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平成30年(2018年)4月6日(金) / 「日医君」だより / プレスリリース

定例記者会見 平成28・29年度小児在宅ケア検討委員会報告書について

 松本吉郎常任理事は4月4日の定例記者会見で、平成28年10月にプロジェクト委員会として設置された小児在宅ケア検討委員会が、会長諮問「小児在宅ケア提供体制の整備に向けた課題とその対策~医師会の役割について~」に対する検討結果を取りまとめ、3月9日に、田村正徳同委員会委員長(埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター長・小児総合医療センター長)より横倉義武会長宛てに答申したことを報告し、その概要を説明した。

 報告書の内容は、「はじめに」「1.小児在宅医療の現状」「2.小児在宅医療をめぐる課題と対応」「3.小児在宅ケア提供体制の整備に向けた医師会の役割」「おわりに」で構成され、巻末には参考資料として、「小児在宅医療知ってよかったトップ30」「計画相談支援関連データ(都道府県別実績)(厚生労働省)」「障害福祉サービス等報酬改定にかかるヒアリング資料(日医)」が添付されている。

 「1.小児在宅医療の現状」では、医療的ケア児が増えている現状とそれを踏まえた児童福祉法等の改正について述べ、「2.小児在宅医療をめぐる課題と対応」では、医療的ケア児の病態像や小児在宅医療を行う医療機関や訪問看護ステーションの確保、コーディネーターの役割と課題、各種障害福祉サービスに関する課題、家族支援としての短期入所、ライフステージに応じた支援、診療報酬等に関する要望をまとめている。

 「3.小児在宅ケア提供体制の整備に向けた医師会の役割」では、平成29年4月に都道府県医師会を対象に実施した、「小児在宅ケア提供体制に関する調査」の結果を基に、小児在宅ケア体制の整備に向けた医師会の役割について検討している。

 「小児在宅医療に関する研修会」については、医師会が委託を受けて行っている都道府県もいくつかあるものの、それ以外の「医療的ケア児の実態調査の実施」や「小児在宅ケアに対応する医療機関や訪問看護ステーションの把握」など、全体として医師会の関与は非常に少ない状況であった。また、「行政と医師会との小児在宅ケアに関する協議の機会」については、現状では32医師会で協議の機会はないとの回答であった。

 「都道府県医師会における小児在宅ケアにかかる委員会の設置」については、「現在設置している」が3医師会、「他の委員会で検討している」が10医師会、「今後設置する予定」が3医師会、「設置を検討したい」が15医師会と、この問題に対する意識の高まりがうかがえた。

 これらを踏まえ、都道府県医師会、郡市区医師会の役割として、行政が設置する「医療的ケア児支援のための協議の場」に参画し、医療部局だけでなく福祉や教育関係部局とも連携して、地域の課題と対応を協議することが重要であるとするとともに、小児在宅医療に関する研修会や多職種連携のための会議の開催、中核病院等からの退院患者と在宅医のマッチングなどのネットワークづくりを進めることでスムーズな在宅移行につなげることができると指摘している。

 同常任理事は、医療的ケアが必要な子どもの数は、平成28年に全国で18,000人いると推計されており、同年6月には障害者総合支援法及び児童福祉法の一部が改正され、医療的ケアを要する障害児が適切な支援を受けられるよう、保健、医療、福祉等の連携促進が自治体の努力義務とされたこと、今回の診療報酬改定や障害福祉等サービス報酬改定においても、医療的ケア児や家族への支援の視点が盛り込まれたことを説明。今後、小児も含めて「地域包括ケアシステム」で対応していくことが重要であり、医師会としてもその役割を果たしていく考えを示した。

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