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令和2年(2020年)1月20日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

全世代型社会保障検討会議の「中間報告」に懸念あるも一定の評価

 横倉義武会長は、政府の全世代型社会保障検討会議が昨年12月19日に「中間報告」を取りまとめたことを受け、同日、緊急記者会見を行い、日医の見解を説明した。
 横倉会長はまず、全世代型社会保障に関する日医の考え方については、これまでに第2回全世代型社会保障検討会議(11月8日開催)でのヒアリングや自由民主党の「人生100年時代戦略本部」(10月9日開催)の場では自身が、また、公明党「全世代型社会保障推進本部・厚生労働部会・医療制度委員会合同会議」(11月12日開催)では釜萢敏・城守国斗両常任理事が、それぞれ説明してきたことを報告。
 今回の「中間報告」については、自民党や公明党の提言より少し踏み込んでいる点に懸念があるとする一方、「日医の国民医療を守る観点からの提言が受け入れられ、国民皆保険の理念が守られた内容となった」と述べるとともに、以下の五つの項目に関して日医の考えを詳細に説明した。
 「後期高齢者の自己負担割合の在り方」については、「社会保障の持続可能性と財政健全化の両立を図るため、低所得者にも十分配慮しつつ、国民が納得できるよう、十分な議論を尽くしていくべき」との日医の趣旨も踏まえたものとなっていると指摘。「負担能力に応じた負担とする方向性で議論されるものと思う」と述べた上で、今後も引き続き、厚生労働省の社会保障審議会等での議論等において、日医の意見を主張していくとした。
 「大病院への患者集中を防ぎかかりつけ医機能の強化を図るための定額負担の拡大」に関して、「平成14年の健康保険法改正法附則第2条を堅持しつつ」という表現が明記されたことに対しては、「三師会合同提言における『国民皆保険の理念の堅持』の理念が反映されたものであり、これからもしっかりと守っていかなければならない」と強調。
 その上で、「受診時定額負担」と「大病院選定療養」は全く別物であるとして、「受診時定額負担は、医療が必要な社会的弱者である患者に対する追加負担であり、その導入は容認することはできない」と強調。一方、「大病院選定療養」の対象を拡大することについては、「中医協で既に議論が始まっているが、更なる拡大は拙速に行うのではなく、検証を重ねた上で厚労省で引き続きしっかりと議論していくべき」とした。
 「医療提供体制の改革」に関しては、自民党の社会保障制度調査会医療委員会において取りまとめられた「今後の医療の『あるべき姿』に向けた視点」の内容がほぼ反映されているとして一定の評価をする考えを示し、日医としてもしっかり取り組んでいきたいとした。
 「予防・介護」については、これまで日医として予防推進の重要性を強調するとともに、医療の役割として取り組んでいくことを表明していると説明。その上で「全世代型社会保障制度の構築に向けては、エビデンスの確立が重要になる」として、厚労省と経済産業省が2020年度に予算計上している「予防・健康づくりにおけるエビデンス確立のための大規模実証事業」に、日医も連携を取りながら協力して取り組むと述べた。
 また、「兼業・副業の拡大」が盛り込まれたことについては、「被用者保険の加入者が兼業・副業によって総収入が増えたとしても、その収入に対して健康保険料が徴収されていない現状では、健康保険料収入が減少することが懸念される」との見解を示し、「兼業・副業の拡大に当たっては、健康保険料収入の減少を招くことのないような留意が必要である」と指摘した。
 最後に横倉会長は、「全世代型社会保障改革に当たっては、将来の社会保障のあり方を大所高所から議論すべきであり、目先の財源にとらわれた細かい議論をするべきではない」と述べるとともに、「社会保障は自助・共助・公助で成り立っている。それぞれのバランスを取りながら、時代に対応できる給付と負担のあり方という視点に立って議論することが重要であり、日医としても引き続き、政府・与党や厚労省の会議、更には記者会見などを通じて、国民の安心につなげることのできる社会保障制度が構築されるよう、主張をしていきたい」と述べた。

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