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平成31年(2019年)2月20日(水) / 南から北から / 日医ニュース

研修医の頃

 自分の若い頃の昔話を長々とすることは、若い人が嫌がることの一つらしい。
 分かってはいるのだが、話を聞いてくれる真面目な研修医には、つい忘れて自分の研修医の頃の話をしてしまう。
 「パンツは20枚くらい持ってきたほうがいいよ」。
 大学を卒業し、一般病院で研修を始めた時に先輩の研修医から受けたありがたいアドバイスだった。
 オリエンテーションが終わり実際の仕事が始まってみると、朝6時からのスタートや日中の忙しさはあったが、夜は帰れたこともあり実感はまだなかった。
 深夜の緊急手術から重症となった患者にずっとついている疲れ切った同期を見ていると、自分はこのままでいいのかと心配にもなった。
 しかし、そんなことも杞憂(きゆう)に終わり、すぐに同期と同じようにほとんど病院で生活するようになった。
 「お前達はモニターだ。患者さんのそばにいて、何かあったらすぐに報告しろ」。いつもさっそうと仕事をこなすチーフレジデントから、研修医であった我々に下った指令だった。
 何てことを言うのだろうとその時は思ったが、確かに病棟にいると緊急手術や患者の急変などを経験することが多く、そのたびに先輩レジデントの背中を見て、何をするのか、何を優先させるかを学んでいた気がする。
 経験が全てとは言わないが、臨床では若い時の経験、特につらかったり、痛い思いをした経験が財産となっており、初期研修では必要なことだったと思う。
 同世代の医師と研修医時代の話をすると、どれだけ寝なかったかとか、すぐに病院に呼ばれたことなど、皆楽しそうに話し盛り上がるのだが、研修医をもう一度やりたいかと聞いて、首を縦に振ったのをいまだ見たことはない。

東京都 都医ニュース 第625号より

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