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令和2年(2020年)10月5日(月) / 「日医君」だより / プレスリリース / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響(2020年4~6月分)に関する調査結果を報告

日医定例記者会見 9月9・17日

 中川会長は新型コロナウイルス感染症の診療所経営への影響に関する調査結果を報告した。
 同調査は、都道府県医師会に調査を依頼し、都道府県医師会が連絡した任意の診療所(会員医療機関)が回答。(1)2019年及び2020年4~6月の毎月の損益状況(①医業収入②介護収入③医業・介護費用④医業利益)、(2)同感染症に関連する交付金等や融資の申請状況―について調査し、587施設(医業収入の回答があった診療所:546施設、損益計算書全体の回答があった診療所:487施設)から回答があった。
 ①では、対前年同月比が、2020年4月はマイナス15・4%、5月がマイナス16・5%、6月がマイナス8・0%であり(図1)、主な診療科別の対前年同期比(2020年4~6月平均)では、総数がマイナス13・3%、内科がマイナス10・7%、耳鼻咽喉科がマイナス34・5%、小児科がマイナス26・0%であった。
 医業収入の減少が著しい診療所についての分析では、耳鼻咽喉科が、前年同月に比べ医業収入が30%以上減少した月がある診療所が9割近くに達するとともに、50%以上減少した月がある診療所は4割を超えている。
 また、小児科では、前年同月に比べ医業収入が30%以上減少した月がある診療所が6割近くあるものの、50%以上減少した月があるのは約1割であり、半数近くは持続化給付金の要件に該当していないなど、「医業収入50%以上減少」というハードルの高さから、耳鼻咽喉科以外では交付金及び融資の申請があまり進んでいない状況となっている。
 ④では、医療法人の有床診療所で4・3%から2・0%へ悪化、無床診療所では7・0%からマイナス5・6%へ悪化し、赤字となった。
 また、個人では、無床診療所で34・7%から25・4%へ9・3ポイント低下した。
 なお、個人は医業利益から院長など開設者報酬を支払うため、利益率を医療法人と比較することはできない。関連して、給与費の対前年同期比は、医療法人の有床診療所でマイナス4・0%、無床診療所でマイナス0・5%、個人の無床診療所でマイナス6・0%であり、給与費を削減してもなお、医療利益率が著しく悪化している。
 1施設1カ月当たり対前年同期減益額は、医療法人の有床診療所でマイナス780千円、無床診療所でマイナス1545千円、個人の無床診療所でマイナス1131千円であり、主な診療科別の2020年4~6月通算対前年同期減益額では、地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援として、有床診療所は2000千円、無床診療所は1000千円を上限とする補助金が用意されているものの、無床診療所では2020年4~6月中の1カ月分の減益分、耳鼻咽喉科及び医療法人の小児科に至っては、半月の減益を補う程度となっている。
 (2)では、交付金等及び融資を申請(予定を含む)した診療所は25・0%、交付金等のみを申請した診療所は35・9%で、合わせて診療所の約6割が交付金等または融資の申請を行っていることが示された。
 交付金等の申請状況の詳細では、同感染症に関連する交付金等について、「申請した」「申請予定」の合計は、地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援が44・1%、持続化給付金が13・6%、雇用調整助成金が16・2%、家賃支援給付金が7・5%であった。
 また、地域医療の確保に必要な診療を継続する医療機関への支援の申請(予定を含む)は、眼科で若干少ないものの、診療科間で大きな差はなく、それぞれ半数前後の診療所で活用されている。
 融資の申請状況の詳細では、同感染症に関連して何らかの融資を申請(予定を含む)した診療所が、耳鼻咽喉科で36・6%、小児科で30・4%と多いが、他の診療科でもほぼ一定数申請されており、診療科にかかわらず資金繰りが逼迫(ひっぱく)していることがうかがえる。
 交付金等または融資については、資金繰り対策として「十分」とする回答は21・5%であり、診療科別でも、内科では29・9%あるものの、耳鼻咽喉科は4・9%、小児科は14・0%にとどまっており、引き続きの支援が望まれる(図2)
 中川会長は最後に、本調査結果のまとめとして、改めてその概要を説明。医療機関に対して国からのより一層の支援を求め、特に、交付金等及び融資については、地域医療の確保のため、損失補てんも排除せず、大胆な追加的支援の必要性を強調した。
 本調査結果の詳細は、日医総研ホームページで公開されている。

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