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令和元年(2019年)5月5日(日) / 日医ニュース

かかりつけ医の社会的機能の充実を図り人生100年時代に即した医療の在り方を模索する

かかりつけ医の社会的機能の充実を図り人生100年時代に即した医療の在り方を模索する

かかりつけ医の社会的機能の充実を図り人生100年時代に即した医療の在り方を模索する

 第144回日本医師会臨時代議員会が3月31日、日医会館大講堂で開催された。
 当日は、上程された「第1号議案 平成30年度日本医師会会費減免申請の件」が可決決定された他、裁定委員の補欠選任が行われた。
 また、今回より、代表質問と個人質問が代表質問に一本化され、日医執行部より回答を行った。

 当日は、出席者全員で「日本医師会綱領」を唱和した後、横倉義武会長があいさつに立ち、代議員会開催に当たっての所感を述べた。
 横倉会長はまず、連帯と共存を基に未来に向かって展開する予防・医療・介護の在り方を示した『日本の医療のグランドデザイン2030』を日医総研で作成したことを報告。「これを一つのツールとして、政府与党を始め、国民との対話を深める中で、平成の次の時代の医療制度について、国民と共に考えていきたい」と述べた。
 医師の働き方改革に関しては、「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」の両立を訴えるとともに、医師が高い倫理観で患者の生命を救おうとした際、労働時間の関係でそれが制限されたり、罰則適用で地域医療が崩壊することのないような制度設計を求めてきたことを説明。「引き続き、勤務医の健康確保に向けた医療機関の取り組みを支援しつつ、地域の実情に合わせて柔軟に対応することが可能な制度設計に寄与していく」とした。
 加えて、医師の働き方改革を進めていくためには、医療のかかり方に関する国民の意識改革も必要になると指摘。その際に重要な視点として、多くの国民にかかりつけ医をもってもらうことを挙げ、日医としても「日医かかりつけ医機能研修制度」の応用研修の講義内容を刷新するなど、かかりつけ医の社会的機能の充実とともに制度の普及を図っていく考えを示した。
 現在、制度設計が進められている新専門医制度については、日本専門医機構が認定している23のサブスペシャルティ領域が国民にとって分かりにくい部分が多く、去る3月28日に開かれた同機構の社員総会において、その見直しを求めたことを明らかにするとともに、「制度設計に当たっての混乱は、国の関与を強める結果にもなりかねず、そうならないためにも、丁寧な議論を基に、目的に適(かな)った制度実現に向けて、引き続き、同機構を支援していく」とした。

多くの国民にかかりつけ医を

 更に、横倉会長は平成の次の時代の医療制度を、医師と患者・国民との信頼関係の上に、持続可能なものとして築き上げていくことは、未来に対する我々の責務であると強調。次の時代の医療制度を描いていくに当たっては、「かかりつけ医の心」(「寄り添う心」「和の心」)を、全国の医師にしっかりと涵養(かんよう)してもらうことが重要になるとするとともに、①地域医療構想を通じた医療機能の分化・連携等の推進②医師確保対策を通じた医療資源の地域間格差の是正③医師の働き方改革を通じた医師の健康確保と地域医療を支える各医療機関の継続性の両立④医師の養成を通じた医療の質の向上と医師偏在の是正⑤地域包括ケアシステムを通じた切れ目のない医療・介護提供体制の構築――の五つの取り組み等を高度に相関させながら、人生100年時代に即した医療の在り方を模索していく考えを示した。
 また、それと同時に、高齢社会のネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)し、一元的に捉えられてきた健康概念を、個々人の価値観に即した多元的なものへと新たに提言することで、国民に自らの健康状態、健康確保に関心をもってもらい、かかりつけ医の更なる普及と健康寿命の延伸につなげていくとした。
 その上で、横倉会長は、「代議員の先生方を始め、全国にある900を超す医師会組織、20万人を超す医師会員と共に、ぜひとも明るい長寿社会を実現し、未来に対する責任を果たしていきたい」と述べ、更なる理解と支援を求めた。

会費減免申請の件を可決

 続いて、報告に移り、19の具体的な活動を重点課題とした「平成31年度日本医師会事業計画」については中川俊男副会長が、「平成31年度日本医師会予算」に関しては今村聡副会長が、それぞれ資料を基にその内容を概説した。
 また、橋本省財務委員会委員長からは、財務委員会(1月25日開催)における平成31年度日本医師会事業計画及び予算の案に関する審査の経過及び結果の報告が行われた。
 引き続き、「第1号議案 平成30年度日本医師会会費減免申請の件」が上程された。
 今村副会長は、①適用者は合計1万6357名で、減免申請金額は4億4477万円②その内訳は、高齢の事由によるものが1万858名で3億8706万9千円、疾病その他の事由によるものが537名で2644万5千円、出産・育児によるものが93名で285万8千円、研修医が4869名で2839万8千円――であることなどを説明。表決に移り、全会一致で可決決定されることになった。
 続いて、「第2号議案 裁定委員補欠選任の件」については、横倉会長が昨年8月に舳松洋裁定委員が逝去されたことを受けたものであることを説明。立候補者は1人であったため、白岩照男氏(東京)が選任されることとなった。
 その後、日医執行部が行った代議員からの代表質問に対する回答の概要は以下のとおりとなっている。

「医療に係る消費税問題」「児童虐待」などの質問に執行部から回答

1 医療に係る消費税問題への対応

2 医療に係る消費税問題について

 野並誠二代議員(高知県)並びに大輪芳裕代議員(愛知県)からの、医療に係る消費税問題への対応を問う質問には、小玉弘之常任理事が一括答弁を行った。
 同常任理事は、まず、医療に係る消費税問題の解決に向け、これまでに日医が行ったさまざまな取り組みを説明するとともに、その結果として、設備投資の支援や予算の面において、各種措置が実現したことを紹介した。
 その上で、「税制措置も予算措置も活用されてこそ、その政策効果を税制当局が認識し、その後の延長及び拡充への道が開けてくる」と強調。各制度の詳細、活用に向けた留意点等については、4月11日開催の「平成31年度都道府県医師会税制担当理事連絡協議会」で説明するとした。
 また、将来の消費税率の引き上げに備えた議論については、幅広く検討を行っていく必要があるとした上で、「今後も、地域医療を支える医療機関の経営が安定し、国民への新たな医療の提供が継続できるよう、医業に係る税制上の課題の解決を政府に求めていく」と述べ、引き続きの支援を求めた。

3 キャッシュレス決済に関連して、日医の現状把握と対応・将来ビジョンについて

 山下裕久代議員(北海道)からのキャッシュレス決済に関する四つの質問には、長島公之常任理事が回答した。
 同常任理事はキャッシュレス決済について、医療機関の現状やニーズを調査することを検討する意向を表明。また、キャッシュレス決済の際のポイント還元や手数料については、医療費の公定価格性からすると、本来、発生すべきでないとの考えを示した上で、国に対して、不適切なポイント付与が行われないように働き掛けるとともに、補助金等により医療機関の負担をなくすよう努めていくとした。
 設備投資や運用上の負担軽減策に関しては、多くの医療機関が共同して契約することで、諸費用の引き下げが期待できるとした他、「日医の『医療分野専用ネットワーク構想』と現段階ではリンクさせることは考えていないが、今後は国の議論等を踏まえて具体的な検討を行っていきたい」と述べた。

4 麻疹発生の予防・まん延の防止対策に関して

 鳥居明代議員(東京都)からの①麻疹の発生予防・まん延防止対策②侵襲性髄膜炎菌感染症――に対する日医の対策に関する質問には、釜萢敏常任理事が回答した。
 同常任理事は①について、今般の風疹の追加的対策におけるMRワクチンの確実な接種と共に、20代から30代の男性へ接種対象を拡大することが、麻疹対策の強化にもつながるとの考えを示し、引き続き厚生労働省の関係会議において主張していくとした。
 また、②については、「現在、厚労省の厚生科学審議会感染症部会で議論を継続しているところ」と説明した上で、「2020年に向けて、侵襲性髄膜炎菌感染症も含め、自治体間で即時に感染症の発生情報を共有する仕組みなど、サーベイランス機能の強化策について、引き続き検討していきたい」として、理解を求めた。

5 「外来医療機能の偏在対策のあり方」「オンライン資格確認」について

 茂松茂人代議員(大阪府)は、①外来医療の医師偏在対策②オンライン資格確認にマイナンバーを使用しない方法――に関して日医の見解を求めた。
 ①には松本吉郎常任理事が、「かかりつけ医を養成し、かかりつけ医機能を推進していくことこそが、最重要施策である」と指摘。また、地域の実情に応じて、医師の偏在是正を進めていくためにも、地域の医療の責任を持つ都道府県・郡市区医師会が公的な立場で、外来医療の調整機能を主導していく仕組みが不可欠として理解を求めた。
 ②には長島常任理事が、「オンライン資格確認の義務化」「保険証廃止によるマイナンバーカードへの一本化」には日医として断固反対しており、今後も反対していくことを説明。その上で、「引き続き、医療現場の負担と混乱を極力少なくするよう取り組んで行く」として、理解と支援を求めた。

6 地域医療構想調整会議の今後を問う

 地域医療構想調整会議に関する馬岡晋代議員(三重県)からの三つの質問には、釜萢常任理事が回答。厚労省への1年ごとの報告が必要と説明するとともに、コアメンバーによる随時会議であらかじめ論点整理を行い、医療職以外の委員の負担を軽減するなど、会議の効率化を図ることを求めた。
 また、厚労省の方針については、「一つの目安に過ぎず、現状を確認した上で、地域の自主性をもって、在宅医療が進められることになっている」とした他、「全国一律の定量基準を導入することは意味がない」とするとともに、「基準はあくまでも各構想区域の実態を把握するためのツールであり、必ず導入しなければならないものではない」と強調した。
 更に、公立、公的医療機関等の役割についても触れ、公的でなければ担えない機能に重点化すべきであり、厚労省でも調整会議に、ダウンサイジングなどを進めることを求めていく方向であることを説明し、理解と協力を求めた。

7 外国人看護師養成を巡る諸問題

 宇野卓也代議員(福岡県)は、外国人看護師養成を巡る三つの問題点を指摘し、日医の見解を求めた。
 江澤和彦常任理事は、医療の在留資格について、「准看護師は4年間の在留しか認められていないこと」「例えばEPAで入国した2年目の終わりに准看護師資格を取得した場合はEPA期間終了後3年しか滞在できないこと」について、准看護師のみが期限に制限があることは人材確保の視点から合理的でないと指摘。その見直しに向けて、厚労省と協議していくとした。
 また、EPA制度で来日した者が看護師国家試験に不合格でも、准看護師試験に合格していれば帰国せずに済むようにすべきとの意見には、最寄りの地方入国管理局で在留資格の変更手続きをすれば、帰国せずに済むことを法務省に確認したことを説明した。
 その上で、福岡県医師会の「外国人看護師候補者資格取得支援事業に関するインドネシア政府保健省との協力覚書締結」などの先進的な試みに敬意を表し、日医としても引き続き、医療や介護現場における人材不足問題に積極的に取り組んでいく考えを示した。

8 医師不足県における医師確保対策について

 小原紀彰代議員(岩手県)からの、医師不足県における医師確保対策に対する日医の見解を問う質問には、城守国斗常任理事が回答した。
 同常任理事はこれまで日医として、「地域枠・地元枠医師は地域への定着率・貢献度が高いことから、恒久定員の中に地域枠分を確保すべき」と主張してきた結果、厚労省「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会」で了承された「第4次中間取りまとめ」の中に、①医学部の恒久定員内に、一定割合の地域枠を設ける②将来時点で不足する医師数については、地域枠のための臨時定員設置の必要性を検討する――との方針が示されたことを報告。また、昨年の医療法改正によって、各都道府県の地域医療対策協議会の協議を経た上で、知事から大学に対して、地域枠・地元枠の設置・増員について要請が可能になったことを説明し、「都道府県医師会においても、地域枠・地元枠の医師が十分活用されるよう、地域医療対策協議会で議論して欲しい」と述べた。
 また、今後については、各都道府県が医師確保計画を策定するに当たって国が示す予定の基本方針に、「国が都道府県間の調整を支えるべき役割を担う」旨が明記されるよう、努めていくとした。

9 児童虐待防止のための医療機関間連携に関する法的保障について

10 児童虐待における医師・医師会の役割について

 小泉ひろみ代議員(秋田県)からの「児童虐待防止のための医療機関間連携に関する法的保障」並びに利根川洋二代議員(埼玉県)からの「児童虐待における医師・医師会の役割」について、日医の方針を問う質問には道永麻里常任理事が回答した。
 児童虐待の予防や早期発見・早期対応のためには、医師や医師会の積極的な関与が非常に重要であると改めて強調。今後は日常的に医師が関与し、対応できるような体制整備や医師の権限も含めた役割の明確化が必要になるとの見解を示した。
 また、児童相談所または市町村等が設置している要保護児童対策地域協議会(要対協)の設置・運営指針には構成員として、医師・医師会、警察、児童相談所、学校等が挙げられ、児童福祉法の中にも構成機関は連携を図ることが示されているにもかかわらず、要対協に医師会が参画していない場合があり、「自治体等を通じて構成機関となるよう、働き掛けて欲しい」と要望した。
 医療機関間の情報共有については、児童相談所または要対協への通告が必要であるとする一方で、「法令に基づく場合」等の極めて例外的な場合には、通告よりも先に紹介先の医療機関に対して、緊急的に診療情報の一部として情報提供することは、児童虐待防止法の解釈上は可能との考えを示し、「虐待案件として取り上げるかの判断は地域で異なることから、児童虐待の早期発見・防止のためにも、些細(ささい)な情報であっても虐待案件として取り上げられるよう、強く働き掛けていく」とした。
 また、虐待防止の対応力向上については、「子育て支援フォーラム」の開催など、日医の取り組みを紹介。会内委員会や講習会等において、引き続き児童虐待に関する事項を取り上げていくとするとともに、成育基本法(平成30年12月閣議決定)において、今後期待される政策の一つに「防げる死」を防ぐ体制整備と支援強化が掲げられていることから、日医としても、積極的に児童虐待防止に向けた政策提言を行っていくとした。

11 B型肝炎予防接種の接種対象者の拡大について

 川島崇代議員(群馬県)からの、B型肝炎ワクチンの予防接種対象者拡大を求める意見には、羽鳥裕常任理事が回答した。
 同常任理事は、B型肝炎は感染時の年齢が低いほど慢性化しやすいことから、できるだけ早期にB型肝炎ワクチンの3回接種を完了させられるよう、定期接種の対象者を生後12カ月までとしたことなどを説明。
 感染経路については、性行為や刺青(しせい)、ピアスの穴あけなどの際の不衛生な器具の使用など、母子感染以外のリスクも高く、一過性感染から急性肝炎、劇症肝炎へと移行する割合が20~30%とのデータもあることから、予防接種を受けていない国民への対策も必要との認識を示した上で、「予防接種で防ぐことのできる病気については、広く国民に接種の機会を提供するべきだと考えるが、現在の予防接種施策に係る優先順位から判断すると、まずは現在の定期接種の接種率を維持し、それ以外の年齢の方に対しては、肝炎対策全体の中で必要な対応を検討していくことが重要である」との見解を述べた。

12 成育基本法成立を受けての今後の取り組みについて

 平石英三代議員(和歌山県)の成育基本法成立を受けての今後の取り組みについての質問には、平川俊夫常任理事が回答した。
 同常任理事は昨年12月8日に成立し、同月14日に公布された本法律では、政府に「成育医療等基本方針」の策定を求め、その策定に当たっては医療関係者や有識者でつくる「成育医療等協議会」を設置することとされていることから、年内の施行に向け、同基本方針の中身についての議論が重要になると強調。
 また、産前産後小児保健指導事業の全国的な充実のため、国に働き掛けていくとした他、「母子保健・学校保健データの情報管理システムの構築」も重要な課題であるとして、「得られたデータについて、母子保健から学校保健まで本人の成育過程において切れ目なく利活用できるよう、個人情報の機微性に十分配慮しながら、適切な情報管理システムの体制整備を求めていく」との考えを示した。

13 東京都における地域医療構想と医師確保計画・医師偏在是正計画の整合性について

 新井悟代議員(東京都)からの、将来医療需要が増加する見込みで病床増設が行われる一方、医師多数区域として医師確保に制限が行われようとしている東京における、地域医療構想と医師確保計画・医師偏在是正計画の整合性についての質問には松本常任理事が回答。
 基準病床数や地域医療構想は2024年、2025年に向けたものとする一方、医師の確保対策は医師養成という長期的な視野で議論する必要があることを強調。暫定的な医師偏在指標に基づく医師多数区域等については、「機械的に計算された結果に過ぎず、2036年を目標年として、都道府県間調整も含め、これから議論をしていく」と説明した。
 その上で、少子化社会、人口減少社会が到来する中、医師の養成数を増やすことは、今後の医療提供体制や医療保険財政面からも、日本の将来に深刻な影響を与えるとして、特に医師不足が問題となる都道府県や二次医療圏に限り、医師数を増やしながら偏在を是正していく方針を示した。

14 妊婦加算凍結に関する質問

 桑原正雄代議員(広島県)からの妊婦加算凍結に関する質問には、松本常任理事がまず、今回の加算凍結が中医協に諮問された手続きに違和感を覚えるとした上で、①今後、同様の事例をつくらないことを確認し、厚労省から「今回の対応を前例としない」との回答を得た②中医協での議論は今後も「医療技術を診療報酬によって適正に評価する」という観点で行うべきと強く主張した③妊婦の診療の在り方を検討する場を設け、次回改定で再検討することを前提として、凍結に同意した――ことなどを説明。
 その上で、今年2月に日医も参画する厚労省「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」が発足したことに触れ、「本検討会で妊産婦の医療ニーズを把握する全国調査を実施することになっており、その調査結果を基に、妊産婦の診療に求められる医学的配慮などについて議論を行い、中医協に報告される予定となっている。中医協では、その結果を踏まえて、妊婦加算を含めた妊産婦に対する診療報酬上の評価の在り方について、再度審議することになっているが、今後も現場の意見を踏まえて対応していきたい」と述べ、理解を求めた。

15 妊産婦への公費負担拡充を

 濱田政雄代議員(宮崎県)からの妊産婦への公費負担拡充を求める要望には、平川常任理事が回答。
 妊婦加算は、既存の乳幼児加算を参考に創設されたが、小児の医療費の窓口負担については、全自治体で子ども医療費助成制度が導入されており、自己負担分が大幅に軽減されている一方で、妊産婦への医療費助成制度は、4県では全ての自治体に導入されているものの、その他の都道府県では一部の自治体に限られているために妊婦の自己負担増の感覚を生むことになっているとの見解を示した。
 その上で、同常任理事は、「実効性のある対策を講じる上では、関係医療機関への診療報酬上の評価とともに、妊産婦医療費助成制度を全ての自治体に普及させていくことが必要である」と述べるとともに、「日医としては引き続き、成育基本法の理念を踏まえ、子どもを安心して産み育てることができる社会の実現のための総合的な施策について、国に強く働き掛けていく」として、協力を求めた。

16 北海道胆振東部地震「ブラックアウト」の経験から

 今眞人代議員(北海道)は、北海道胆振東部地震における「ブラックアウト」の経験を基に、①広域災害救急医療情報システム(EMIS)②災害時の指揮系統――について質問した。
 石川広己常任理事は①について、厚労省や開発会社に対し、システムの改善を求めるとともに、日医も参加している厚労省「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」で、EMISの改善やアプリの開発等を提案し、改善に向かっていることを説明。昨年12月に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」においても、EMISを活用した情報収集体制の強化が盛り込まれ、本年度第2次補正予算にも改修費用が計上されているとした。
 ②については、本年2月に災害医療コーディネーター活動要領が規定され、その役割や位置づけがなされたことを報告するとともに、昨年10月に日本災害医学会との協定を締結したことに言及。被災地の指揮命令系統や災害医療コーディネート機能への支援など、都道府県・郡市区医師会が現地に派遣されたDMATや学会等の関係者との連携により活動できるよう、日医として強く関与していく考えを示した。

当日の詳細は『日医雑誌』5月号別冊をご参照下さい。

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