日医ニュース 第940号(平成12年11月5日)

規制改革委員会公開討論会
医療の特性と質の向上について話し合う


 平成十二年度規制改革委員会の医療に関する公開討論会が,「優れた医療を提供する者が報われる医療システムの在り方について―患者の立場に立った競争政策とは―」というテーマで,十月二十日,総理府講堂で開催された.
 出席者は,規制改革委員会委員,日医,四病院団体協議会,厚生省ほか,松下電器健康保険組合顧問,ささえあい医療人権センター・コムル代表など十八名で,日医からは櫻井秀也・西島英利両常任理事が出席した.
 鈴木良男委員長代理が開会のあいさつを行った後,各参加者が意見陳述を行った.
 西島常任理事は,日医の意見として,「競争と患者の選択権」「開設主体の自由化が与える影響」「情報の非対称性」「医療の質」「医療安全推進者の養成」などについて言及し,「医療は人の生命を保全する義務があり,不採算部門も放置できないなどの理由で,市場原理の導入は不向きであること,フリーアクセスで患者の選択権が保障されており,一定の競争はすでに実現していること,営利法人参入は配当金を支払うために医療費を高騰させること,医療の質には医療技術の水準とともに,患者の期待感によって評価が左右されること」などを詳しく説明した.
 質疑では,広告規制の緩和,診療報酬の点数などについて話し合われ,櫻井常任理事は,現時点で患者さんが受診にあたって必要な情報は提供されているとして,例えば,医師の卒業大学などを明示したとしても,実質的な意味は乏しいのではないかなどと述べた.
 また,西島常任理事は,日医は診療情報開示などを徹底して進める方針をとっており,患者の苦情・相談受付窓口も設置して国民に開かれた医療を実践していることを強調した.


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