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平成31年(2019年)2月20日(水) / 日医ニュース

日本医師会「医師の働き方検討委員会」と若手勤務医の医師会への参画

勤務医のページ

日本医師会「医師の働き方検討委員会」

 私は、日医の勤務医委員会の委員として「医師の働き方検討委員会」に参加し議論に加わってきた。この検討委員会のこれまでの報告と勤務医委員会に求められている取り組みについて述べるものである。
 「医師の働き方検討委員会」は、横倉義武会長より「医師の勤務環境改善のための具体的方策―地域医療体制を踏まえた勤務医の健康確保を中心に―」について諮問を受け、平成29年6月より平成30年2月まで6回にわたり委員会を開催し、「医師の働き方検討委員会答申」を同年4月に作成・報告した。
 また、その後4回の委員会を開催し更に議論を行っている。
 なお、委員会の構成は日医の勤務医委員会委員と産業保健委員会委員を中心とし、これに外部の社会保険労務士などが加わっている。
 答申を作成するに当たっては、「労務管理に関するもの」「労働安全衛生に関するもの」「地域医療を守ることに関するもの」の三つのワーキンググループを立ち上げ議論を深めた。
 医師の働き方を議論するに当たっては、さまざまな点に関して議論を行う必要があった。主な論点は、以下のとおりである。
 ・医師の働き方改革が求められる背景
 ・医師労働の特殊性
 ・医療法と労働基準法の宿直勤務の解釈
 ・自己研鑽(けんさん)と労働時間
 ・応招義務の解釈
 ・高度プロフェッショナル制度や裁量労働制
 ・労働安全衛生法と医療機関における安全衛生委員会の在り方
 ・労働基準監督署の臨検や指導
 ・医師の健康管理の在り方
 ・医療勤務環境改善支援センターの現状と求められる方向性
 ・女性医師支援
 ・タスクシフト
 ・諸外国の医師の労働時間規制
 ・地域医療の現状
 ・働き方改革による地域医療への影響
 ・医師の偏在問題
 ・大学が抱える問題
 ・日医及び地域医師会の役割
 この他にもさまざまな点に関して議論が行われたが、医師数の問題や診療報酬などの問題は他の委員会で議論されるため、問題点は指摘されたものの本委員会では具体的な議論は行っていない。また、時間外労働の上限に関する具体的な議論も行っていない。
 前述の答申は、六つの柱で構成されており、まず「はじめに」で、医師の働き方改革をめぐる社会的な背景と医師の特殊性を述べている。
 次に「Ⅰ 勤務医の労務管理・ワークライフバランス実現」において、現在の労働基準法と医療勤務環境改善支援センターの充実強化の他、医師の健康管理の国内外の状況と基本的な考え方及び今行うべき労務管理について述べている。
 「Ⅱ 勤務医の労働安全衛生の充実」では、労働安全衛生法の遵守(じゅんしゅ)と医療機関における産業保健活動の推進について述べている。
 更に、将来に向けての提言と今行うべき労働安全衛生管理について指摘している。
 「Ⅲ 地域医療を守る」においては、労働時間制限の地域医療への影響及び地域を守る視点と対策について述べ、応招義務の問題点と対応、医師の効率的活用、大学病院を取り巻く状況と将来の在り方、更に地域住民の理解と協力に関して述べている。
 また、「Ⅳ 医師会の役割」では、医師会の組織と存在意義、働き方改革における日医のあるべき立場、各医師会に求められる課題と具体的な対応に関して述べている。
 最後の「まとめ」では、「地域医療の継続性」と「医師の健康への配慮」の両立の重要性を強調している。
 答申作成後、平成30年の秋からは勤務医の健康確保策を中心とした議論を行っている。ここまでが、「医師の働き方検討委員会」の経過報告である。

「勤務医委員会」の諮問

 今期の勤務医委員会に課せられた諮問は、「勤務医の医師会入会への動機を喚起するための方策について―特に、若手勤務医を対象に―」である。若手勤務医にとって、働き方の問題とキャリア形成の問題はとりわけ関心が高い問題である。
 近年の若手医師はワークライフバランスを重視し、診療科の選択においても労働条件を考慮する医師が増えている。従って、勤務環境改善の取り組みに関する各医師会のスタンスとイニシアチブは極めて重要である。医療過疎地への医師の派遣や救急医療における医療機関の協力体制の強化などと共に、地域医師会がイニシアチブをもって医療勤務環境改善支援センターを運営し、地域の診療環境の改善を進めることが、医師会の存在意義を高め、若い勤務医の信頼を得ることにつながると考えられる。
 一部の地域での医師不足は深刻であり、また診療科の偏在も深刻であるが、具体的な地域や診療科の偏在解消策はまだ存在しない。この点においても、積極的な政策提言と実践が求められている。
 未来を担う若い医師が医師会を信頼して入会し、医師会員として活躍できる新しい医師会活動を創造することが求められている。

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