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令和2年(2020年)12月5日(土) / 日医ニュース

新型コロナウイルス感染症の感染者数急増を受けて

日医定例記者会見 11月11・18日

新型コロナウイルス感染症の感染者数急増を受けて

新型コロナウイルス感染症の感染者数急増を受けて

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が10月以降、再び増加の兆しを示していることを受け、11月11日の会見で中川俊男会長は手洗いやマスク着用など、基本的な感染予防対策の徹底を求めるとともに、年末年始においても「3密」を避けるよう呼び掛けた。
 中川会長は、北海道では7日に独自の5段階の警戒ステージが「2」から「3」に引き上げられたことを挙げ、「特に北海道での感染者数の急増は、人口を考えると大変憂慮すべき事態となっている」と強調。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が9日に取りまとめた緊急提言の五つのアクション(①今までよりも踏み込んだクラスター対応②対話のある情報発信③店舗や職場などでの感染防止策の確実な実践④国際的な人の往来の再開に伴う取り組みの強化⑤感染対策検証のための遺伝子解析の推進)を評価した上で、「季節性インフルエンザの流行時期や年末年始を迎えることを踏まえ、国には、地域の感染拡大の兆候をできるだけ早期に察知して、先手の対応して欲しい」と要望した。
 また、「Go To トラベル」について、赤羽一嘉国土交通大臣と加藤勝信内閣官房長官が会見において、北海道を現段階で除外する状況にはないとの認識を示したことに対し、「今後の感染拡大の状況を見ながら、急速な感染拡大の兆候が見られた場合は、柔軟に見直しを考えて頂きたい」と要請した。
 その上で中川会長は、「全国的な感染者の急増が続けば、医療提供体制が全国で逼迫(ひっぱく)することは明らか。決して特定の地域の問題でなく、国民全体で一致団結して防いでいきたい。日本医師会はその中心となって頑張っていきたい」と述べ、感染をこれ以上広げないためにも、引き続き、「手洗い」「マスク着用」といった基本的な感染防止対策を徹底し、年末年始においても「3密」を避ける努力が大切であるとした。
 記者との質疑応答では、現在の状況が波としてはいわゆる第3波と考えてよいのではないかとの見方を示すとともに、気温の低下に伴い、全国的に感染者数が増えることが見込まれることから、換気の徹底なども強く求めた。

11月21日からの連休を「秋の我慢の3連休」に

 18日の会見では感染拡大が続いている北海道において札幌市内に限り警戒ステージを引き上げ、東京都でも最も高い警戒レベルに引き上げる方針との報道があることに言及した。
 感染拡大の原因となるクラスターについて、いわゆる夜の街以外の職場や外国人コミュニティー、福祉施設などの多様化が見られていることから、まずは感染が拡大している地域への移動を自粛することが重要であるとして、「国民の皆様一人ひとりのこうした行動の積み重ねにより、全国での感染の蔓延(まんえん)を防ぐことができる」と述べ、「今週末の3連休は『秋の我慢の3連休』として、感染拡大を防ぐために家で十分な換気を行った上でしっかりと睡眠をとり、ゆっくりと過ごして欲しい」と呼び掛けた。
 また、日本医師会で行った有識者講演勉強会で西浦博京都大学教授が、「人口密度」「気温」「移動」「コンプライアンス(感染予防意識)」が2次感染の大きな要因になると指摘し、感染対策には思い切った流行対策を講じる"ハンマー"と、感染者数が少ない範囲で新しい生活様式を実践する"ダンス"を使い分ける"ハンマー&ダンス"の政策が必要であるとしたことなどを紹介。
 更に、講演の中では医師会が「医療崩壊のリスク」と「医療従事者を護るための流行制御」を社会全体に働き掛けるだけでなく、放置するならば「医療がずっと社会のインフラであり続けると思わない方が良い」という警告を発するべきであるとして協力を求められたことを明らかとし、その考えに賛意を示すとともに「新型コロナウイルス感染症と最前線で闘う医療関係者を護り、医療崩壊を防ぐためにも、国民の皆様には、ぜひ我々の声に耳を傾けて欲しい」と要望した。
 中川会長は最後に「感染防止対策が結果的には一番の経済対策につながる」と強調。「コロナに慣れないで下さい。コロナを甘く見ないで下さい」と訴え、重ねて21日からの連休を『秋の我慢の3連休』とすることへの理解と協力を求めるとともに健康に不安を感じたら、「みんなで安心マーク」が掲示されている医療機関に相談、受診するよう国民に呼び掛けた。

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