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令和2年(2020年)8月20日(木) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症対応下での健診・検査センターの医業経営実態調査の結果(確定版)を公表

日医定例記者会見 7月22・29日

 松本常任理事は新型コロナウイルス感染症対応下における、「医師会健診センター(以下、健診センター)」「検査センター」「健診・検査センター複合体」の健診事業及び検査事業の実施と経営状況を把握するために実施した実態調査の最終結果を報告。前年に比べて大幅な悪化傾向が続いているとして、国民に健診や予防接種の受診勧奨をするよう厚生労働省に求めていく考えを示した。
 本調査は、医師会健診センター67施設、検査センター49施設、健診・検査センター複合体48施設に対して、日医ホームページから調査票をダウンロードしてメールで回答する方式に加えて、FAX、郵送による回答でも実施。6月24日の定例記者会見において中間報告をした際には、調査期間を6月5日から6月18日としていたが、回答の締め切りを7月3日まで延長した。
 健診センターの回答数は47施設(回答率70・1%)、検査センターの回答数は30施設(同61・2%)、複合体の回答数は38施設(同79・2%)。複合体で登録されている施設については、健診センター、検査センターそれぞれの調査票への記入と回答を求めたが、健診センターと検査センターの両方を回答した複合体は32施設で、健診センターのみの回答は3施設、検査センターのみの回答は3施設であり、集計は、健診センターを82施設、検査センターを65施設として行った。
 本調査では、2019年及び2020年の3月から5月までの各健診・検診、検査の実施件数を調べており、調査結果の主な内容は、以下のとおりとなっている。
【健診センターの集計・分析結果】
 2020年3月時点で既に前年に比べて2割以上減少した健診・検診は、「特定健康診査」(33・0%減)、「75歳以上健康診査」(31・0%減)、「ウイルス肝炎検診」(26・7%減)、「肺がん検診」(21・7%減)、「乳がん検診」(20・1%減)であり、同年5月には全ての健診・検診の実施件数が前年と比べて半減や8割減、9割減となっている。
 更に、緊急事態宣言の対象区域の特定健康診査の実施状況を見ると、対象区域に指定された2020年4月、及び5月のいずれの月においても対象区域外の施設よりも対前年比が下回っている。
 事業収入は、2020年5月の対前年比が59・1%減まで落ち込み、事業費用は31・4%減と大幅な赤字。事業利益率は、2020年4月に対前年比40・9%減、5月に58・9%減となっており、事業運営の継続に大きな影響を及ぼしている。
【検査センターの集計・分析結果】
 2020年3月には、「微生物検査」以外の検査分野で前年より1割以上の減少が見られ、5月には、実施規模が最も大きい「生化学検査Ⅰ」の実施件数が、前年に比べ24・0%減少するなど、診療や健診・検診からの検査受託で運営している検査センターにとっては厳しい状況が続いている。
 複合体施設では、検査センター単体と比較して、健診センターからの検査の受託が多いと想定されるが、「生化学検査Ⅰ」では、2020年3~5の各月において、検査センター単体を上回る実施件数の減少が見られ、「血液学検査」では、2020年5月の前年比が47・4%減となるなど、複合体施設の受託減少が顕著となっている。
 事業収入は2020年3月から悪化が続き、5月には対前年比35・4%減と大きく落ち込んでいる。事業利益率は、2020年3月に対前年比15・7%減で、4月には若干赤字が圧縮されたものの、5月には15・0%減と悪化傾向が続き、事業運営に影響を及ぼしていることが明らかとなった。
 同常任理事は、健診事業が毎年4月から秋にかけて実施されることが多いために、調査期間の減少の影響は年間で見ても多大になると強調。「各機関では4月から更に事業費用を削減しているが、5月の健診センターの事業収入は59・1%減と大幅な赤字となっている。経営面で厳しい状況が続いており、施設における感染症対策を十分に取った上で、健診実施の早期再開が望まれる」とし、国民に健診や予防接種の受診勧奨をするよう、厚労省に引き続き求めていく考えを示した。
 また、新型コロナウイルス感染症への対応として、PCR法やLAMP(ランプ)法等のウイルス核酸検査や自動分析機器による抗体検査の需要が高まる中、機器の購入や検査人員の確保のためには公的支援が必要になるとして、新型コロナウイルス感染症の影響によって痛手を被った検査センターへの支援を求めた。

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