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令和2年(2020年)5月28日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース

産業保健委員会答申「産業医の組織化に向けた具体的方策 産業医のスキルアップと活動支援」について

 松本吉郎常任理事は5月27日の定例記者会見で、産業保健委員会が会長諮問「産業医の組織化に向けた具体的方策 産業医のスキルアップと活動支援」に対して、検討結果を取りまとめ、5月15日に相澤好治同委員会委員長(北里大学名誉教授)より横倉義武会長宛てに答申したことを報告し、その概要を説明した。

 答申は、「はじめに」「I.産業医制度の現状と課題」「II.認定産業医の実態調査」「III.認定産業医の組織化」「IV.認定産業医組織の事業」「おわりに」で構成され、巻末には参考資料として「産業医に関する組織活動実態調査結果及び調査票」などの別添資料が添付されている。

 I.では、労働安全衛生法の改正に伴う産業医の職務増加の変遷について触れるとともに、平成30年(2018年)の働き方改革関連法に基づく法改正に伴い、産業医の機能を多面的に強化されたこと、また、多様化する労働者や新たな有害要因等に対応するために、産業医に求められる職責が高まっていることが示されている。そのため、産業医の活動にとって、法制度の改正、経済や社会の変化、科学技術の進歩に関する新しい知識は、必要不可欠であることから、行政施策として産業医が積極的に日本医師会認定産業医制度の生涯研修を受講するよう促す取り組みが望ましいとしている。

 産業医未選任事業場については、以前より同委員会では「全ての事業場において産業医が関与できるような制度を構築すべきである」と、繰り返し主張してきたとした上で、法令に基づく選任義務のある全ての事業場が近隣に存在する有資格の医師を容易に見つけられるような仕組みを立ち上げ、これらの事業者が産業医を選任する義務をきちんと果たすよう指導しなければならないととするとともに、小規模事業場に対しても、産業医が活動を提供できるような体制を構築することが望ましいとしている。

 更に、これからの産業医については、多彩な知識が求められるだけでなく、専門的な産業医との交流の機会を設けて、経験や情報を共有できる場を設けることが望ましいとしている。

 II.では、47の都道府県医師会並びに817の郡市区医師会を対象に調査を行った。産業保健活動を推進する上で直面している課題として、「産業医が不足している」、「業務が多様化して、対応できる産業医がいない」、「産業医活動を支援する体制がない」、「マッチングを行う体制がない」などが挙げられており、早急な支援組織の構築と支援事業の実施が必要であるとしている。調査結果を踏まえ、全国一律の組織化には解決すべき多くの課題があることから、まずは各地域における既存の組織形態や取り組みを最大限尊重し、早急に既存の組織の全国ネットワーク化を図ることが重要であるとの結論に至ったとした。その上で、III.では、その具体策として、現在、日医主催で毎年開催している「都道府県医師会産業保健担当理事連絡協議会」を発展解消し、「全国医師会産業医部会連絡協議会」の設置を提案している。

 また、「おわりに」では、1.産業医活動の現状をふまえた地域の仕組みの構築、2.日本医師会による組織の構築、支援事業の実施、3.全国医師会産業医部会連絡協議会の設置―等に関する具体的な提言が示されている。

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