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平成30年(2018年)7月20日(金) / 日医ニュース

会長所信表明

会長所信表明

会長所信表明

 臨時代議員会で所信表明を行った横倉会長はまず、4期目に臨む決意をした理由について、「地域医療を支える会員一人ひとりの声を丁寧にくみ取りながら、国民皆保険とかかりつけ医を中心とする医療提供体制が一体となった、わが国の保健医療システムをより高次なものにしていきたいという強い思いがあったからだ」と説明。
 また、これまでの6年間の経験から、「各地域の医師の活動を助け、現場の声を政府に届ける一方、医療政策を全国で円滑に展開し、国民医療を推進できるのは、医師会の存在があってこそ」との深い思いに至ったとし、「こうした認識を広く国民と共有し、また、医療の本質的な意義と目指す方向性を再認識することで、社会保障制度の精度を上げながら、その安定性と持続可能性を高めることができると確信している。そのためにもまずは、医療界を挙げて自ら変革に取り組み、未来に対する責任を果たしていく覚悟を示すことが重要になる」との考えを示した。
 具体的には、(1)プロフェッショナルオートノミーに基づく医師の働き方改革、(2)かかりつけ医機能の拡充による地域医療の強化、(3)経済、財政、社会保障を一体的に考えた国づくりの推進―に取り組んでいくとした。
 (1)については、「自己研鑽(けんさん)と倫理観に基づく医師のプロフェッショナルオートノミーをもって、『地域医療の継続性』と『医師の健康への配慮』の両立を図っていくことが重要である」と改めて指摘。その解決に当たっては、「医師の地域・診療科偏在の解消」や「男女共同参画の推進」「医療分野におけるAIやICTの更なる活用」など、関連する諸施策を推進しつつ、今後も医師の働き方改革に係る議論をリードし、しかるべき答えを導き出すとした。
 また、「その過程を通じて、患者や国民と医療者が、医療のあり方や受療行動について共に考えていく機会として、医療に対する認識の深化と、医療需要の健全化等に寄与していきたい」と述べた。
 (2)に関しては、「医学・医療への期待が生命と健康の保持増進から、生活問題全般へと広がる中で、医師は人を支援することの本来的な意義に立ち返り、その能力を広く患者や社会に還元していかなければならない」とするとともに、今後も、地域住民とのつながりを大切にしながら、かかりつけ医機能の拡充を図り、継続的で包括的な保健・医療・福祉の実践を目指した地域医療を確立することで、医療に対する国民の信頼に応え続けていく考えを示した。
 (3)では、「少子高齢化が進むわが国においては、先に経済成長ありきで考えるのではなく、どういう社会を目指し、そのためにはどのくらいの経済成長と財政規模が必要なのかを、国民的な議論にまでしていくことが重要」とし、「そうした機運を醸成していく中で、医師会組織は重要なインフラであること、医療は社会的共通資本であることを訴えながら、経済、財政、社会保障を一体的に考えた政策提言を行い、社会保障制度の安定性と持続可能性の向上に努めていく」とした。

新たなグランドデザインの作成に取り組む

 その他、横倉会長は、①医師は、目の前にいる患者を救うために全力を挙げる一方、人々が医療を受けないで済むための努力も惜しんではならない②社会保障を負担の面から消極的に捉えるのではなく、国民生活を守り、社会の発展、国民生活の向上につなげるという社会保障本来の機能から積極的に捉え直す中で、医療のあるべき姿を浮き彫りにしていく―との考えの下に、現在、日医総研を中心として、新たな医療のグランドデザインを作成していることを報告。
 その基本命題は、「人はひとたび生を受ければ、無条件で尊重され守られるべき存在である」であり、「人類(ヒト)の生命と尊厳を守る」「人類(ヒト)を苦痛から解放する」「人類(ヒト)の暮らす基盤を支える」「人類(ヒト)の明日に備える」の四つを、医療の果たすべき役割として位置づけているとした。
 その上で、「これらの役割を果たしながら、『日本医師会綱領』が国民との約束として掲げる、①国民の生活支援②安全・安心な医療提供体制の構築③医学・医療の発展と質の向上④国民皆保険制度の堅持の四つを指針に、人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指していく」とした。
 最後に横倉会長は、「あらゆる手法を駆使した総合的施策と個別具体的な取り組みを展開することで、会員の先生方と共にこの国の未来をつくり上げていく」との覚悟を示すとともに、これからの2年間、医師会活動の一層の活性化とできるだけ多くの会員との対話に努めていく考えを示し、更なる支援を求めた。

 

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