療所を続けられたのは地域住民や病院、行政との連携に支えられてきたからであり、今回の受賞は地域を代表して頂いたものだと思っている。要介護状態の高齢者が安心して最期まで暮らすためには、多くの業種間で顔の見える関係をつくり、忌憚(きたん)なく意見を言い合い、思いやりのある連携をとることが重要。微力ながらその関係づくりに努めていきたい」と述べた。
 続いて、「未曽有(みぞう)の被害をもたらした東日本大震災の復興は、いまだ道半ばである現状を忘れてはならない」との選考委員の強い思いから、今回のみの特例として設けられた「選考委員特別賞」が、自らも被災しながら被災者支援に当たった宮城県の2名の先生に贈られた。
 鎌田眞人医師は、「震災直後はもうどうにもならないと閉院を覚悟したが、避難していた避難所で人々に必要とされ、やらなくてはと力が湧いてきた。復興に携わるだけでなく、これからは地域の高齢者もしっかりと診ていきたい」と述べた。
 佐藤徹医師は、「診療所が被災し一度は勤務医になったが、地元の人々から『待っている』という声を掛けてもらい、戻ることを決意した。過疎化と共に少子高齢化はますます進み、社会的資源は決して十分ではないが、今後も、できる限り地域に貢献していきたい」と語った。

受賞者は"治し支える医療"を実践―加藤厚労大臣

180305b3.jpg その後のレセプションでは、国会会期中にもかかわらず駆け付けた加藤勝信厚生労働大臣が、「5名の大賞受賞者並びに2名の選考委員特別賞受賞者の皆様は、病気を治すだけでなく、地域で安心して暮らせるよう、さまざまな価値観を持つ多様な患者やその家族の相談に応じ、地域での生活を支えている。いわば、"治し支える医療"をそれぞれの地域で実践しており、まさにかかりつけ医の理想の姿を示している」として、ますますの活躍に期待を寄せるとともに、「2025年に向けて、介護が必要になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けていける地域包括ケアシステムの構築の実現のためにも、皆さんの力添えをお願いしたい」と述べた。
 続いて、選考委員である羽毛田信吾氏(昭和館館長・宮内庁参与)、向井千秋氏(宇宙航空研究開発機構技術参与・東京理科大学特任副学長)(司会者代読)、檀ふみ氏(女優)、ロバート・キャンベル氏(国文学研究資料館長)からのゲストスピーチに続いて、受賞者所属医師会を代表して、渡部透新潟県医師会長からあいさつが行われた。
 その後は、公式ホームページ等で募集した「あなたのかかりつけ医への応援メッセージ」と、受賞者の診療の様子をまとめたVTRが紹介され、表彰式並びにレセプションは盛会裏に終了となった。

受賞者の紹介

豪雪地帯で患者に向き合う90歳医師

180305b4.jpg藤巻 幹夫(ふじまき みきお) 医師
90歳 新潟県 藤巻医院理事

市内でも過疎高齢化が最も進む中山間地域の特別豪雪地帯で診療に当たる。昭和34年の勤務当初は、父が外来を、自らは往診を受け持ち、雪の中を7~8時間歩き往診したこともあった。新潟県中越地震の際は自院も被害を受ける中、被災者の診察に従事、40年以上にわたり予防接種に携わる他、学校医も担い、住民の健康管理に努めている。

救急医療を担うまちの頼もしい番人

180305b5.jpg河井 文健(かわい ふみたけ) 医師
77歳 静岡県 河井医院理事長・院長

地域唯一の救急告示診療所として、25年間昼夜を問わず救急医療に取り組む。交通外傷から内因性疾患まで幅広く受け入れ、2次救急を担う病院ができた後も搬送までの時間を考慮し、初期対応に尽力。検査機器の共同利用や遠隔読影等では高度な医療を提供する病院と連携し対応するなど、住民からの信頼は厚い。

住民主体の組織を立ち上げ、地域に寄り添う医療を展開

180305b6.jpg塚本 眞言(つかもと まこと) 医師
67歳 岡山県 塚本内科医院理事長・院長

小規模多機能施設を医院に併設し、介護サービスも利用しつつ住み慣れた地域での看取りに力を入れる他、住民主体の組織「円城安心ネット」を立ち上げ、健康や福祉、生活などに関する活動を地域ぐるみで展開。また、公共交通機関が乏しい地域のため、介護タクシー事業を展開し、医療機関への送迎等、地域の高齢者の生活支援も行っている。

学校での血液検査を訴え、実現

180305b7.jpg松原 奎一(まつばら けいいち) 医師
75歳 香川県 松原病院理事長

昭和43年より地域住民の健康保持増進に貢献。病気で来院する子どもの血液に異常値が多いことに気づき、学校医をしている中学校の1年生への血液検査を自費で開始し、異常があれば保護者に助言するなど、生活習慣病のハイリスク生徒に対する保健指導に尽力した。現在では、その成果が認められ、全県下で検査が実施されている。

住民の一生に関わる「かかりつけ医」

180305b8.jpg水上 忠弘(みずかみ ただひろ) 医師
73歳 佐賀県 水上医院理事長・院長

高齢化率が40%を超え、交通手段も乏しい地域で、34年間かかりつけ医として24時間体制で診療や往診を行っている。デイサービスと小規模多機能施設を開設している他、リハビリ室を無料開放。有床診療所を維持し、治療から看取りまでの一生に関わることは、住民の安心にもつながっている。また、31年間学校医も務めている。

選考委員特別賞

震災の経験を基に新たな診療体制の確立に努める

180305b9.jpg鎌田 眞人(かまだ まさと) 医師
60歳 宮城県 歌津八番クリニック理事長・院長

地区で唯一の診療所として地域に貢献。東日本大震災では自院が全壊する中、昼夜を問わず避難所を訪れ傷病者の救命と治療に当たった。また、発災翌日より中学校体育館で医療活動を開始し、4日後には急きょ仮設診療所を立ち上げた。自身が経験した災害医療、極限状態における医療の提供を念頭に、新たな診療体制の確立に努めている。

被災地支える「まちのお医者さん」

180305b10.jpg佐藤 徹(さとう とおる) 医師
59歳 宮城県 佐藤徹内科クリニック理事長・院長

高齢化が顕著な南三陸町において、沿岸部・山間部にも訪問診療に出向くだけでなく、学校医・産業医としても献身的に尽力。東日本大震災の際には自院が全壊する中で、町内の避難所を巡回し支援を行った。半年ほど仙台市近郊で勤務医生活を送ったが、平成24年1月に再開業し、南三陸病院と連携の下、地域医療の再生に取り組んでいる。

順列は北から。受賞者の年齢は2018年2月9日現在。

お知らせ
第6回「日本医師会 赤ひげ大賞」の受賞者の日頃の活動と表彰式の模様を特集した番組がBSフジで放映されます。
 番組名:「密着!かかりつけ医たちの奮闘~第6回赤ひげ大賞受賞者~」
 日 時:3月25日(日)午後1時~(約1時間)
なお、今回の受賞者を紹介した冊子を、『日医雑誌』4月号に同梱する予定です。併せて、ご覧下さい。
日医広報課

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