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平成30年(2018年)8月20日(月) / 日医ニュース

「勤務医の参画を促すための地域医師会活動について」~その1~

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「勤務医の参画を促すための地域医師会活動について」~その1~

「勤務医の参画を促すための地域医師会活動について」~その1~

 勤務医委員会(委員長:泉良平富山県医師会副会長)は、会長諮問「勤務医の参画を促すための地域医師会活動について」に対する答申を取りまとめ、5月16日、横倉義武会長に提出した。同答申の概要を2回に分けて掲載する。

Ⅰ 勤務医委員会活動について

 勤務医が広く参集する場において理解と協力を得るために、「全国医師会勤務医部会連絡協議会」や「都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会」との連動性を意識した運営を行った。
 また、本委員会委員長及び副委員長を含む4名が、会内の「医師の働き方検討委員会」に委員として参画(同委員会副委員長を勤務医委員会委員長が務めた)し、勤務医の立場から、日医の「医師の働き方改革」に関する取り組みに資するよう努めた。
 その中では、各ブロック医師会の推薦を受けて本委員会に参画している委員を通じて、地域医療を守る視点で調査を実施し、その結果の概要を「医師の働き方検討委員会」に報告した。
 前期の本委員会答申で提言した、全国医師会勤務医部会連絡協議会の翌日に「ブロック代表者会議」を行うことについては、平成29年度の同協議会の翌日、北海道医師会主催、同医師会勤務医部会若手医師専門委員会企画・運営による「勤務医交流会」の開催として実現した。

Ⅱ 提言

1.医師の働き方改革についての継続的な取り組み

(1)取り組みの必要性と課題
 医師の働き方改革は、まさに勤務医の問題であり、本委員会は、医師の働き方改革が適切に進められるよう、地域医師会と協力しながら、さまざまな取り組みを行う必要がある。
 具体的には医療勤務環境改善支援センターの強化と活用の促進に関して、各都道府県医師会が中心となり積極的に運用することが望まれる。この点に関しては、日医「医師の働き方検討委員会」においても分析・検討が行われており、本年4月に発表された同委員会答申を参考に、各都道府県医師会の勤務医部会等で議論を行い、実情にあった取り組みを早急に進めることが求められている。
 また、地域医療を守り、救急医療を守るためには地域医師会のさまざまな取り組みや援助が必要となる。本委員会としても実態の把握、先進例などの情報発信、また進捗状況の調査と必要な改善策の提案などを継続的に行う必要がある。
(2)方法としてのブロック医師会を中心としたフレームワークの活用
 医師の働き方改革に関して、各ブロック医師会より推薦を受けて参画している委員を通じて勤務医の意見集約を行った。今回の調査では、多くの不安や懸念が示されるにとどまったが、今後、具体的対応を議論する場を構築する役割を本委員会も担う必要がある。
 今後、ブロック医師会を中心としたフレームワークを強化し、勤務医活動の基本的なシステムとして活用していくことが求められる。特に医師の働き方に関しては、医療勤務環境改善支援センターの実態や医師の働き方の変化、地域医療の実情等を定期的に調査する必要がある。
(3)働き方改革が及ぼす日医組織率への影響の把握と対策
 勤務医の組織率の向上には、継続的に状況を把握し対策を立てる必要がある。
 とりわけ、研修医の日医への入会は、働き方改革に対する日医の立場を医学生や研修医がどのように受け取るかによって大きく変化する可能性がある。特に、1年目の研修医の入会状況と、会費無料が終了する3年目の医師の医師会員としての継続状況は各地域医師会単位で的確に把握することが求められる。また、必要に応じて、研修医の日医に対する見方や要望に関する調査等を行い、さまざまな対策を講じる必要があると考えられる。
(4)各学会との協力・共同について
 働き方改革と診療科の偏在は大きく関係すると考えられるが、この点についての実態が不明である。日医がイニシアチブをもって各診療科の実態や意見を集約し、提案を行うことが求められていると考えられる。
 具体的には、まず、日医が各学会に対して医師の働き方に関する調査を行うことが必要であると考えられる。また、各学会との共同のシンポジウムの開催や、学会単位でのシンポジウムの開催を要請することも有効であろう。
(5)日本医学会総会での医師の働き方改革に関するシンポジウムの開催
 「第29回 日本医学会総会 2015 関西」では、本委員会の企画によるセッション「勤務医と地域医療連携」が実現し、多くの医師の参加を得た。
 「第30回 日本医学会総会 2019 中部」においても、本委員会の企画として、医師の働き方改革に関するシンポジウムを開催し、この問題に関する議論を深めることに貢献していきたいと考える。
 医師の働き方改革に関しては、改革が進み特別な対応が必要でなくなるまでは、このような取り組みを継続的に行う必要がある。
(6)地域医師会役員への勤務医の登用と活躍の場の提供
 医師の働き方を考えるためには、地域性にも十分に配慮する必要がある。
 そのため、地域医師会は地域の現状や病院の実態を熟知する勤務医を地域医師会役員として登用し、力を発揮してもらうべきであろう。
 また、地域医療に貢献するモチベーションをもつ勤務医に対して、積極的に医師会活動への参加を促すことが課題となる。医師会活動に参加する勤務医のリーダー的な医師に関しては、積極的に役員に迎え、地域医師会を更に強化することが求められている。

2.大学医師会の現状の把握と対応策

 「平成29年度勤務医会員数・勤務医部会設立状況等調査」によると、平成29年11月1日現在、65の大学医師会が設立されている。
 一方、日医医師会組織強化検討委員会が実施した「大学医師会に係る現況調査(平成29年11月)」では、専属の職員がいないとの回答(「大学職員が兼務」と「いない」の合計)が55・1%にも上っている。
 その理由については、「人件費の負担が大きい」「専属の職員を置くまでの業務量はない」との回答がそれぞれ53・1%と最も多かった。
 また、「医師会組織強化の視点から、日医に要望する事項」に対する回答では、「勤務医の労働環境改善の取り組み強化」が58・6%と最も多く、「医師会活動の意義・メリットの明確化」が50・0%、「勤務医の意見が反映できる体制づくり」が48・3%と続いた。
 日医としては、これらの現状や要望に基づき、大学医師会への支援を更に深化させていくとともに、その成果を大学医師会に対してより一層周知していくことも重要である。
 他方、長崎県医師会では、長崎大学医師会に入会している勤務医に関しては、県内で他の勤務地に移動しても、新たな入退会の手続きを要しないという運用を行っており、勤務医の入会・定着に効果を上げている。
 大学医師会と連携を深めることによって、研修医の入会が促進できるものと思われる。大学医師会への援助としては卒業生への記念品贈呈、研修医の自己学習ツールの補助、研究者への助成金補助、県内の学会への寄付、大学医師会の要望や質問を行政に伝達、保育サポート整備など、アイデア次第でさまざまな取り組みができる。
 医師国保、医師信用組合、医療紛争処理の他、個人の資格習得のための種々の講習会の実施や援助(産業医、認知症サポート医、難病指定医など)、日医医学図書館の利用、生涯教育協力講座の開催、医師資格証などについても情報提供が十分とは言えない。
 このように、医師会が勤務医に提供している活動は多く、これらについて勤務医に広く情報提供すべきである。
 日医や都道府県医師会が、大学医師会の活動費用の援助を含めた必要な支援を行う中で、こうした取り組みを全国に広げていくことも重要であると考える。

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