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平成30年(2018年)8月5日(日) / 南から北から / 日医ニュース

うちのイワガニ

 うちには今、昨年7月末から1匹の居候がいる。それはイワガニである。塩釜港から船で約25分、浦戸諸島の桂島(かつらしま)にある海水浴場の岩場から、うちの次男に連れてこられた甲羅の長さ2センチメートル弱の大きさのカニである。
 以前ヤドカリに脱走されて以来、物置に置いてあったプラスチック製の水槽(しかもカブトムシ飼育用)に入れている。今はホームセンターでも購入可能な人工海水の素という便利なアイテムもあり、それを水道水と調合し、酸素ブクブクも設置しての飼育である。2週に1回程度の水槽の水の入れ替えも大変ではあるが、環境整備は非常に大切である。
 一度、ふたが緩く脱走されたが、その後は諦めたのか、水槽で静かに過ごしている。
 雑食なので、ヤドカリの餌を与えたり、しらすやめかぶ、時々刺身の切れ端を与えたりしている。最近のお気に入りは酒のつまみの乾燥イカソーメンである。
 定期的に餌を食べなくなる時期があり、そうなると決まって脱皮をしている。その度に石の上に生気のないカニがいて、つついても動かないので死んでしまったのではないかと思うと、脱皮後の抜け殻だった。
 3回目の脱皮後には少し大きくなっており、脱皮後3~4日すると食欲旺盛になり、餌をピンセットから直にハサミで受け取ったり、ジャンプして取ったりする。懐いたのか分からないが可愛いものである。
 カニの寿命については、さまざまな記載がある。ヤドカリの仲間であるタラバガニは15~20年ほど、毛ガニは15年ほど、サワガニは5~10年ほどと言われているが、イワガニは調べても記載がないので分からない。
 うちのイワガニはあと何回脱皮し、何年生きるのだろうか? カニ自身の生命力と与えられた環境への適応能力と飼い主の力量が関係しそうである。
 今更元の海へ放しても、しばらくぶりの海の波にびっくりするのではないだろうか。外敵が多い海で生きられるのかも不安である。海から連れてきた責任を取るためにも精一杯世話していきたいと思う。
 人間も同様であるが、私も自分のキャパを超えない程度に環境適応能力をもって精進していく所存である。

岩手県 関医会報 No.627より

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