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平成30年(2018年)4月20日(金) / 日医ニュース

医師の働き方など最近の産業保健をめぐる問題で意見交換

医師の働き方など最近の産業保健をめぐる問題で意見交換

医師の働き方など最近の産業保健をめぐる問題で意見交換

 都道府県医師会産業保健担当理事連絡協議会が3月14日、日医会館小講堂で開催された。
 松本吉郎常任理事の司会で開会。冒頭あいさつした横倉義武会長は、「生涯保健の一環である産業保健活動の推進は、人的資源である労働者の健康保持増進を通じて、社会・経済の持続的発展に貢献することで国益にも合致する」として、少子化対策と共に「健康投資」を基軸とした生涯保健の重要性を改めて強調した。
 また、現在、働き方改革実行計画(平成29年3月閣議決定)の下、医師の働き方や産業医・産業保健機能の強化等、法改正を踏まえた議論が行われていることに対して、地域医療と医師の働き方の両立に向けた議論の場として日医会内に新しく「医師の働き方検討会議」を立ち上げることを報告し、「現場の医療関係者の声を踏まえて、日医として国に働き掛けていく」と述べた。

議事(1)産業医活動の活性化について

 初めに、行政の立場から神ノ田昌博厚生労働省労働基準局労働衛生課長が、「最近の産業保健行政の動きを踏まえて」と題して、現在、進めている働き方改革の背景及び関連法案の改正等の概要を解説した。
 働き方改革関連法案では、産業医・産業保健機能の強化を重要な役割として位置づけ、(1)産業医の活動環境の整備、(2)産業医に対する情報提供等―について、省令及び法律の改正を行うこととしたと説明。
 具体的には理不尽な理由等で解任されることがないよう、産業医の解任等について衛生委員会への報告を事業者に義務づける他、産業医の勧告が現場に生かされるよう、産業医の勧告について、衛生委員会への報告を事業者に義務づける(勧告するときはあらかじめ事業者の意見を求めなければならない)などを盛り込む予定であるとし、「長時間労働者の氏名や超過時間、健康診断等実施後の就業上の措置の内容や労働者の業務に関する情報など、必要な情報を産業医に提供するよう事業者へ義務づけることから、産業医としての機能を発揮しやすくなるのではないか」と述べた。
 また、中小企業への支援として、各都道府県の産業保健総合支援センターに保健師を配置するなど相談支援等を拡充するための予算を確保したことを報告。
 更に、治療と職業生活の両立支援について、がん患者の4割が治療開始前に離職している現状を示し、告知の場面で仕事を継続しながら治療する選択肢があることを説明することが重要になるとした上で、「一億総活躍社会の実現は働き方改革にかかっている。今ほど産業医に大きな期待が寄せられている時はなく、産業医の先生方の取り組みなしでは日本の将来は描けない」と述べ、各地域での産業医活動に期待を寄せた。
 次に、松本(吉)常任理事が、都道府県医師会を対象に実施した「認定産業医に関する組織活動の実態調査」について概説。「産業医(部)会等の設置」「産業保健関係団体等との連携」「産業保健活動総合支援事業」等に関して、都道府県・郡市区医師会が組織的にどのような形で実施しているのか調査を行ったとした上で、「産業医の組織力強化に関してさまざまな意見を頂いたので、重要な点に関しては、来期の産業保健委員会で取り上げ検討したい」とするとともに、産業医の組織化について、学会や機構、関連団体等と連携しながら日医として具体的に検討していく考えを示した。

議事(2)医療機関における産業保健活動の推進について

 相澤好治産業保健委員会委員長/医師の働き方検討委員会委員長が、会内の「産業保健委員会」答申について、医療機関におけるストレスチェック制度や産業医制度のあり方の議論を踏まえ、医療機関における産業保健活動推進のための具体的方策として、産業医、医療機関、管理監督者、医師自身及び患者や地域医療体制の役割の見直しなどによる包括的管理の推進を求めるものになっていると説明した。
 また、会内の「医師の働き方検討委員会」答申の方向性としては、「地域医療の継続性」と「医師の健康への配慮」の両立に向け、(1)一般的に遵守すべき月の時間外労働時間の上限(医師の特別条項)の設定、(2)勤務医の健康確保の担保、(3)財政的支援―等が重要になるとしている他、長時間労働を是正する観点で「医師の特別条項の『特例』」の設定を求めているとした。
 更に、全業種に比べ医療保健業の労働安全衛生法の違反率が高く、中でも健康管理に関する違反割合が大きいことを問題視。今すぐにやるべきこととして各医療機関に長時間労働の勤務医が産業医に相談できる仕組みの構築を挙げるとともに、都道府県・郡市区医師会に対しては、「初期救急、休日・夜間診療体制の再構築」「かかりつけ医と病診連携の普及促進」「予防・健康増進の活動」「地域住民への啓発」への積極的な関与を求めた。

質疑応答

 事前に寄せられた各都道府県医師会からの意見・質問への回答の後、参加者からも、種々の質問・要望が寄せられた。
 最後に、総括を行った今村聡副会長は、「国が医師は特別な職種だということを認め、その働き方を新たに省令の中で決めることになるが、その内容は医師自身がプロフェッショナルオートノミーの下に提言していくことになっている。今後、新しく立ち上げる『医師の働き方検討会議』の議論をたたき台にして、日医がリーダーシップを取って国に提言していきたい」と述べた。出席者は109名。

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