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平成30年(2018年)5月5日(土) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

医師の働き方検討委員会答申まとまる

定例記者会見 4月11日

 松本吉郎常任理事は、医師の働き方検討委員会が会長諮問「医師の勤務環境改善のための具体的方策―地域医療体制を踏まえた勤務医の健康確保策を中心に―」に対して検討結果を取りまとめ、4月3日に相澤好治同委員会委員長(北里大学名誉教授)より横倉義武会長宛てに提出したことを報告し、その概要を説明した。
 答申は、「はじめに」「Ⅰ 勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現」「Ⅱ 勤務医の労働安全衛生の充実」「Ⅲ 地域医療を守る」「Ⅳ 医師会の役割」「まとめ」で構成され、巻末には参考資料として、「医師の働き方に関する都道府県医師会アンケート報告書(概要)」などが添付されている。
 「Ⅰ 勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現」では、現行の労働基準の主な内容と課題を整理するとともに、諸外国の状況に言及。医療制度が日本に近い欧州では、医師は各国の一般的な労働時間規制の適用除外となっていることや、米国ではインターンの事件を機にインターンの労働時間に制限が設けられたが、研修効果にはネガティブな影響であったことなどを記している。
 「Ⅱ 勤務医の労働安全衛生の充実」では、労基法と労働安全衛生法の違反率について、医療保健業の違反率が全業種に比べて高い点を指摘し、労働時間等設定改善法に基づく「労働時間等設定改善委員会」の活用を提言。現行の時間外労働時間は、「原則的な上限」と「特別条項による上限」の二つに分かれているが、医師については、「医師の特別条項」を設け、更に地域医療の実情に合わせた対応ができるよう、同条項の上に「特例」を設定することを打ち出している。
 「Ⅲ 地域医療を守る」では、応招義務について、行政、医療機関、医師個人の役割を明確にすることを提案。女性医師の離職防止、復職支援や、退職前後のベテラン医師の活用、病院医師と開業医の連携などの対策の他、"コンビニ受診"を減らすために地域住民の理解と協力も不可欠だとしている。
 「Ⅳ 医師会の役割」では、日医に対して、(1)医師の過労死が起こらない環境づくり、(2)健康を守る取り組みの推進、(3)ワークライフバランスの充実の推進―といった段階的な改善を図ることや、勤務環境改善支援センター・地域医療支援センター・ナースセンターなどの機能の統合に主体的な役割を果たすことを求めている。
 同常任理事は、「委員会委員の任期はあと3カ月弱あるが、この間に宿日直、オンコール、自己研鑽(けんさん)などについても更に議論を深めていきたい」と述べるとともに、本答申において、医療界で医師の働き方を集約すべきという提言がなされていることを踏まえ、会内に「医師の働き方検討会議」を新たに設置し、同期間に平行して検討していくことを報告した。
 本答申を受けて、今後について問われた横倉会長は、「地域医療を壊さずに、勤務医の健康も守っていくことが大事になるが、この問題を解決するためには、現行の受療行動の変化を国民にも求めなければならない」と述べるとともに、病院と診療所の連携、病院内では医療関係職種との連携も必要になると指摘。一方的に時間制限のみを課すことには反対する考えを示した。

医師の働き方検討委員会

相澤 好治(北里大名誉教授)
泉  良平(富山県医副会長/富山市民病院 富山市病院事業管理者)
 植山 直人(医療生協さいたま行田協立診療所所長/全国医師ユニオン代表)
 小川  彰(岩手医科大理事長/岩手県医副会長)
 木戸 道子(日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長)
 城内  博(日大理工学部まちづくり工学科特任教授)
 中嶋 義文(三井記念病院精神科部長)
 藤井 美穂(北海道医常任理事/時計台記念病院女性総合診療センター長)
 星  北斗(星総合病院理事長/福島県医副会長)
 村上 剛久(社会保険労務士法人迫田・村上リーゼンバーグ代表社員)
 望月  泉(岩手県医常任理事/岩手県立中央病院病院長)
 山口 直人(済生会保健・医療・福祉総合研究所研究部門長)
 吉川  徹(労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等調査研究センター統括研究員)

(◎委員長○副委員長)
【松本吉郎常任理事・健康医療第一課】

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