「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律案」について,審議を行っている衆議院厚生委員会は,5月19日に参考人質疑を行った.日医からは,精神保健指定医でもある西島英利常任理事が,その他4人の参考人とともに出席し,意見を述べた.
はじめに,西島常任理事は,今回の改正案について,精神障害者の人権の尊重を一歩推進し,さらに医師と患者の信頼関係が保たれるように考慮されたこと,また,ノーマライゼーションの理念の下,社会復帰施設に精神障害者地域生活支援センターが追加され,地域ケアのいっそうの推進がなされるようになったことなど,全体的には評価できるとした.
つづいて,今後の見直しにあたり,検討すべき事項について,次のような意見陳述を行った.
(1)精神障害者の定義については,現代社会ではうつ病,自殺,精神症状を有する老人痴呆などが増加しており,その変化に対応可能な例示への見直しが必要である.
(2)長期入院が必ずしも社会的入院であるとはかぎらず,長期入院はすなわち悪ではない.むしろ,入院歴5年以上の患者は中等度以上の医療必要群が多く,これらの患者の対策が重要である.
(3)任意入院における閉鎖処遇の問題は,基本的には開放的な処遇がなされるよう積極的に努力すべきであるが,一部重度の患者の入院により,開放的処遇ではあっても,建築構造上,閉鎖病棟となっている場合もある.今後,開放処遇を推進するためには,病床の機能分化が必要であり,少病床でも運営ができるよう,財政面も含めた環境整備の支援策が必要である.
(4)重大な犯罪を繰り返す精神障害者は,民間病院では対応困難であり,公的病院の責任であることを明確にして,患者のQOLの面からもその施設設備,職員配置の早急な検討が必要である.また,厚生省だけではなく,警察庁,法務省などを含めた幅広い検討が重要である.
(5)公的病院は,民間病院で対応が困難な患者を積極的に受け入れる等,民間病院との機能分化を図るべきである.
(6)社会復帰対策の推進には,都道府県,市町村の努力規定を義務規定にする必要がある.
(7)マスコミの報道が,精神障害者への偏見を増長していることには一考を要する.
(8)よりよい精神医療を提供するためには,適正なる診療報酬体系の確立が不可欠である.
最後に,「何よりも患者が明るく療養生活を送られることが重要であり,その実現に向けて,国会議員の先生方の協力をお願いしたい」と述べて,意見陳述を終えた.
その後,国会議員との間で,活発な質疑応答が行われ,参考人質疑は終了となった.
なお,同法案は,5月21日に衆議院厚生委員会において,可決された.
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