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令和2年(2020年)3月5日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

政府の対応方針を踏まえ医療機関が講じるべき対応を示す

緊急記者会見(2月17日)

 新型コロナウイルスの感染拡大において、感染経路を追えない事例が複数判明したことで国内の感染の段階が進んだとの政府の見解を受けて、横倉義武会長と釜萢敏常任理事が日医の対応を説明するとともに、河北博文日本医療機能評価機構理事長が、「過度な心配は不要」との病院団体としての見解を述べた。
 まず、横倉会長は、新型コロナウイルスの水際対策や国内発生に備えた医療体制等に関する協議を行うため、会内に「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置(1月28日)し、会議を随時開催していることや、2月14日には加藤勝信厚生労働大臣に、新型コロナウイルス感染症対策の一層の充実を求める6項目の要望書を提出したことを報告(別記事参照)した。
 また、政府に設置された「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」には釜萢常任理事が参画し、2月16日に首相官邸で行われた第1回会合を踏まえ、日医でも同日、直ちに新型コロナウイルス対策会議を開催したことを説明。会員の理解を深めるため、ウイルス感染症の専門家による概説を日医ホームページ上で公開する準備を進めている(別記事参照)とし、「医療界全体で国民の生命と健康を守る努力が必要である」と強調した。

200305f2.jpg 続いて、釜萢常任理事が、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」において、感染経路を追えない事例が複数判明したことで、感染の段階が"国内感染の早期"に進んだとの認識が共有されたことから、医療機関に新型コロナウイルス感染症対策の見直しを求める文書を2月17日付けで都道府県・郡市区医師会に発出したことを報告。
 通知では、今後はウイルスの水際対策から、肺炎発症者のサーベイランスにより重症化や死亡例を出さない対策に重点を置くなど、国内各地に患者が発生することを前提とした対応が必要であり、各医療機関には事前に察知できない感染者の来院を想定した対応が求められるとした上で、現時点で医療機関が講じるべき対応として、(1)日医ホームページに掲載されている「新型インフルエンザ等発生時の診療継続計画作りの手引き」などを参照の上、可能な限りの院内感染対策を講じるとともに、診療継続計画を見直す、(2)今後、PCR検査の対象は原因不明の肺炎で重症化が疑われる事例が主体となるが、「高齢者」「糖尿病・心不全・透析等基礎疾患がある」「免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている」「妊婦」等ハイリスクと考えられる者への対応に注意し、該当事例を速やかに帰国者・接触者相談センターに相談する―ことを挙げているとした。
 また、本通知に添付された厚労省の文書「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」についても説明。
 その中では、帰国者・接触者相談センターに相談する目安について、「風邪の症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある」場合とし、糖尿病等の基礎疾患がある人や高齢者については、このような状態が2日程度続く場合を相談の目安としている他、相談後は、同センターから勧められた医療機関のみを受診し、その際、マスクの着用、手洗い、咳エチケットを徹底することなどが求められているとした。
 同常任理事は「特に、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であることから、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に相談するように」との記載に触れ、「患者自身は自分が新型コロナウイルス感染症に罹患したか判断できないため、医療機関はそのことを踏まえて備えることが重要である」と指摘した。
 更に、日医から国民向けのメッセージとして、「新型コロナウイルス感染症の正しい理解のために」(①新型コロナウイルスの感染のしかたと感染力②毎日の生活で気を付けること③新型コロナウイルス感染症の診断と治療④重症化する方の傾向⑤妊婦の方の注意点⑥廃棄物の取扱いとリネン・衣類などの洗濯)を取りまとめたことを報告。③では、PCR検査法による検査が今後増えるとの見込みを示した上で、「必要な場合にしっかり検査できる体制が大切であり、不安があれば全例検査できるということではない」と注意を促した。

 

過度な心配は不要 ―河北理事長

200305f3.jpg 続いて、日本医療機能評価機構の河北理事長が、国民向けに、「今回の新型コロナウイルス(COVID―19)感染症について」を、日本病院会、全日本病院協会、東京都医師会、東京都病院協会、日本医療機能評価機構の連名で取りまとめ、その中では現時点では不明なことがありつつも、感染力や重症化に関しては過度に心配する必要はないと臨床現場から言われており、これまで流行したインフルエンザと同様の対応や感染防止対策を求めていることなどを報告。
 その上で同理事長は、「わが国の医療体制はしっかりしており、国民の皆さんには過度の心配は必要ないことを伝えたい。特定の医療機関に集中するのではなく、通常の診療体制の中で行動して頂きたい」と呼び掛けた。

 

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