閉じる

平成30年(2018年)11月5日(月) / 日医ニュース

「超高齢社会における医療システムのあり方と在宅医療―持続可能かつ豊かな高齢社会の実現に向けて―」をテーマに開催

「超高齢社会における医療システムのあり方と在宅医療―持続可能かつ豊かな高齢社会の実現に向けて―」をテーマに開催

「超高齢社会における医療システムのあり方と在宅医療―持続可能かつ豊かな高齢社会の実現に向けて―」をテーマに開催

 日医及び日本在宅ケアアライアンス主催の「国際在宅医療会議」が9月29日、在宅医療推進における課題をアジア諸国の国々と共有し、その解決に向けた意見交換を行うことを目的として、日医会館大講堂で開催された。
 冒頭のあいさつで横倉義武会長(今村聡副会長代読)は、「地域包括ケアシステム」の構築に当たっては、入院医療・外来医療・在宅医療が過不足なく提供できる体制を整備することが、住み慣れた地域で暮らす患者の安心と安全を守ることにつながるとの考えを示した上で、本会議を通じてお互いに学び合い、世界における在宅医療がより一層推進されることに期待を寄せた。
 続いて、田村憲久衆議院議員、鈴木俊彦厚生労働事務次官、鳥羽研二国立長寿医療研究センター理事長、堀憲郎日本歯科医師会会長(佐藤保同副会長代読)、山本信夫日本薬剤師会会長、福井トシ子日本看護協会会長(齋藤訓子同副会長代読)から来賓祝辞が述べられた。

基調講演

 続いて、今村副会長を座長とした基調講演に移り、新田國夫日本在宅ケアアライアンス議長は、「持続可能かつ豊かな高齢社会の実現に向けて」と題して、2010年に総人口に占める65歳以上人口が21%を超えて超高齢社会に突入し、2025年には約30%に達する日本と同様、アジア諸国にとってもこれからの高齢社会への対応が重要な課題となっていると指摘。変容する日本社会では、従来の根治治療から「治し支える医療」へとパラダイム転換が図られようとしており、病院医療と在宅医療が補完し合いながら地域全体を守っていかなければならないとし、在宅医療においては、総合的に診る「かかりつけ医」の重要性が増すと強調した。

シンポジウム「自国における地域医療の現状(Current condition of primary health care)」

 シンポジウムでは、韓国のJaewook Choi氏が「韓国におけるプライマリ・ヘルス・ケアと在宅医療の現状」、ミャンマーのZay Yar Aung氏が「ミャンマーにおける医療サービス:現在と未来」、タイのNart Fongsmut氏が「高齢化が進むタイ―その行く末とは」、台湾のWei-Chang Wang氏が「台湾の在宅統合医療」、香港のTung Wai Auyeung氏が「2028年の高齢者ケアはどうあるべきか?」と題し、それぞれの現状と課題等について説明した。

パネルディスカッション1「Social System」

 パネルディスカッション1では、"多死社会、少子化、社会保障制度、病診連携"をキーワードに、迫井正深厚労省大臣官房審議官が「社会保障に係る課題と在宅医療」、鈴木邦彦志村大宮病院理事長(前日医常任理事)が「在宅医療における医師会とかかりつけ医の役割」、田中滋埼玉県立大学理事長が「地域包括ケアシステムの深化と今後の展望」と題してそれぞれ講演を行った後、海外からの5氏が加わって、エイジング・イン・プレイス(地域居住)や医療提供体制とマンパワーの配置などの問題をめぐって総合討論が行われた。

パネルディスカッション2「Community Practice」

 パネルディスカッション2では、"多職種協働、病診連携、在宅療養、End-of Life Care"をキーワードに、織田正道全日本病院協会副会長が「入院と在宅医療のシームレスな連携」、篠原彰静岡県医師会顧問が「静岡県医師会における在宅医療推進の取組み~静岡県在宅医療推進センター事業~」、佐藤美穗子日本在宅ケアアライアンス副議長/日本訪問看護財団常務理事が「訪問看護の機能~医療とケアの架け橋~」と題してそれぞれ講演した。
 その後の総合討論では、海外からの5氏が加わって、終末期医療やACP(アドバンス・ケア・プランニング)、各国の死生観などに関して、議論が交わされた。

クロージングセレモニー(閉会式)

 閉会式では、新田日本在宅ケアアライアンス議長が、地域における「かかりつけ医」を基本として、①市民と共に、暮らしの中で「生と死」を見つめる在宅医療を実践②多職種が協同し、地域の社会資源と連携した、地域完結型医療の普及に寄与③学術的にも在宅医療を確立し、その担い手を養成④在宅医療を位置づけた地域包括ケアシステムを基盤とする、地域完結型医療を国内外に向けて発信―するという「東京宣言」を読み上げて、盛会裏に閉会した。参加者は220名。
 なお、前日の28日には、都内で、140名の参加者を得て、[Pre-Congress]「日本の在宅医療の歴史と今後の展望」として、太田秀樹日本在宅ケアアライアンス共同事務局長/全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長、苛原実同共同事務局長/在宅ケアを支える診療所・市民全国ネットワーク会長による講演の後、レセプションが行われた。

戻る

シェア

ページトップへ

閉じる