閉じる

平成30年(2018年)5月5日(土) / 南から北から / 日医ニュース

水中家族

 金魚を飼っている。千秋公園の花見や、土崎港祭の金魚すくいで子ども達が捕ってきたもので、1匹だけ初代から残っている「オカアサン」は、うちにきて12年ほどになる。他にこのオカアサンの子ども達である7歳の長男と、3歳になる4兄弟の全6匹所帯だ。
 長男は、幼少時にコリドラスという"コケ掃除魚"と一緒の金魚鉢で育てたところ、「底の方で動かない」という躾(しつけ)をされた。親達と混泳になり、「泳ぎ回る」ということも教えられたが、いまだによく底で休んでいる。魚と言えど躾の影響は大きいと感心した。
 金魚は、広い所に住まわせてあげるほどに大きくなるらしい。以前、カナダの湖に逃げ出し、2メートル近くにも育って湖の主として釣り上げられた金魚の写真を見て以来、うちの金魚も果てしなく巨大化するかと恐れている。水槽の中にもオブジェを入れ、あえてちょっと狭めにしているが、オカアサンは年々じわじわと大きくなり、今では20センチメートルを超え、釣ったらいい手応えがありそうな大きさになった。
 わが家の金魚達は粒餌よりも水草の方が好みで、フンは緑色である。カモンバ、いわゆる金魚草を大喜びでついばみ、1週間もしないうちにツルツルに食べあげてしまう。ペットショップに度々カモンバを買いに行くので顔を覚えられ、「いつもの一つ下さい」「今日は二つ」などと、行きつけのバーのような注文で事足りるようになった。
 皆同じ顔のようでいて、金魚にも個性があって面白い。オカアサンは目がぱっちりしていて、おっとりと寛容な性格だが、子ども達も、甘えん坊、仲良し組、怖がりなどさまざまだ。長く育てるとそれなりに懐いてくれ、毎日の給餌前にスポイトで掃除をしていたところ、自分からすり寄ってくるようになった。犬猫のようには触れ合えないが、スポイトでの「なでなで」までできる。
 水槽のガラス越しに見つめてくることも多い。満腹になると「喜びの追いかけっこ」を始める。表情は読めないながら、感情表現はあるようで愛着が湧く。
 病気もたくさん見てきた。白点病など薬がよく効くものは治療も手慣れてきた。エラがなくなるエラ病も、オカアサンほど長生きだとエラが再び伸びてきて、今ではすっかり塞がった。少し不格好だが貫禄さえ感じられる。人間はともかく、金魚の病気には素人なので、ネットやら飼育本やらの情報をかき集め、塩水などの民間療法や、店で買った"OTC薬"で、試行錯誤で治療する。それでもやはり治せずに見送った子も多い。庭の隅に弔う時は、いつも申し訳ない気持ちになる。
 ペットショップに、「金魚は上手に育てると15歳くらいまで生きます」と書いてあった。オカアサンもだいぶおばあちゃん金魚だということだ。この頃は、お腹の片側が少し膨れてきた。不治の病、腎肥大と推測される。これに罹ってしまうと、その後はあまり長くない。残りの時間を、子ども達とゆっくり過ごさせてあげたいと、今日も水槽掃除に精を出すのである。

秋田県 秋田医報 No.1524より

関連キーワードから検索

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる