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令和元年(2019年)12月20日(金) / 日医ニュース

メインテーマ「待ったなしの働き方改革~勤務医の立場から~」

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メインテーマ「待ったなしの働き方改革~勤務医の立場から~」

メインテーマ「待ったなしの働き方改革~勤務医の立場から~」

 令和元年度(第40回)全国医師会勤務医部会連絡協議会(日医主催、山形県医師会担当)が10月26日、「待ったなしの働き方改革~勤務医の立場から~」をメインテーマとして、山形市内で開催された。令和最初の本連絡協議会が初開催地の山形県となり、全国から339名が参加した。
 世界医師会トビリシ総会への出席のため、来県できなかった横倉義武会長の冒頭のあいさつを、今村聡副会長が代読した。
 今村副会長は、台風19号の被害に遭った方々へのお見舞いの言葉を述べた上で、「医師の働き方改革では、2024年度より時間外労働の上限規制が適用されることとなったが、その議論に当たっては、医師確保計画や地域医療構想も視野に入れながら、確実に結論を出していかなければならない。日医では、会内に設置した医師の働き方検討委員会において、地域医療の継続性を確保し、医療機関マネジメントの重要性、産業保健活動の確実な履行などの視点より、医師の健康面に配慮する側面からも検討している」とした。

特別講演1『日本医師会の医療政策』

 今村副会長は、世界に誇る国民皆保険をいかに次世代に継承していくかが重要であり、少子高齢社会が進展していく中で、2025年以降の社会保障のあり方を議論する必要性を強調。医師の働き方改革では、「医師の健康への配慮」と「地域医療の継続性」の両立が重要だが、上手な医療のかかり方についても国民の理解を求める必要があるとした。
 また、日医では「かかりつけ医機能研修制度」を2016年から開始し、地域の状況に応じた、かかりつけ医を中心とした医療提供体制の構築を目指しているとするとともに、かかりつけ医と勤務医が医師会活動を通じて、地域の診療所・病院だけでなく、他の医療関係者とも「顔の見える関係」を築き、お互いが連携することが重要であるとの考えを示した。

特別講演2『複眼的にものをみる』

 嘉山孝正山形大学医学部参与は、前提だけで物事を決めてしまうと極端な結論になるため、検証が必要であることをがん検診制度を例に説明。社会制度、医療制度の異なる日本と欧米の検診制度の違いについては、欧米が対策型であるのに対して、日本は任意型であることなどを挙げ、日本ではフリーアクセスでいつでも医療機関を受診できることが、検診受診に対する欧米との意識の違いにつながっているとした。
 また、「大学は診療と研究を行うところだが、新医師臨床研修制度開始後、研究については停滞している」として、その検証が必要であるとした。

日本医師会勤務医委員会報告

 泉良平勤務医委員会委員長は、横倉会長からの諮問「勤務医の医師会入会への動機を喚起するための方策について―特に、若手勤務医を対象に―」を受け、これまで5回にわたり検討を重ねていること、先進的事例として京都府医師会や北海道医師会等の活動状況の情報を得たことを報告した。

ランチョンセミナー「慶應鶴岡発バイオテクノロジーが創る健康長寿社会」

 冨田勝慶應義塾大学先端生命科学研究所所長は、メタボローム解析により、血液を用いて精神疾患や肝炎の診断が可能になった他、唾液を用いて口腔がん、乳がん、膵臓がんも発見できるようになっていることを説明した。

シンポジウムⅠ「勤務医の働き方改革」

181105l2.jpg 間中英夫山形県医常任理事は、山形県内の勤務医を対象とした勤務環境に関する調査結果を報告。加藤琢真厚生労働省医政局医事課医師養成等企画調整室長は、時間外の上限、勤務間のインターバル、自己研鑽等を解説した。
 栗谷義樹地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構理事長は、地域医療連携推進法人、AIの活用を、また、木戸道子日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長は、タスクシフト、タスクシェア及び交代勤務の実践を紹介した。
 その後のディスカッションでは、病院の併合、時間外勤務、交代勤務などに関して活発な議論が交わされた。

シンポジウムⅡ「生涯現役~勤務医定年後の明るい未来~」

 吉岡信弥山形県医常任理事は、山形県内病院医師の定年退職後の働き方に関する調査結果を報告。望月泉八幡平市病院事業管理者は、岩手県立病院の定年退職者の勤務状況を紹介した他、八幡芳和山形ロイヤル病院内科医師は、定年退職後の経験を語った。
 市川朝洋愛知県医副会長は、定年後の医師には、かかりつけ医や総合医が適しているとした他、佐藤慎哉山形大学医学部附属病院副病院長は、同大学医学部のリフレッシュ教育について解説した。
 ディスカッションでは、シニア医師に関するさまざまな質問や意見があった。

「やまがた宣言」採択

 最後に、佐藤光弥山形県医勤務医部会副部会長が「やまがた宣言」(別掲)を朗読し、満場一致で採択され、協議会は閉会した。
 なお、翌27日には、山形県医主催による勤務医交流会が開催された。交流会には90名が参加し、「勤務医の働き方を考える」をテーマに、活発な意見交換がなされた。

やまがた宣言
 2025年には団塊の世代が75歳以上となり、国民の医療需要は変動し続ける。医師需給分科会では2028年頃にマクロで医師需給は均衡すると推計し、地域枠の効果等を踏まえ2036年を医師偏在是正の目標年としている。しかしながら、地域間格差や診療科間偏在の是正に関しては、その効果が確実とは言い難い。病院による時間外勤務時間の上限には考慮すべきであるものの、勤務する病院の役割や地域特性、また医師のキャリア等に配慮した勤務時間とすべきと思われる。
 国民の高齢化率の上昇は、同時に高齢医師の増加も意味するが、一方で勤務医の多くは定年後も診療に携わることを望んでいる。山形県では、山形大学、山形県、山形県医師会および県内の病院で構成された協議会が地域の実情にあった医師の配置に努め、成果を上げている。地域医療構想により地域での病院の役割が明確にされつつある現在、定年後の医師の就業先について検討の場となりうることを願い、次のとおり宣言する。

 一、必要医師数のみならず、2036年には医師の地域偏在と診療科偏在問題も是正できるよう求める。
 一、医師の働き方については、勤務環境により時間外労働に上限が設定されるが、その他の要因も含めて継続して議論する。
 一、経験を積んだ定年後の医師が活躍できる医療環境の構築を求める。 

令和元年10月26日
全国医師会勤務医部会連絡協議会・山形県

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